【私が東京イーストエリアを選んだ理由3】田原町「アメッツ」


「スペイン=パエリアではなく、さまざまな米料理があることを紹介したい」 と服部さん。初夏はウズラとウサギで炊き込みごはんに。
>>ページ下部にレシピがあります。

奇をてらわぬスペイン郷土料理で堂々勝負

近年はイタリアンやフレンチの店が目につくようになった浅草界隈。だが、スペイン料理に関しては、ほぼ未開の地と言っていい。それでも、服部公一さんがあえて西浅草を選んだのは「愛着のある地元で開業したかったから」。店はフランス料理店「ラ・シェーブル」の後を継ぐように居抜きでオープン。オーナーの田口シェフと知り合いだったことも幸いしたという。

メニューに並ぶのはタパスやオムレツなどバルでおなじみのものから、牛テールの煮込みのようなメインまでバラエティ豊か。料理名こそどれも親しみやすいが、その中身は郷土色が強く骨太だ。約5年半のスペイン滞在中、都市部から田舎まで各所を巡ったという服部さん。

「さまざまな料理に出合ううち、モダンで華やかな一品に仕立てるよりも、伝統料理をしっかり作れる人になりたいと思ったんです」。奇をてらうことなく、スペインで古くから親しまれている郷土の味を丁寧に作り提供する。そこには、たとえ文化の違いはあってもおいしいものはおいしい、という哲学がある。

 ひと皿の量が多いのは「若い客層を想定していたから」。でも、蓋を開ければご近所の年配客も常連に。残った料理は持ち帰り可という下町的配慮も見逃せないポイントだ。

私がこのエリアを選んだ理由

①浅草生まれなので、愛着のある下町エリアで自分の店をオープンしたかった。

②「ラ・シェーブル」の田口シェフにタイミングよく声をかけていただいた。

③地元の人々にスペイン料理を知ってもらうきっかけになればいいという思い。


【レシピ】ウズラとウサギのごはん

材料
ウズラ…1羽(心臓含む)/ウサギ…1/4羽(レバー、腎臓、心臓含む)/モロッコインゲン…30g /白インゲン豆(煮たもの)…60g /米…90g /トマト…1/2個/タマネギ…1/2個/ニンニク…1片/サフラン、オリーブオイル…各適量/水…270㎖

  1. ウズラとウサギを開いて内臓を取り出し、掃除する。ウズラは半身に切り、ウサギはぶつ切りにする。
  2. 鍋にオリーブオイルを熱し、肉の両面に焼き色をつけたら別皿に取り置く。
  3. 鍋で内臓を焼き、しっかりと火を通す。同じ鍋で丸ごと焼いたニンニクと内臓、アルミ箔に包んで炙ったサフランをミキサーにかけ、ペーストにする。
  4. みじん切りにしたタマネギを鍋に入れ、トロトロになるまで3時間炒める。
  5. すり下ろしたトマトを加え、軽く煮つめる。
  6. 肉を鍋に戻し、内臓のペーストを加え、ひたひたの水を加えて2時間煮る。
  7. 仕上げ用の鍋に肉、切り分けたモロッコインゲン、煮た白インゲン豆、米、分量の水を入れ、約30分炊く。

服部公一さん
1979年東京都浅草生まれ。スペイン料理研究家の渡辺万里氏に師事した後、スペインへ。バスクやマドリード、カタルーニャなどで5年半の修業後、2010年に独立。

小久保敦郎=文 北村美和子=写真

本記事は雑誌料理王国2012年8月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は 2012年8月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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