充実のビストロ アラカルト主義で自由度満点。酒を呼ぶ独創的なアミューズは必食。


モダンな設えはパリのネオビストロ、でも音楽は70年代洋楽&邦楽オンリー。ユニークな新店は、東日本橋やげん掘り商店街の六叉路にあり。夕暮れから深夜まで、気の利いたアラカルトと自然派ワインが待っている。

シェフの千葉稔生さんは「クレッセント」などフランス料理の名店やフランスでの修業経験も。「繊細な料理の良さにも目を向けて欲しくて。取り分ける皿も、美しく盛りつけてお出しします」

ビストロ?レストラン?答えはどちらも正解。淡いグレーの広いカウンターでふらりとワイン1杯でも、アミューズから前菜、メインにデザートまで、数名でテーブルを囲むしっかりした食事にも応えてくれるのだ。自由度がこの上なく高いうえに、あくまでアラカルト主義。そのわけは、客がメニューを見ながら、あれこれ選ぶという食事の楽しみを満喫して欲しいから。ぜひトライしたいのが、お菓子のように可愛い見た目とは裏腹に、ひと口で猛烈にお酒を呼ぶ繊細な味わいのアミューズ達。トリュフが薫る濃厚卵の詰まった大人エクレアに、野菜のかすかなほろ苦さがあとを引く、乳白色が美しい蕪のババロワ。しかも250円からという気軽な価格だから、いくつか選んでワインと合わせれば、心躍る夜の始まりになる。

国内やフランスの正統派レストランから街場の酒場、パティシエ経験も併せ持つシェフの千葉稔生さんが大事にしているのは、気楽な雰囲気と洗練を感じる料理。どの料理も盛り付けや器との組み合わせなど視覚的な楽しさがあり、手の込んだフランス料理の技法も駆使される。ワインはグラスが泡を含め7種、ボトルも幅広く揃い、すべて自然派。合わせるワインで迷うのも食事の楽しみだ。

見ているだけで楽しくなるアミューズブーシュは1つからオーダー可。「ブリオッシュ・オ・フォアグラ」(500円)や「トリュフと卵サラダのエクレア」(600円)などは生地も自家製。
前菜から「カマスのソテー秋ナスのピュレ馬告(マーガオ)の香り」(2,200円)。胡椒のようなスパイシーさと柑橘系の香りの馬告が、旬のカマスのうま味や香ばしさを引き立てる。
メインから「ヨーロッパ産マガモのロースト」(4,500円)。旬野菜やきのこのグリルを添え、ボリュームたっぷり。レバーやフォアグラなどで作る濃厚ソースは、ほのかに八角の香り。

mille (ミル)

東京都中央区東日本橋2-8-1
ケインズ東日本橋1F
TEL 03-5829-8138
月~土18:00 ~ 23:00 LO
日休


text 馬田草織 photo 八田政玄

本記事は雑誌料理王国2020年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年2月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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