苦手な食べ物やアレルギー情報を友人や飲食店と簡単にシェア


食のパーソナライズ化において、「食べられないもの」を持つ人々の存在も無視できない。日本のスタートアップCAN EATは、「誰もが平等に外食ができる世の中にする」と目標を掲げ、「食べられないもの」のシェアサービスを展開する。

CAN EAT

アナログになりがちなアレルギー情報の管理をテクノロジーの力で支えたい

2019年に創業した日本のスタートアップ「CAN EAT」は、食事制限や嫌いな食べものなどをWEBに登録しておき、友人や飲食店と簡単にシェアできるサービスを展開している。

 同社代表の田ヶ原絵里氏が、嫌いな食べものや食べられないもののシェアに注目したのは、自身の母の体験が理由だ。「私の母は50代に入ってから突然、米アレルギーになってしまったんです。それまでストレスなく楽しめていた家族の外食が、食事制限を毎回正しく伝えることに苦労するようになり、外食が億劫になってしまいました」。

 食物アレルギーをはじめ、ベジタリアンやヴィーガン、健康上の理由など、様々な事情で食事制限を抱える人が外食で巻き込まれるトラブルは、客と店とのコミュニケーションエラーや知識不足に起因することが多い。「特に、現状の飲食店における食物アレルギー対応は、制度の変更が頻繁に行なわれたり、アナログな管理になっていたりして、ミスが発生しやすく業務負荷が高い状況が続いています。この問題にはテクノロジーの介入が必要だと考えました」。

 一般向けのサービスでは、自分の食のプロフィールをWEBに登録して、システム上で友人を食事に誘ったり、外食マップで食事制限に配慮している飲食店を探したりできる。そのほか、ウェディングや修学旅行といったシーンでQRコードを使って参加者のアレルギー情報を事前に取りまとめるサービスや、飲食店へ向けてアレルギー表作成を代行するサービスも行なっている。

誰でも平等に外食を楽しめる。そんな世界の実現を目指す

「QRコードを使ったアレルギー情報のシェアは、学校給食や病院食でもご注目頂いています。アレルギー表作成の代行では、加工品の原材料欄をスマホで撮影すると自動でアレルゲン判定ができる技術を使っていて、もっと多くの飲食店さんに活用していただけると思っています」と田ヶ原氏。「CAN EAT」が目指すのは、「食べられないもの」や「苦手な食べもの」を持つ人でも平等に外食を楽しめる世界の実現だ。

結婚式の招待状にQR コードを 掲載。出席者は読み取ってアレル ギー情報を設定する。会場はアレ ルギー情報を一元化して管理できるのでミスを防げる。

田ヶ原絵里氏。
伊勢丹などの飲食店での経験を経て、大日本印刷株式会社に入社。母の米アレルギーを機に2019 年にCAN EAT を創業。アレルギー対応食アドバイザーとして活動する。

text 笹木菜々子

本記事は雑誌料理王国2020年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年12月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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