【ジビエの名店の逸品】「ロッシ」岡谷文雄さん(イノシシ)


名店と言われた「ロッシ」を復活させた岡谷文雄さんのジビエ料理は、しっかりと素材の味がわかるシンプルな仕立てが信条だ。基本的には、そのまま焼き上げる調理法で、ハーブで香り付けする程度だという。「ジビエは、ガツンと来る味なので、ストレートに少量を味わいたいじゃないですか」と岡谷さんは言う。

イノシシは熟成させず、できるだけフレッシュな状態で使用する。1〜2日間マリネした肉をフライパンで表面をローストし、あとはオーブンへ。160℃からスタートし、肉を休ませながら温度を下げて、じっくり火入れする。火を入れ過ぎないように気をつけ、切ったときに、若干の血が出る程度が理想。この際に出たジュは、フライパンに戻す。ソースは、フライパンに残った脂とジュのみというシンプルさだ。

トスカーナをイメージしながら、日本の秋を思い起こさせるムカゴとギンナンを添えた。

丹波産猪 肩ロース肉のロースト インゲン豆とちりめんキャベツの煮込み むかごと銀杏のロースト

付け合わせは、白インゲン豆とチリメンキャベツを煮込んだもので、ラードを利かせて仕上げている。インゲンやムカゴを使いつつ、トスカーナを表現。

[ Point ]脂を焦がさない火入れ

フライパンを火口の端に寄せ、一部を熱する方法でやさしくローストする。火加減に気をつけ、脂を焦がさないように、かつイノシシから出るジュが蒸発しないようにロースト。この脂が仕上げのソースとなる。

イノシシ/チンギアーレ

ヨーロッパから中国、日本に広く生息している。日本でも、獣肉の食用が禁止されていた時代に、ヤマクジラと名付けて食べられていた。日本では成獣を狩猟するのが一般的だが、フランスなどでは肉が固くなるのを嫌って、ウリ坊(仔イノシシ)が好まれることもある。仕留め方や血抜きの方法によって、肉の状態に大きく差が出るため、岡谷さんも産地よりも処理の上手さを基準にして選んでいる。

店で使用するジビエ食材

● エゾ鹿(北海道産)
● 山鳩(フランス産)
● 雷鳥(スコットランド産)
● 真鴨(茨城県産)

岡谷 文雄さん
1966年岐阜県生まれ。イタリア修業後、西麻布「アクアパッツァ」などを経て、青山「フェリチタ」の総料理長を長く務める。2011年に「ロッシ」を復活。

Rossi
ロッシ

東京都千代田区六番町1-2
☎03-5212-3215
●18:00~翌2:00LO 
●日祝休
●コース4200円、7350円、10500円

本記事は雑誌料理王国210号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は210号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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