似ているようで実は違う!奥深いシンガポールとタイの「海南チキンライス」の魅力


アジアの食を愛する筆者にとって、欠かせない料理のひとつが「海南(ハイナン)チキンライス」。国内外200店以上の海南チキンライスを食べ歩きしている筆者が、その魅力をお伝えする後編です。

前編では、中国・海南省から東南アジア各国へと移民した人々が、その土地で広めたとされる海南チキンライスを国民食的存在のシンガポールとタイから解説、魅力をお伝えしました。後編では、日本でも食べられる海南チキンライス専門店をご紹介します。

前編の記事はこちらから!
https://cuisine-kingdom.com/hainan-chickenrice1

◆ おさらい!海南チキンライスとは?

茹で汁で米を炊いたり、スープにしたりと、鶏のうま味をすべて堪能できる。

茹で鶏とごはんのコンビネーションが絶妙な海南チキンライスは、シンガポールではチリ、ジンジャー、中国黒醤油の3種のソースでいただきます。一方、タイでは大豆の発酵味噌であるタオチオソースでいただきます。艶やかで豊潤な香りのごはんに柔らかな鶏肉のハーモニーは毎日でも食べたくなるほどで、外食文化が主流の両国では、気軽に食べられる屋台や飲食店の集合施設に専門店が複数あるほどに身近な存在です。日本でもタイレストランを筆頭に、2000年以降からシンガポールの海南チキンライス専門店が都内で増え始め、ファンを広げ現在に至ります。

海南チキンライスの大ファンである筆者としては、スチームチキンと呼ばれる茹で鶏が不動のNO.1なのですが・・・さらに知っていただきたい海南チキンライスがあります。しかもシンガポールとタイでは、そのスタイルがちょっと違うのです。

日本でもぜひ食べてほしい、首都圏にある専門店からおすすめ海南チキンライスをご紹介します。

◆ 威南記 海南鶏飯

まずは、シンガポールから。現地専門店の店頭を見ると、茹で鶏の他にこんがりと色よく揚げたローストチキンが並んでいます。現地ではその見た目から、茹で鶏を「ホワイト」、ローストを「ブラウン」なんて言い方をしたりします。実は海南チキンライスは揚げタイプもあるのです。

訪れたのは、東京・田町にある「威南記 海南鶏飯(ウィーナムキー ハイナンチキンライス)」。シンガポールに本店があり、現地では3世代ファミリーが訪れるなど幅広い層から支持されている人気店です。2015年に日本初上陸しました。

「ローストチキンライス」(1300円税抜/平日ランチ限定1150円税込)。

見事な揚げ色が食欲をそそります。丸鶏を油で素揚げしたもので、火入れ前の丸鶏を一旦乾かしてから揚げているとのことです。そうすることで、表面がパリッと仕上がります。火入れ後の余熱も考慮し、丸鶏の肉質のバランスを管理しているので、ジューシーさがキープされ見事な食感です。

色鮮やかなソース。左から、ジンジャーソース、チリソース、ダークソイソース。

すっきりとした辛みのチリソース、爽やかなジンジャーソースは、できる限り現地の味に近い味になるよう食材を調達して店で手作りしています。さらにコクのある中国黒醤油のダークソイソースが加わって、気分はシンガポールです。食べ慣れていない人には、ソースとの合わせ方をスタッフさんが教えてくれるので、ぜひ海南チキンライスのおいしい食べ方にトライしてみてください。

一番人気の「スチームチキンライス」(1300円税抜/平日ランチ限定1150円税込)。

茹で鶏の海南チキンライスも艶やかで美味。骨付きで提供されるので、よりおいしいところを逃しません。1人前盛りの他に、丸鶏の1/4羽分や1/2羽分も用意があるので、食べる人数によってセレクト可能です。

現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、同店でもシンガポール料理(一部を除く)をテイクアウトやデリバリーで楽しむことができます。また、営業に関しても変更が生じる可能性があります。詳しくはHPにてご確認ください。

威南記 海南鶏飯 日本本店
東京都港区芝浦3-4-1 田町グランパーク1F
03-5439-9120
ランチ11:00~14:30(L.O.) ディナー月~金17:00~21:30(L.O.) 土日祝17:00~21:00(L.O.)
無休(年末年始を除く)
http://weenamkee.jp/
*2020年4月14日現在、ランチライムを11:00~15:00(14:30L.O.)ディナータイムを17:00~19:30(19:00L.O.)に変更。

◆ カオマンガイキッチン

続いてはタイ。こちらは同じ揚げタイプでも、衣がついたフライドチキンタイプです。タイ語で揚げるは「トード」といい、フライドチキンタイプの海南チキンライスを「カオマンガイトード」といいます。現地では茹で鶏と人気を二分するほどです。

訪れたのは、埼玉・さいたま市にある「カオマンガイキッチン」。タイにあるタイ料理レストラン「マンゴツリー」の日本グループ店舗です。日本とタイの懸け橋になるべく店舗展開していて、本格的なカオマンガイを食べることができる専門店です。

「カオマンガイトード」(850円税込)

魅力的な揚げスタイルです。茹で鶏に衣をつけて揚げた鶏肉は、ニ度の火入れでもしっとりジューシーな肉質をキープしています。衣のクリスピーさも心地良く食べ応えがあります。揚げる前にタイの魚醤であるナンプラーで下味をつけるこだわりも、タイの味を知る同店ならではといえるでしょう。

色々混ぜて自分だけのオリジナルソースにして食べても良い。左上から時計回りに、ジンジャーソース、月替わりソース(黒酢ソース)、スイートソイソース、タオチオソース。

また、ソースにもこだわりがあり、定番の大豆の発酵味噌であるタオチオソースをはじめ、ジンジャーソース、スイートソイソースの3種類に加え、オイスターソースやマスタードソースなど月替わりのソースを用意し、お客様に飽きさせない工夫をしています。油で揚げたトードには、さっぱりとしたスイートソイソースが特におすすめです。

タイの定番「カオマンガイ」(850円税込)

こちらも外せません。茹でた丸鶏のしっとり食感と香り良いタイ米のジャスミンライスは、まさに口福の一品です。同店では茹で鶏と揚げ鶏の2種類をひと盛りにした「ダブルカオマンガイ」もあり、どちらにしようか迷ってしまう人にもおすすめです。

カオマンガイキッチン エキュート大宮
埼玉県さいたま市大宮区錦町630 JR大宮駅構内エキュート大宮
048-648-8780
7:00~22:30(L.O. 22:00)
無休
https://mangotree.jp/
*現在、新型コロナウイルス感染拡大の影響で当面の間休業。今後の状況はHPにてご確認ください。

実は、海南チキンライスの揚げ鶏に関しては、両国の専門店には、タイにローストはなく、シンガポールにトードはありません。同じ料理でもそれぞれの国の食文化によって違いがあるのがおもしろいですね。夏に向けてエスニック料理が盛り上がる時期なので、おもいっきり楽しみましょう!


伊能すみ子
アジアンフードディレクター/1級フードアナリスト

民放気象番組ディレクターを経て、食の世界へ。アジアンエスニック料理を軸に、食品のトレンドや飲食店に関するテレビ、ラジオなどの出演及びアジア各国料理の執筆、講演、レシピ制作などを行う。年に数回、アジア諸国を巡り、屋台料理から最新トレンドまで、現地体験をウェブサイトにて多数掲載。アジアごはん好き仲間とごはん比較探Qユニット「アジアごはんズ」を結成し、シンガポール料理を担当。日本エスニック協会アンバサダーとしても活動する。著書『マカオ行ったらこれ食べよう!』(誠文堂新光社)。


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