働きたい!をキープする「日本料理 晴山」


シンプルにスタッフと向き合う

スタッフそれぞれができる時にできることをやる

東京・三田の「日本料理 晴山」では、カウンターの客から見られるなかでスタッフが迅速に仕事をし、時には客と会話をする。

「いい店の条件は、スタッフがキビキビと働いていること。そこにお客さまへの姿勢が表れる。うちはお客さまからつねに見えているので、そこは意識していますね」と、店主の山本晴彦さん。しかしスタッフは、入店してすぐにキビキビと動けるわけではない。

「最初はできなくても、徐々に周りを見てやるようになります。僕はスタッフに、オールマイティプレイヤーになってほしいと思っているので、料理はもちろんサービスも、それぞれができる時にできることをやるようにしています。そこにお客さまとのコミュニケーションも生まれて、あいさつもできないような新人も、徐々に変わっていきますね。今は、本や動画で技術を学べるので、それよりも人材育成に力を入れたほうがプラスになる。技術はもちろん大事ですが、礼儀や言葉遣いなどのコミュニケーション能力だったり、料理に対する姿勢だったりを、お客さまは見ていると思います」


そんな店内の雰囲気は明るく、修業中をイメージさせる、ピリピリとした嫌な空気はない。

「修業はつらくて怒鳴られて、遅くまで働くのがかっこいい、そういう時代もあったと思いますが、今はそんなことをやってはいられない。休日や労働時間は自主性に任せて、やるべきことができていれば、早く帰っても休んでもいい。ただ、気になることがあったら話をするようにしています。チームワークがないと料理は出せないので、こまめにコミュニケーションをとるのは大切ですね」

晴山の取り組みとは?

あらゆるコミュニケーションでチームワークを作る

料理の持ち場が一応は決まっているが、配膳や調理、電話応対などもする。また、カウンターが中心の店内では、客との対話が必然となる。それらをこなすうちに、コミュニケーション能力は上がる。また、キッチンでもこまめにコミュニケーションをとることにより、自然なチームワークが作られている。

スタッフのみなさんに聞きました!

(佐藤 健さん/職人/勤続7年目)

早く終われば 次の日に備える
どうしても労働時間が長くなることもあるのですが、慣れればどうにかなります。逆に、仕込みが早く終わった時は残りの時間を自由に使ったり、体を休めたりして次の日に備えています。たまには後輩とごはんを食べに行ったりして、店の中でできない悩み相談だとか、深い話をすることもありますね。

(古川恵美佳さん/職人/勤続2年目)

大将や先輩がリードしてくれる
女性の活躍がまだ難しい和食店が多い中で、男女平等に接してくださることもあり、この店に就職しました。見えるところに、つねにお客さまがいらっしゃることに最初は戸惑いましたが、そんな場面では山本大将や先輩がリードしてくれます。それに自分もついていけるように、日々精進しているところです。

Haruhiko Yamamoto

1979年栃木県生まれ。料理人を志し専門学校へ進み、岐阜「たか田八祥」の高田晴之氏の講義に感銘を受ける。卒業後は高田氏に師事するべく「たか田八祥」へ入店、25歳で同店の支店長へ抜擢される。31歳で東京へ進出、三田「晴山」をオープン。そこからわずか1年半でミシュラン二ツ星を獲得、現在も維持している。

日本料理 晴山
SEIZAN

東京都港区三田2-17-29
グランデ三田 B1F
☎03-3451-8320
● 12:00~15:00(13:30LO、木~日)
17:30~23:00(21:30LO)
●月休
●コース 昼5800円~
夜15000円~
●26席
※完全予約制
http://seizan-mita.com

澤 由香=取材、文 小寺 恵=撮影

本記事は雑誌料理王国276号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は276号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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