火鍋だけじゃない!東京で食べられる冬ならではの羊鍋


羊肉をよく食べる中国では、体を温める羊肉は冬の食べ物と分類されます。薬膳的な考え方ですが、西洋医学でも「体を温める」という効果を表す論文があり、エビデンスが取れている「本当に体を温める」食べ物なのです。私の場合は体を冷やすビールとあわせて摂取するので相殺になってるんだろうな・・・・と思いながら食べておりますが、温まるのは本当なのです。

寒さがこれからますます厳しくなってくるこの季節。温かい鍋で体が温まる羊を味わうにはぴったり!今回は、あえて日本式ラムしゃぶや、火鍋など、よく見る羊から連想する鍋を外し、珍しくもおいしい羊の鍋をご紹介いたします!

元々、羊は非常によく出汁が出る食材で、世界中で羊ベースのスープや鍋料理や煮込みがあります。日本ですと、多くが「ジンギスカンとラムチョップ!」となってしまいますが、世界的にみると出汁を楽しむ料理が多いのです。なので、羊鍋って理にかなっている食べ物なのです。では、ご紹介始まり始まり。

1:東新宿・老北京 火鍋料理 蝎子王の羊蠍子(羊の背骨鍋)

こちら、「羊蠍子」と聞くとすざまじい料理を考えてしまうかと思いますが、これは、羊の背骨を煮た鍋の事。羊の背骨が突起などが多く蠍に見える事からつけられた名前です。中国の人のこの辺りの感覚非常に好きです。こちらの鍋は、北京の回族(イスラム族)の伝統料理で、羊の背骨が豪快に入った鍋。

羊の背骨の周りに付いた肉を味わい、骨髄を味わい、その後は骨から出たスープで普通の羊肉や野菜などを味わう鍋で、これも、北京の冬の料理です。羊食に慣れている中国らしい美味しいところよく知ってるな―――!!的な鍋なのです。そうそう、中国の鍋は「最初は肉だけを入れて味わう・野菜などは肉食べ終わってから!」な、事が多いのでその作法に従う事をお勧めします!

老北京 火鍋料理 蝎子王 (しゃしおう)

東京都新宿区大久保1-9-17 寿ビル B1F

03-3207-2215

https://tabelog.com/tokyo/A1304/A130404/13210301/

2:高田馬場・羊のロッヂの2階建て鍋

変わり種ジンギスカンの中でも、面白い!と思ってるお店がこちら。上の鉄板部分でじっくりとジンギスカンを楽しみ、そこで出た風味豊かな羊の脂肪は溝からなんと下に広がるしゃぶしゃぶ鍋に。そして、そのしゃぶしゃぶ鍋で厚みのある羊肉をラムしゃぶにして食べるというこちらの料理は、一つの鍋でジンギスカンとラムしゃぶが楽しめるのです。

こちらのお店は店主の熱い羊愛もあり、肉の質がすごい良いのに価格は非常にリーズナブル。コースが3000円を切るんですよ。羊初心者も、羊上級者も楽しめるお店です。店内も学生さんからサラリーマンまで、幅広いお客さんでわいわいしていて楽しいです。

羊のロッヂ

東京都新宿区西早稲田3-19-3

03-6457-3929

https://www.hitsujinolodge.com/

3:恵比寿・ふくらむの河豚出汁羊鍋

下関出身のオーナーがあふれる郷土愛と羊愛を爆発させているお店で、お通しで「河豚刺し」が出てくるお店です。こちらの特徴は「河豚出汁で食べる厚切りラムしゃぶ」河豚のうまみと羊の組み合わせって考えたこともなかったのですが、これはこれであり!特に、このお店のラムしゃぶは肉のカットが面白いんです。

普通はスライスするところを、ある程度の塊に鱧のように包丁を入れることで、食べやすさと、火の通りの良さ、食べ応えを同居させています。その他、ラム料理もおいしいので、是非希少な下関の地酒と羊!の組み合わせをお試しください。

恵比寿 ふくらむ

東京都渋谷区恵比寿4-9-5 ニュー恵比寿1F

050-3461-6237

https://ggkb100.gorp.jp/

4:日本橋・元祖紙やきホルモサのホルモサ

何この料理・・・・と思うかもしれません。私も最初そう思いました。このホルモサ。1955年に東京日本橋にて創業した伝統ある料理(日本の羊料理の中だと)で28種類の野菜・果物・香辛料を調合して作ったオリジナルのスープを紙鍋に入れて、羊肉や野菜を食べる料理です。

見た目みそ味っぽいですが全然違うんです。この料理は、書いててなんですが、言葉での説明が難しいので「美味しいから一度食べてみて!」という説明が一番しっくりくるかも。ご飯にも合い、おかずに良し、つまみによしの一品です。

元祖紙やきホルモサ

東京都中央区日本橋本町1丁目10-2

03-3272-1191

http://www.horumosa.com/

5:要町・福滿苑 鼓楼の羊のしゃぶしゃぶ(涮羊肉)

北京料理の名手・白石シェフが作るのは北京の伝統的な冬の風物詩。「羊のしゃぶしゃぶ(涮羊肉)」。遊牧民のより数百年にわたり支配(元王朝、清王朝)されていた北京は羊肉をよく食べる事で知られていますが、北京人が冬の羊料理として思い出すのはこちらの鍋。シンプルな出汁に野菜や羊肉の薄切りをくぐらせて、ゴマベースのタレで食べます。

炭の火力で沸騰している鍋の形はどこかで見たことありませんか??そう、日本のしゃぶしゃぶはこの「羊のしゃぶしゃぶ(涮羊肉)」発祥とも言われているんです。都内でそこまで提供する店のない、しゃぶしゃぶの元祖の北京の冬の鍋は経験する価値ありです!

福滿苑 鼓楼

東京都豊島区要町1丁目14

03-5966-6661

https://tabelog.com/tokyo/A1322/A132202/13228727/

羊肉を使った変わり鍋はざっくり説明しただけでもこんなにあります。あまり意識されてなかったと思いますが、このように羊肉は鍋だけとってもじわりじわりと広まりつつあるのです。このほかに、マトンとラムをダブルで食べさせるところや、火鍋やラムしゃぶなどベーシックな鍋のお店も今はどんどん登場しています。

寒さが厳しくなるこれからの季節。羊と鍋の体を温める効果を是非お試しあれ。
新しい扉がきっと開くはずですよ。

取材・文・撮影=菊池一弘

株式会社場創総合研究所代表取締役。羊好きの消費 者団体齧協会主席。羊を常食とする地域で育ち、中国留学時にイスラム系民族の居住区に住んでいたことなどから、20代前半まで羊は世界の常識と思ってそだつ。本業は「人を集める事」企画から集客、交渉や紹介など。公的団体の仕事から、個人までできる事なら何でもやるスタンス。最近は四川フェスの運営団体麻辣連盟の幹事長も兼務。監修書籍に「東京ラムストーリー(実業之日本社)」「家庭で作るおいしい羊肉料理(講談社)」がある。


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