何でも使える万能調味料「一升漬け」 20年12月号


日本海に面した青森県津軽地方は、白神山地や岩木山などの山々を抱え、広大な津軽平野を有する。夏は涼しく、冬は雪の多い地域である。
この地形と気候から生まれた独自の発酵食文化を、津軽の郷土食を継承するグループ「津軽あかつきの会」のみなさんに教わった。

一升漬け

何にでも使える万能調味料

米麹と醤油と唐辛子を一升ずつ同じ分量で漬けることから一升漬けと呼ばれる。肉や魚、野菜に豆腐にご飯にと、もう何にでも使える万能調味料だ。作る時期は冬の一番寒いとき。2 年 3 年と熟成させると一層味に深みが出る。東北には似たような調味料が多く、地域によっては三升漬と呼ばれるものもあり、こちらも作り方は同じだ。津軽の一升漬けの特徴は、この地域で古くから栽培されてきた唐辛子、清水森なんばを使うこと。その歴史は、津軽藩の初代藩主、津軽為信公が京都から持ち帰り、弘前の農家に栽培させたのが始まりだと伝えられている。カプサイシンの含量が少ないため、辛みがまろやかで深い甘みがある。ビタミン C、E の含有量が多いこともわかっている。8月頃まで青く、その後赤くなって 10 月頃まで収穫される。

とにかく便利な調味料なので、津軽では常備している家も多いそうだ。炒め物などにも良いが、おすすめは生のままで使うこと。

材料

米麹
醤油
唐辛子(清水森なんば)
※全て同量で用意する。津軽あかつきの会では本当に一升ずつ(それ以上?)で作るが、家庭の場合は各1合でも良いとのこと。

作り方

  1. 唐辛子は細かくみじん切りにする。
  2. 1をふきんなどで包み、絞ってアクを出す。
  3. 2と米麹、醤油を混ぜ、樽や瓶などに入れて冷暗所で保存する。3 ヶ月以上経つと味がなじんでくる。

text 江澤香織 photo 船橋陽馬

本記事は雑誌料理王国2020年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年12月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


SNSでフォローする