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全部わかりますか?日本の柑橘類大図鑑


 柑橘類の原生地は、インド 、ミャンマー、マレー半島、インドシナ半島、中国、日本まで広い地域にわたるが、とくに東部ヒマラヤ、インド北東部のアッサム地方、揚子江上流地方では、古くから栽培されていたようだ。紀元前1世紀に著された『史記』によれば、当時の中国では、柑橘はナツメなどとともに、産業として栽培されていたという。

日本原生から国産洋柑橘までさまざまな柑橘類が揃う


 一方日本では、タチバナや沖縄のシィクワシャーが日本原生といわれ、栽培の歴史も古い。さらに、中国からもさまざまな柑橘が伝わり、熊本県八代あたりでは、ある程度の規模でコミカンの栽培が行われていたと伝わる。その後、16世紀には紀州(現・和歌山県)に伝わり、栽培が広まるにつれて紀州みかんの名で呼ばれるようになり、温州みかんが普及するまでは、もっとも重要な柑橘だったという。

 夏みかん、日向夏、いよかん、はっさくなどはいずれも日本で発見されたもの。また、唐代以前に揚子江上流や朝鮮半島を経由して日本に入ったゆずは、耐寒性が強いことから、日本料理に合う柑橘類として地方に分化し、すだちやかぼすなどになった。

「大分あたりでは、昔はどの家でもゆずなどの酢の木を庭で栽培し、酢の代わりに果実を使っていたものです」と、調味料マイスターの神谷禎恵さんは話す。

 土地によって、相性のいい柑橘類は異なる。そして、それぞれの土地で栽培された柑橘類は、独特の食文化を生んだ。

「例えばゆずは、種から青い皮、黄色い皮、香り、樹木まで、捨てるところがない優れたもの。そのゆずを使って、大分の人たちは昔からゆずごしょうを作ってきました。最近はゆずごしょうの知名度も上がってきましたが、フレッシュなゆずごしょうは手作りでしか味わえません。ぜひ、試していただきたいですね」(神谷さん)

 また、新たな品種の開発も盛んで、もともと西洋柑橘だったレモンやグレープフルーツにも国産ものが出てきている。

「広島県はレモンの生産量では日本一で、広島レモンの付加価値向上と需要拡大のために、特徴のある品種が求められて、研究を進めてきました。その成果がイエローベルで、レモン種としては日本初の登録品種です」と、広島県立総合技術研究所農業技術センター広島レモン利用促進プロジェクトチームの金好純子さんは言う。現在は、果実も苗木も一般には販売されていないが、数年先には市販される見通しだ。

 グレープフルーツに関しても、すでにさがんルビーという名の国産品が、佐賀大学農学部附属アグリ創生教育研究センターで独自育成され、品種登録されている。初の国産グレープフルーツだ。

 さまざまな種類が揃う日本の柑橘類。その味と香りは、料理人の五感を刺激してくれそうだ。

日本の柑橘類が料理人を刺激する
多彩な日本の柑橘類

【新潟県 佐渡市】温州みかん

北限の温州みかん
佐渡の南部はリンゴとみかんがともに実る特殊な気候。酸味が強い深みのある味が特徴で、11月中旬から収穫が始まる。

【茨城県 筑波山近辺】福来みかん

直径2~3cmの小粒みかん
筑波山中腹は麓より気温が3~4℃高い斜面温暖帯でみかん栽培に向く。福来みかんは直径2~3cmと小粒で香りが高い。

【岐阜県海津市】南濃みかん

貯蔵することで甘みと酸味をほどよく
岐阜県で唯一生産されているみかん。貯蔵することで酸味が和らぎ、甘みと酸味のバランスがよいみかんに仕上がる。収穫期は12月。

【静岡県】青島温州

糖度が高くて濃厚な味わい
日本一の温州みかんの収穫量を誇る静岡県では、糖度が高く濃厚な味わいの青島温州を主力に据える。収穫期は12月下旬~2月頃。

静岡県は、温州みかんの結果樹面積、収穫量ともに全国一。

【愛知県蒲郡市】蒲郡温室みかん

4月上旬~9月下旬が出荷時期
高い糖度とほどよい酸味を兼ね備える。土を冷やして早く花を咲かせる栽培法を用い、4月上旬から9月下旬まで供給できる。

【京都市水尾】ゆず

接木をしないゆずで香りが高い
接木をしない実生のゆずの生産地は水尾のみ。香りが高く、余韻が長く、その香りが加工しても消えないのが特徴だ。

【三重県 熊野市】新姫

濃橙色の果肉で、果汁が多くて甘い
三重県熊野市でみつかった新種の柑橘類。果肉の色は濃橙で、果汁は多くて甘い。収穫期は10月初旬から11月初旬。

【和歌山県 有田郡】有田みかん

日本屈指の生産地の食べやすいみかん
日本屈指のみかん生産地、紀州和歌山のブランドみかん。味のバランスがよく、万人受けする食べやすさが魅力。

【和歌山県】木成りはっさく

2月~5月に出回る爽やかな味のはっさく
はっさくの生産量日本一の和歌山県。木成りはっさくは上品なほろ苦さと爽やかな味が特徴。販売期間は2月~5月頃。

【広島県】イエローベル

レモン種では日本初の登録品種
日本一のレモンの生産量を誇る広島県が育成。果形は球形~鈴形で、既存のレモンより果汁が多い。種なしで、酸味はまろやか。

たわわに実をつけたイエローベル。
写真提供:広島県立総合技術研究所農業技術センター

【香川県】さぬき紅みかん

果皮が薄く、果汁がたっぷり
鮮やかな濃い紅色が最大の特徴。強い甘みとソフトな酸味。通常栽培のものは11月下旬~1月上旬、越冬ものは2月が食べ頃。

【愛媛県】宮内いよかん

ジューシーで酸味のある味
外皮をむいたとたんに広がる爽やかな香りと、種が極めて少ないのが特徴。大粒果肉のなかには、甘酸っぱい果汁がたっぷり。

【愛媛県】姫まどんな 品種名 愛媛果試第 28 号

内皮が薄く、種もなくて食べやすい
ゼリーのようなプルプルとした食感。柔らかい果肉は果汁をたっぷり含み、酸味も少なく食べやすい。出荷時期は12月上旬~1月中旬。

写真提供:愛媛県みかん研究所

【愛媛県】甘平

愛媛県が生んだ次世代の新柑橘
糖度が高く濃厚な味で、種子がなく袋ごと食べられる。果形は扁平でしまりがよく、浮皮にならない。2月~3月上旬が食べ頃。

果肉がぎっしりつまり、種が少ない甘平。外果皮も内果皮も薄くてとても柔らかいのが特徴だ。

【徳島県】すだち

徳島県生まれでビタミンC豊富
徳島で生まれたすだちは、今も全国シェアはほぼ100%。レモンを上回る豊富なビタミンCを含む。爽やかな酸味と清々しい香りが魅力。

【徳島県 那賀川】木頭ゆず

鮮やかな色合いと豊かな香りが魅力
鮮やかな色合いと豊かな香り、ほのかに甘みのある口当たりが大きな特徴。皮も果汁もあますところなく使える。11月~12月が旬。

【高知県】土佐文旦

露地栽培は1月~4月が食べ頃
黄色い外観と分厚い外皮に包まれた果肉のおいしさが特徴。独特のプリプリした大きな果肉と爽やかな香り、甘酸っぱい味が人気だ。

【大分県】かぼす

ミネラル由来の塩味で減塩効果も期待される
クエン酸とビタミンCがたっぷりの果汁と爽やかな香りが人気。ミネラル由来の塩味、苦み、甘みが相対的に高い。

【大分県 宇佐市】院内ゆず

九州一の生産量 昔から庭や畑で栽培
豊かな水と森を背景に、昔からいいゆずが育つ院内町。9月頃の緑色のゆずを使って、地元の人たちは「マイゆずごしょう」を作る。

【佐賀県】さがんルビー

外皮はなめらかで果肉はピンク色
日本初の国産グレープフルーツ。独特のピンク色の果肉で、苦みには抗酸化作用があるといわれる。果皮がやや厚く、酸味も強め。

【熊本県 不知火町】デコポン

糖度13度以上でクエン酸1%以下
冬から春が旬のデコポンは、頭の部分が出っ張っているのが特徴で、甘みが強く、袋ごと食べられるのが魅力だ。

【宮崎県 日向市】へべす

美容と健康に欠かせない果実
さわやかな酸味とまろやかな旨み。ビタミンCが豊富で、必須アミノ酢9種類のうち8種類を含む。種がほとんどなく、皮が薄い。

写真提供:宮崎県日向市農業水産課

本記事は雑誌料理王国第229号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第229号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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