世界中のグランメゾンから求められる「メイドイン有田」


世界の名店に「有田焼といえば?」とたずねると必ず名前のあがる〝カマチ〞の皿。

現在18カ国27都市の有名レストランや高級ホテルで使われるカマチ陶舗の歴史は、明治初期創業の照右ェ門窯に遡る。元々高級日本料理店向けの和食器を作る窯として知られたが、2001年から洋食器を手がけるように。現代の磁器の多くは「より白く、高温焼成に耐える」化学成分を加えた、人工配合磁土を使うが、カマチ陶舗では、有田焼のアイデンティティである、熊本・天草産の天然磁土100%にこだわる。

天然磁土のたわむ特性を活かしたデザイン「円盤」。
国内外のテーブルウェアデザインに大きな影響を与えた。


地元の土と、その土の特性により磨かれてきた伝統的な技法で、配合磁土に負けない強度を持つ器を生み出している。

ギイ・サボワ氏の使用例。サボワ氏のリクエストは「黒系でツルッとしたテクスチャー
で、傷が目立たないこと、ユニークなもの」。
黒の釉薬に特殊な加工を施し、ランダムで自然な銀の発色が生まれるボウルを生み出した。

天然磁土の場合、直径が大きく平らな洋食器は、中央がたわんだり、縁が溶けて落ちたりしやすい。それを防ぐための技術を追求する一方で、逆に有田の個性として捉えたデザインが人気を呼び、配合磁土を使用していても、そのデザインに追随するメーカーまで生まれるほど。

カマチ陶舗はシェフの感覚を即座に数値に落とし込む。「フランス人の太い指がリムの下に入るように」と言われ、すぐさま巻尺で厨房スタッフ全員の指の太さを測ったのは有名な話。

今や世界的なトレンドセッターとしての立ち位置にある。大量生産をしやすい磁器だが、あえて少量多品種生産にこだわり、一人一人のシェフの微妙な感覚や厨房のリアリティにぴったりと寄りそう、レストランというチームの一員としての食器を生み出せるのは、7代目社長の蒲池勝氏が料理人としても修業を積んできたから。きめ細かい打ち合わせの後、毎月50〜80種類の試作品を作る。そのうちの8割は日の目を見ないが、新製品を提案する際の貴重なデータベースとなっており、パリのミシュラン三つ星シェフ、ギイ・サボワ氏も「ダークな色相を綺麗に出してくれ、きめの細かいオーダーメイドができた」と高く評価している

【カマチ陶舗】
世界中のグランメゾンから求められる「メイドイン有田」400年の歴史を持つ伝統工芸・有田焼。天然磁土100%という制約が生み出した「世界基準のトレンドセッター」。料理人修業の経験から、シェフの五感と厨房のリアリティにフィットする緻密な職人技が強み。世界18カ国で求められる「メイドイン有田」。

株式会社 カマチ陶舗

佐賀県武雄市山内町三間坂12885-7
TEL 0954-45-3581
http://www.kamachi.co.jp

本記事は雑誌料理王国322号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は322号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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