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【新型コロナウイルス特別企画】パンデミックに直面した海外で活躍するシェフ6人の視点#6(木村圭吾さん/L’Aspérule)


本記事は、5月7日(木)発売の料理王国6・7月合併号緊急特集「コロナ時代の食の世界で新しい「ものさし」を探しに。」に掲載中の記事から、現在の状況を鑑みて特別に公開するものです。

「ゲストはきっと戻ってくる おいしいものを食べたい気持ちは大昔も今も変わらない」

外出禁止で、3月に予定していた3店舗目をまだ開店できずにいますが、フランスでは様々な対策が講じられていますので、倒産する飲食店は比較的少ないと予想しています。時間のある今は、これまで充分時間を取れなかった経営の勉強をしたり、地元の病院で奮闘している医療関係者の方々にお弁当を作って届ける活動をしています。

コロナ後、すぐではないかもしれませんが、ゲストは以前と同じようにレストランに戻ってくると予想しています。人間の本質は大昔より変わっていないし、これからもそう簡単に変わらないでしょう。おいしいものが食べたいという気持ちは、まだ人類が生きるために食べる時期ですら持っていたのではないかと思います。万が一、世界中の人々が食べることすらままならないという状況が来てしまえば、飲食業界その物が存続できないかもしれませんが、今のところそこまでの心配はしていません。

今後も、私たちは美食の世界において常に進化を続けなければいけない事に変わりはありません。サステナビリティや食材を無駄なく使うこと等は決して新しい概念ではなく、当然のものとして受け継がれてきたことです。ですから、何か大きく方向転換するつもりは全くありません。

今回、フランス政府は思い切った政策を打ち出しました。もちろんそのつけは将来私たちみんなに回ってくるのですが、とりあえず今は何とか生き残れる、そして収束後にはまたみんなで頑張ろうという政策なのだろうし、日本政府にもこういった政策を期待しています。その中で、もし自分たちの会社が倒産してしまっても、全てが失われるわけではない、これまでの経験は自分の中に残っているのだと思います。

特に若い世代の人たちは一度や二度の挫折があっても、そこから必ず這い上がれる。赤紙が来て戦争に駆り出されていた時代と比べれば、どんな困難も恐れるべきではない。私自身は常にそう考えて生きています。

木村 圭吾
(L’Aspérule)

2014年にオーセールで開店し、現在はディジョンに開いた2店目が、2019年ミシュランで一つ星を獲得。


text 仲山今日子 photo Jérémie Fullerinfer

本記事は料理王国2020年6・7月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は 2020年6・7月号当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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