1970年代へのオマージュ。小池教之シェフが作る「アマトリチャーナ」


小池教之シェフはイタリアの郷土料理を追求する一人。日本の70年代というテーマの下、「アマトリチャーナ」をお願いした。

通常、本場ローマではグアンチャーレとブカティーニで作るものだが、今回は70 年代の再現としてスモークベーコンとスパゲッティで作ってくれた。

「イタリアの食材がまだ何も無かった時代、諸先輩方のご苦労を感じずにはいられません。ベーコンの甘味とうま味はナポリタンの味わいにも通じ、ある意味受け入れられやすいものだったのでしょう」と小池シェフ。

現在自身ではアマトリチャーナとしての定番はもちろん、料理の出自や背景に深く踏み込み、原形の地のトマトを使わない「白い」スタイルや周辺地域の仕立ても随時表現している。

アマトリチャーナに欠かせない素材がペコリーノ・ロマーノ。小池シェフはその時のバランスを見て、コクを加えたい時は塩気の強いタイプ、まろやかに仕上げたい時は減塩タイプと使いわけている。70 年代には手に入れる事すら困難であったであろうが、現在は好みで使いわけできる時代になっているのだ。

一方で基本のトマトソースは最初の修業先の師匠・鮎田淳治シェフの味を「最初に教わったイタリアの味」として頑なにレシピを守り作り続けている。大先輩のバトンは脈々と受け継がれている。

【レシピ】 アマトリチャーナ

■ アマトリチャーナ
材料(作りやすい分量)

ニンニク……1片
赤唐辛子……1本
ベーコン……50g
タマネギ……30g
スパゲッティ……80g
ペコリーノ・ロマーノ……10g
トマトソース……140ml
E.V.オリーブ油……適量
茹で汁用の塩……適量

作り方

  1. 潰したニンニクと赤唐辛子をE.V.オリーブ油で炒める。
  2. ベーコンを加えて炒める。
  3. スライスしたタマネギを加えて炒めてしんなりするまで炒める。
  4. トマトソースを加えて煮込む。
  5. スパゲッティを塩湯で茹でる。
  6. スパゲッティをソースであえる。ペリコーノ・ロマーノをふる。

■ トマトソース
材料

ホールトマト……1缶(1号缶)
ニンニク……1片
タマネギ……180g
ニンジン……20g
セロリ……20g
ローリエ……2枚
E.V.オリーブ油……70ml

作り方

  1. ニンニクをE.V.オリーブ油で炒め、香りが出たら取り出す。タマネギ、ニンジン、セロリ、ローリエを加えて炒め、タマネギが飴色になるまで炒める。
  2. ホールトマトを加えて沸騰させてから弱火で約2時間ほど煮込む。
  3. 香味野菜などを取り出す。トマトを潰して塩で味を調える。
小池教之(こいけ・のりゆき)

小池教之(こいけ のりゆき)
1972年生まれ。93年「ラ・コメータ」から修業を開始。2003年に渡伊。トレンティーノ・アルト・アディジェ、ピエモンテ、ウンブリア、プーリア、シチリア、カンパーニアの6州で研鑽を積む。帰国後「インカント」シェフを経て、 2018年独立。オーナーシェフとして現店をオープン。

オステリア・デッロ・スクード
東京都新宿区若葉1-1-19 Shuwa House 014 1F
TEL 03-6380-1922
月曜~土曜 18:00 ~ 23:00(最終入店20:00)
日曜定休、月1回不定休あり


text 飯島千代子 photo 海老原俊之

本記事は雑誌料理王国2020年8・9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年8・9月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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