素材にこだわるイタリア料理店Part7 護国寺「パーネ エ オリオ」


希少な天然酵母を使って伝統の味を日本に伝えるイタリアパンの“伝道師”

震災を機にイタリアパンの道へ
本場の職人も認めたおいしさ

震災をきっかけに食の安全性を考えるようになり、知人の紹介で知ったイタリアパンの味に感動してこの道を選んだというオーナーの小林照明さん。日本ではあまり馴染みのない印象のあるイタリアパンだが、「ピッツァもイタリアパンのひとつですし、意識していないだけで口にする機会は多い」と言う。イタリアパンは各地方ごとにさまざまな種類があり、その数5000ともいわれる。

パネトーネ
看板商品「パネトーネ」のほか、バラの花をモチーフにしたミラノのパン「ロゼッタ」、亀の形をした食事パン「タルタルーカ」など珍しいパンも。ハード系のパンはビガ製法というイタリアの昔ながらの中種製法で丁寧に作っている。

小林さんがとくにこだわっているのは、パンの師匠ジャンカルロ・デ・ローザさんから教わったパネトーネというパンだ。天然酵母を日間かけて活性化させ、4時間かけて発酵させては練るという作業を繰り返し、なんと5日かかって作り上げる。2014年に本場イタリアの品評会「レ・パネトーネ」で、海外店としては初となる入賞を果たした。これからも子供に食べさせられる安心・安全をコンセプトにイタリアパンを作り続けていく。

こだわりの素材
パネトーネは、クリスマスに食されるイタリアの伝統的な菓子パン。使用しているパネトーネ種は、天然酵母の独特の風味を与えてくれるだけでなく、豊富に含まれた乳酸菌の力で保水性、防腐性が高く長期保存を可能に。数百年もの間受け継がれ、北イタリアの特定の地方でしか培養できないともいわれる大変貴重なパン種だ。

小林照明さん Teruaki Kobayashi
「パネトーネ種は一般的に育成が難しいといわれますが、毎日の種継ぎなど私ひとりで扱うことで育ちやすいのかもしれませんね」とオーナーの小林さん。

パーネ エ オリオ
Pane & Olio

東京都文京区音羽1-20-13
03-6902-0190
● 10:00~18:00
● 日・祝日休
paneeolio.co.jp


山田井ユウキ=取材、文 林 輝彦=撮影

本記事は雑誌料理王国第262号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第262号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


SNSでフォローする