これで安心!フランス料理店用語集(調理法・ソース編)

関連記事

調理法篇

【アン・クルート】en croûte

一般にはパイ包み焼き。素材をフイユタージュなどの小麦粉系の生地で包み、オーブンで焼き上げる調理法。粗塩を卵白でつないだ生地で包む「塩包み焼き」のようなものもある。

【ヴァプール】vapeur

ア・ラ・ヴァプールで「蒸した」の意。日本では伝統的な調理法だが、フランス料理では「素材の風味がこわれにくい点が注目され、ヌーヴェル・キュイジーヌで脚光を浴びて今に続いている。

【カラメリゼ】calamelisé

料理名に出てくる場合は、素材の表面をカラメル状―――茶褐色に甘く香ばしく焼きつけたものをいう。砂糖や蜂蜜など糖分を含んだものをまぶし、サラマンダーやバーナーなど高温の火を当てて焼きつけたり、鍋でカラメルを作り、その中で素材を焼くなど方法は多様。

【グリエ】grillé

英語でグリル、日本語で網焼き。本来は素材を網などにのせて直火に当てながら、火に落ちた肉汁や肪が燃えて出る香ばしさをつけながら焼く調理法。が、現在では溝のある鉄板で、単に網目をつけながら焼く方法にも解釈が広がっている。

【ブレゼ】braisé

蒸し煮。素材に対してひたひたに近い量の水分を注ぎ、蓋をして蒸し煮にする。肉にも魚にも野菜にもある調理法。煮込み時間は素材により、短いもの、長いものとさまざま。

【ファルシ】farci

何らかの素材を何らかの素材に「詰めた」状態。「トマト・ファルシ」とあれば、トマトに何かを詰めてある。また「キノコのファルシ」とある時は、キノコでファルシした=キノコを何かに詰めている。肉にフォワグラや内臓類を詰めたり、野菜にムースや魚介を詰めたり、詰めるものと詰められるものの組み合わせは多種多様。

【ポシェ】poché

水やフォンなど十分な量の液体の中でゆでること。ただし、液体がグツグツと躍る過激な状態ではなく、沸騰手前のふつふつと軽く沸く状態で静かにゆでること。

【ポワレ】poêlé

魚や肉、フォワグラなどの手頃な大きさの切り身を、片面ずつじっくり油脂で焼くこと。ポワール(フライパン)で焼くことから生まれた言葉だが、現代では器具に関係なく、その焼き方を意味する。ソテーと呼ぶこともできるが、ソテーの原点は鍋や素材を動かしながら炒める方法にある。

【ロティ】rôti

英語のロースト。以前は素材を串に刺して直火であぶり焼きすることを言ったが、現代はオーブンで蒸し焼きするのが主流。さらに近年はオーブンに入れず、フライパンの上だけで時間をかけながらロティと同じ,蒸し焼き状のイメージに焼き上げる方法も増えている。ブロック肉や1羽の鳥、1尾の魚など大ぶりの素材で作るのが基本だが、非オーブン技法の増加とともに、素材も小ぶり化傾向に。

ソース系篇

【アメリケーヌ】américaine

ねっとり柔らかなパテ風の料理。豚肉、鴨肉などをコンフィのように脂で柔らかく煮てから細かくほぐし、型に詰めて冷やし固めてある。元は保存食の家庭料理だが、クルトンと一緒にアミューズ・ブーシュ的に供するレストランも。

【ヴィネグレット】vinaigrette

ドレッシング基本材料はヴィネガー、油塩、コショウで、ヴィネガーと油の種類を変えることでさまざまな風味のものができる。ハーブ、スパイス、ジュ、トリュフなどの副材料を加えることも多く、バリエーションは膨大。

【クーリ】coulis

トマトのクーリ、フランボワーズのクーリなど、1種類の野菜やフルーツのピューレ状ソース。極端にいえば「潰す→こす→味をととのえる」だけのシンプルなソースで、素材の風味が際立っている。素材を加熱するのが普通だが、火を通さずフレッシュ感を強調した作りもある。

【ジュ】jus

ソースとしてのジュには2つのタイプがある。肉や魚を焼いた時にフライパンや鍋に残る焼き汁(これがジュ)を酒やフォン、水などでのばして味をととのえたもの。もう一つは骨やすじ肉を炒め、香味野菜とともに水や軽いフォンで出したもの従来のソースにあったゼラチン分の多い重厚な旨みを排除し、軽さと素材のクリアな旨み&香りを追求したさらりとした風味が特徴といえる。ヌーヴェル・キュイジーヌが一段落した。90年代以降に台頭し、現在のソースの主流となっている。

【ピストゥー】pistou

バジリコ主体のグリーンソース。生のバジリコ、生のニンニク、オリーブ油をフード・プロセッサーで回したピューレ状のもので、本来はスープに少量入れるなどの薬味的な存在。最近はソースの一つとして少量添える使い方も。南仏プロヴァンスの生まれ。

【ブール・ノワゼット】beurre noisette

焦がしバター。黄褐色のノワゼット(ヘーゼルナッツ)的な色に焦がしたバターの意。調味料的に使うほか、最近ではその香ばしい香りとコクを生かして少量をソースとして添える例が増えている。

【ブール・ブラン】beurre blanc

ヌーヴェル・キュイジーヌの代表的なソースで、1970年代から0年代にかけて大流行。「白いバター」という直訳が示すようにバターが主体で、乳製品独特のコク、甘み、なめらかさに白ワインヴィネガーの爽やかな酸味とエシャロットの旨みが加わっている。現在はアクセント的に少量使われることが多い。

【ペリグー】périgueux

ペリゴール風の意で、特産品の黒トリュフを使ったソース。フォン・ド・ヴォーやポルト酒、マデーラ酒などで作るベースに黒トリュフのジュとみじん切りを混ぜる。フォワグラや生肉、鴨肉など高級素材に合わせることが多い。

本記事は雑誌料理王国142号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は142号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。

カテゴリー: #テクニック #食材