オーストリアの工房でハンドメイドされる最高級ライン「ソムリエ」シリーズ。ブドウ品種ごとに形状の異なるワイングラスは、リーデルの原点であり代表作として知られる。
「ボルドー・グラン・クリュ」は、ボルドーワインの複雑で繊細な味わいを引き立てる容量860ccの大きなボウルが特徴。1958年に発表された「ブルゴーニュ・グラン・クリュ」は、グラスの縁のフレアによってワインの流れをコントロール。芳香と酸味の調和、余韻による「3次元の味覚」を生み出す。
<ソムリエ> 『ボルドー・グラン・クリュ』(奥)
<ソムリエ> 『ブルゴーニュ・グラン・クリュ』(手前)
オーストリアの工房でハンドメイドされる最高級ライン「ソムリエ」シリーズ。ブドウ品種ごとに形状の異なるワイングラスは、リーデルの原点であり代表作として知られる。「ボルドー・グラン・クリュ」は、ボルドーワインの複雑で繊細な味わいを引き立てる容量860ccの大きなボウルが特徴。1958年に発表された「ブルゴーニュ・グラン・クリュ」は、グラスの縁のフレアによってワインの流れをコントロール。芳香と酸味の調和、余韻による「3次元の味覚」を生み出す。
260年以上ガラスと深く関わってきたリーデル社の歴史は、9代目クラウス・ヨーゼフ・リーデルの頃に転換期を迎えた。1973年、世界初のブドウ品種別ワイングラス「ソムリエ」シリーズの登場だ。ワインがグラスの形状によってまったく別の味わいとなることを発見して以来、「グラスの形状は飲み物の個性が決定する」という理念のもと、造り手たちとテイスティングを繰り返しながら商品を開発。これまで数々の飲み物の個性に適した形状のグラスを世に送り出してきた。
2000年、リーデル・ジャパンの発足とほぼ同時に入社した庄司大輔さんは、世界で6人しかいないリーデル社グラスデュケーターのひとり。そんな庄司さんにオーストリア本社の工房を訪れた際のことを伺った。
「ハンドメイドグラスは、5人1チームの分業制で造られています。経験豊富な職人が担当するのはステムや台座造り。若い職人たちが休憩時間を使って練習している姿には、日本の職人の世界にも通じるクラフトマンシップを感じました」
その後、10代目のゲオルグ・リーデルがマシンメイドを導入。
「リーデルのグラスは飛躍的に世界へ広まり、日常で使えるグラスとしても知られるようになりました」
<ヴィノム>『大吟醸』
日本酒の中でも大吟醸のフルーティな香りと味が楽しめるグラスとして、マシンメイドの「ヴィノム」シリーズより1999年に発表された。現在も高い人気を誇るベストセラーのひとつ。
リーデル社では、ワイン以外の飲み物のためのグラスも次々と発表。日本酒の造り手の協力のもと生まれた「〈ヴィノム〉大吟醸」もその一つだ。
ところが残念なことに、特に海外で「酒グラス」として日本酒全般に使われている傾向があり、庄司さんたちは長い間歯がゆい思いをしてきたという。「大吟醸酒とは対極の味わいを持つ日本酒が同じグラスで飲まれているという現実に、10代目のゲオルグも飽きるほど訂正してきたと言います」そんななか、日本酒の味わいによって使い分けられるグラスの新シリーズを開発中とのことだ。
「リーデルのグラスは実際に使って初めて良さが生きるツール。より細分化された飲み物の個性を引き立てる機能の追求はこれからも変わらないでしょう」
リーデル青山本店
東京都港区南青山1-1-1 青山ツインタワー東館 1F
03-3404-4456
● 11:00~20:00(土、祝10:00~18:00)
● 日休
www.riedel.co.jp
田中英代=取材、文 品野塁=撮影
text by Hanayo Tanaka photos by Rui Shinano