飲食店がクラウドファンディングを活用するメリットとは?「ローストホース」


独立前にCFを活用し、目標金額以上の資金と、店を応援してくれる支援者を獲得した飲食店開業者に、CF活用のメリットを、具体的な活用方法や成功のコツを交えて聞いた。

ローストホース(東京・広尾)

CONCEPT
石窯で焼いた馬肉をメインに据えたコースを提供する、会員制馬肉専門店。熊本・千興ファームから仕入れる馬肉を使い、馬刺しや馬肉の寿司など、最初から最後まで馬肉尽くしの構成でお客さまを楽しませる。CFで集まった資金を使い完全オーダーメイドした石窯は、馬肉に最適な温度帯で蓄熱できる設計だ。

Q.クラウドファンディングを活用するメリットは?

A.「馬肉好きに訴求するコンセプトを掲げ、コアファンを事前に獲得」

独立前の顧客確保でCFの成功度も上がる

 僕の前職である「ロッキー馬力屋」(東京・渋谷)の常連客には(株)マクアケの社員さんも多く、独立時の資金集めとしてCFをすすめられました。当時から「最適な状態で馬肉を食べてもらうために石窯を使う」というわかりやすいコンセプトがあったので、共感を得られれば資金集めができると考えました。

 完全会員制にしたのは、限定感を打ち出したほうが集まりやすいだろうとの理由から。結果として馬肉、石窯焼き、会員制という3つの訴求ポイントを確立でき、当時飲食店のCF成功例がほぼないなか資金集めに成功しました。

 石窯の購入資金を目標金額に設定し、リターンに会員券だけでなく、石窯の名入れも用意。一緒にお店をつくる一体感の打ち出しで、応援してもらいやすくしました。

 僕は、物件契約前にプロジェクトをスタートさせました。10月末〜11月オープン予定とページ上で謳い、その約5カ月前から掲載したのです。しかし、物件探しに時間がかかってしまい、結局オープンできたのは12月。支援していただいた方からのクレームも多かったですね。そこは、支援者さまとのやりとりで誠意を見せるしかありませんでした。

 CFはオープン後の2016年にも活用しています。3日間限定で追加会員募集したのですが、ここでの大きな目的は熊本地震への寄付金集めでした。馬肉の仕入れ先である熊本の千興ファームが被災してしまったので、そこへの寄付を集めるために募集したのです。ただ寄付金を募るだけではなく、会員券が手に入るということで集まりもよかったですね。

 僕が考えるCF成功のカギは、独立前にどれだけファンを得られるかに尽きると思います。そのためには、今働いているお店でがんばらないと、独立後の成功も難しいでしょう。

完全オーダーメイドの馬肉用石窯。リターンに石窯への名入れも用意し、支援者とともに店をつくり上げるというストーリーづくりを行った。

オーナー 平山峰吉さん
Mineyoshi Hirayama
1980年大阪府生まれ。23歳で飲食の道に入り、焼鳥店や京料理店などで修業。2009年に大阪で、当時は珍しかった馬肉専門焼肉「けとばし屋チャンピオン」を立ち上げる。2013年に渋谷「ロッキー馬力屋」、2014年12月に広尾「ローストホース」を立ち上げる。

君島有紀=取材、文 撮影=土岐節子

本記事は雑誌料理王国292号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は292号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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