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今、のりにのってる!焼き鳥屋10選 (後編)

焼き鳥10選(後編)

東京・人形町 丈参

たれや味付けの幅広さが飽きさせない

内臓を中心に27種類の豊富な串を、醤油ベースのたれ5種、バター、柚子胡椒など8種類の味付けで楽しませる。店主の出浦丈裕さんいわく「初めて訪れる方におすすめは、おまかせコース。食べた時の食感や味、脂ののりなど、僕の中でベストのラインナップを組み合わせてお出ししています。7本全部食べ終わったときに、何を食べたかよくは覚えていないけれど、おいしかったと思ってもらえれば」。日本酒や焼酎、ワインなどはスペースに限りがあるので、甘辛、酸、コクなど、バランス重視で揃えている。

丈参

おまかせコース7本。内容は日替わり。左からそろばん(首)、おたふく(胸線)、きんちゃく(ホルモン)、丸ハツ(心臓)、オビ(モモの中心)、ふりそで(手羽先付け根)、金針菜。コクや旨味の強い部位でスタートし、赤身系、塩系のあっさりしたものなどが続き、飽きのこないない流れ。きんちゃくにはガーリック醤油などを使用。通常は、途中に野菜系の串が入る。

店主 出浦丈裕さん
Takehiro Deura
1971年千葉県生まれ。会社員を数年経験後、飲食業界へ。焼き鳥を焼くおもしろさに魅了され、都内数店で修業後、2007年人形町に「丈参」を独立開店。

丈参
東京都中央区日本橋人形町2-25-11
03-3639-1129
● 17:30~0:00
● 日、祝日の月休
● おまかせコース7本1785円~、串210円~

大阪・北新地 焼鳥YAMATO

店主の熱心な鶏探求熟成させ旨みを凝縮

「僕の好きをお客さんに押しつけている、そんな店です」と苦笑する店主の川口伸さん。鶏に携わり年。探究心旺盛な性分からさまざまな鶏を学び、試してきた。鶏は曜日ごとに仕入先が違う。「かしわの川中」から淡海地鶏と東京しゃも。「シガポートリー」から近江しゃもと近江黒鶏、奈良県から大和肉鶏。近江黒鶏の皮付きのせせりは、3日ほど熟成させてから焼く。パリッとした皮目の香ばしさに続き、皮と身の間の脂がじわり。さらに熟成させた身の旨味が広がる。熟れの旨さがあると、状態を見てねかせる。通好みの味だ。

焼鳥YAMATO

5000円のコースより。手前から、メスの淡海地鶏の上モモ、大和肉鶏のメスのソリレス、煮詰めたバルサミコをかけた肝のスモ ーク、皮つきせせり、品種、飼育日数の異なる3種類(135日の大和肉鶏、180日の近江しゃも、250日の東京しゃも)のモモ肉の食べ比べ。せせりは、通常排除されるせせりの皮を付けたままさばくのが川口さん流。焼物はこれに野菜2種類が付く。

店主 川口 伸さん
Shin Kawaguchi
1968年三重県生まれ。叔父が営む鶏肉専門店で、精肉、加工、調理などを担当。同店が大阪・心斎橋に開いた焼鳥店で10年キャリアを積む。10年7月に独立。鶏肉店時代から養鶏業者との対話を重ねるなど研究熱心。

焼鳥YAMATO
大阪府大阪市北区堂島1-3-16 堂島メリーセンタービル5F
06-6347-1194
● 11:30~14:00、17:30~23:30LO
● 日、土の昼休
● 金 昼1000円、夜 コース5000円、単品串1本200円~(注文は2本から)、造り700円~

神戸・住吉 鶏一途

鶏探しの末に惚れ込んだ淡海地鶏の雄雌を提供

 現在の店の場所と同じエリアでかつて経営していた店を一度閉め、より納得のいく鶏を探して評判の焼き鳥店や鶏料理店を夫婦で食べ歩いた中川誉雄さんと由紀さん。「日に3軒はしごしたり、北海道から九州まで全国まわりました」と笑う。 さまざまな鶏を試すなか、出会ったのが滋賀県「かしわの川中」の川中高平さんが育てている淡海地鶏だった。「まず脂ののり具合、そしてほお張ったときの脂の溶けだし方。味の濃さ内臓のきれいなことにも感動しました」と中川さん。
 この淡海地鶏に的を絞って、店を再開。雄と雌を両方仕入れており、試しながらお客が好みを探していけるのがおもしろい。たとえば皮の串ひとつとっても雄と雌とでは、硬さや歯切れ、また脂の量も溶け出し方も異なることがわかる。どちらも同じ塩で味付け、供されるので違いも鮮明というわけだ。「食べ比べ入りセット」では他にネギ身の雄雌串なども含む。造りから締めのごはんまで、淡海地鶏の各部位を堪能できる。

左から6本が「食べ比べ入り6本セット」1500円。淡海地鶏の雄雌、それぞれの身質の違いを体験できる。写真上からネギ身の雄・雌、皮の雄・雌、食道、つくね。とくに初めてのお客にすすめている。その右は雌のムネ肉250円。言われなければムネ肉とは気づかないほどの弾力とジューシーな肉汁。さらに右が腺胃(せんい)250円。少しクセがあるので、お客が飲んでいるお酒を見て、おまかせコースの中などに盛り込む。赤ワインに合う。

店主 中川誉雄さん
Takao Nakagawa
1975年大阪府生まれ。学生時代のアルバイトで、焼き鳥店へ入店。大学卒業後、焼き鳥店に就職し、3年後独立。6年間営んだ店を、納得のいく鶏を探すべく2007年に閉店。全国の焼き鳥店を食べ歩き、淡海地鶏に出会う。08年現店開店。

鶏一途
兵庫県神戸市東灘区住吉本町1-4-4 ASビル1F
078-857-1795
● 17:00~22:30入店
● 木、第3水休
● おまかせ地鶏串焼き5本セ ット1250円~、鶏刺身の盛合せ5種1200円~、グラスワイン500円~。

名古屋・東区 きさちゃん帝国

本流プラス多彩な食材で勝負!

繁華街から離れた小さなビルの一角に名古屋の料理人が足繁く通う焼き鳥店。「きさちゃん帝国」の帝王こと店主の木佐貫忠さんは「いいものを出したい」というひたむきな想いを胸に開店19年目を迎え、今日も炭台の前に立つ。メニューは朝挽きの三河赤鶏をメインに紀州備長炭で焼き上げた正統派の焼き鳥から、バルサミコを使った砂肝のえんがわなど、「イタリアンの料理人から刺激を受けることも多い」と探究心は旺盛だ。日本酒への造詣も深く、 「醸し人九平次」や「磯自慢」など誠実な造りの酒を厳選している。

手前からちょうちん焼、名物せせり、背ギモ、赤ひも、金針菜。ち ょうちん焼は玉ヒモを串打ちし、ちょうちんに見立てた同店の看板メニュー。人気No.1のせせりはプリッとした弾力が命。雄鶏の腎臓と白子を串打ちした背ギモは独特の歯応えと甘味が特徴。心臓と肝臓を結ぶ赤ヒモは数量限定の逸品。金針菜はアスパラガスのような食感がおもしろい。

店主 木佐貫 忠さん
Tadashi Kisanuki
1962年大阪府生まれ。名古屋市内のステーキ専門店や焼き鳥居酒屋「たから屋本店」などを経て、90年に独立。今池の屋台村「カラーズ」(閉店)におでん屋を出店。93年に東区出来町に移転し現店を開店。

きさちゃん帝国
愛知県名古屋市東区出来町3-19-1 T&Iビル1F
052-712-1810
● 17:30~翌0:30LO
● 水休
● おまかせ5本セット750円~、串130円~

名古屋・中区 鳥しげ

名古屋コーチンの芳醇な旨味が満載!

2009年6月オープン。母体は鶏肉卸業を営む。「朝挽きした純系名古屋コーチンは一羽丸ごと仕入れ、提供直前にさばいてから串打ちしています」と料理長の須田敏弘さん。炭火で焼く際、少し多めに塩をふり、名古屋コーチンの芳醇な旨味を際立たせている。炭焼きのほか、コーチン料理各種やお造りなどの一品料理も豊富。食材は調味料から野菜に至るまでとことん愛知県産にこだわる。酒は「空」や「醸し人九平次」などを用意し、九平次の「COLLECTION EYE 2009」などの限定酒も入荷がある時は楽しめる。

鳥しげ

手前からコーチン炭焼き三蔵一串、ソリレス、ねぎま、もも、せせり。鶏は提供直前にさばき、串打ちする。三蔵一串は名古屋コーチンのレバー、砂肝、ハツを一串にした逸品。モモの内側部分のソリレスは独特な歯応えと旨味が凝縮。ももとねぎまは名古屋コーチンならではの弾力に富んだ食感が魅力。せせりは一羽から一串しかとれない貴重な首のはぎ身を炭焼きに。

店主 須田敏弘さん
Toshihiro Suda
1976年岐阜県生まれ。調理師専門学校卒業後、日本料理の道へ。名古屋市内の寿司店や料亭を経て、ホテル内の日本料理部門で修業。海外を旅した後、2007年「鳥重商店」入社。11年6月より「鳥しげ」料理長に。

鳥しげ
愛知県名古屋市中区錦3-18-21
東京第一ホテル錦1F
● 11:00~14:30LO、 17:00~22:00LO
● 日休


本記事は雑誌料理王国第209号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第209号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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