2025-08-05

箱根ラグジュアリーホテル”はつはな 夏季限定「平川ワイナリーコラボレーションプラン」宿泊レポート

料理家活動

箱根のスモールラグジュアリーホテル”はつはな”では夏季限定(2025年7月12日(土)から8月31日(日)まで)で北海道・余市の「平川ワイナリー」のワインが楽しめる宿泊プラン「平川ワイナリー×はつはな コラボレーションプラン」を実施。
ワインスクールで講師を務める料理王国オフィシャル料理家高橋はるなさんと、筆者神田えり子が同ホテルを訪問した。

箱根湯本から箱根山方面に尾根が続く湯坂山の深い緑と、須雲川の清流に囲まれた奥湯本。
新宿からロマンスカーに乗り約90分のこの地で約30年愛されてきたスモールラグジュアリーホテル”はつはな”は、「心と五感が満ちる静かなとき」をコンセプトに掲げ、2022年にリニューアルオープンした。

男女入れ替え制の2つの大浴場、趣向の異なる4つの温泉貸切風呂に加え、全客室には湯坂山ビューの温泉露天風呂を完備。よりプライベート感を満喫できる空間を演出している。

全席個室のダイニング ”はなゑみ”の料理を求めて訪れる人も多い。
自然に恵まれた地元神奈川産をはじめとしたこだわりの食材を丁寧に活かし、日本料理に洋のエッセンスを取り入れた「モダン懐石」は、まさに心と五感が満たされると好評だ。

“はつはな”では夏季限定(2025年7月12日(土)から8月31日(日)まで)で北海道・余市町の「平川ワイナリー」のワインを楽しめる宿泊プラン「平川ワイナリー×はつはな コラボレーションプラン」を実施。日本の美食文化に寄り添う芳醇な北海道産のワインと、モダン懐石のマリアージュを堪能できる内容となっている。

今回訪問した料理家の高橋はるなさんは、航空会社の国際線客室乗務員としてワインを提供していたことをきっかけに関心を深め、今ではワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」で講師を務める、いわばワインのエキスパートだ。
海外で活躍する日本人醸造家と料理のマリアージュイベントを自ら企画するなど、料理とアルコールの知識も広い。

そんな高橋さんが「北海道を訪れると必ず買って帰る」というのが、平川ワイナリーの商品。しっかりとした酸味と果実味がバランスよく、「誰が飲んでもおいしいと感じるはず。日本のワインの中でも格別」と話す。

「平川ワイナリー」代表の平川敦雄氏はフランス各地の銘醸地で12年間ブドウ栽培・ワイン醸造に携わる一方で、国内外のレストランでソムリエとして従事してきた。北海道「ミシェル・ブラス トーヤ ジャポン」での勤務を経て、2014年に農業生産法人平川ファーム、2015年に平川ワイナリーを設立。
もともと果樹栽培が盛んな余市町は北海道の中では比較的温暖な気候で、ブドウの産地に適している。土地のポテンシャルと平川氏の経験と感性を最大限に生かし、世界に通ずるワイン造りを続けている。
今回のコラボレーションプランは、平川氏がかつて”はつはな”と同じ系列のホテルでソムリエとして働いていたことから実現した。

それでは、「平川ワイナリー×はつはな コラボレーションプラン」のラインナップを紹介しよう。

<御付き・旬菜>
「ゆでたて箱根西麓枝豆」
「小田原鯵の握り キャビア添え・天城産姫あまごのスモークとモッツァレラチーズ・白玉蜀黍豆腐 姫栄螺・合鴨箱根西麓蜂蜜のラケ・才巻海老カダイフ巻き・西瓜明太子」

ペアリングワインは「2022 クレマンス メトード・トラディショネル」。
シャンパンと同様、瓶内二次発酵で作られたスパークリング。瓶内で澱の上で寝かせることで澱の旨味が移り、和食の旨味とよく合う。高橋さんが「かぼすなどの和柑橘のよう」と評するすっきり感が、鯵やあまごの味わいを引き締める。

<凌ぎ>
「岩牡蠣の岩石蒸し」

ペアリングワインは「2022 エスペリード テール・ド・ヨイチ」。
岩牡蠣と熱した岩石が入った重厚な器に、目の前で日本酒を注いでフタをし、蒸し上げられ、期待が高まる。
エスペリードはフランス語で「柑橘」の意。酸味のしっかりした白ワインが「牡蠣に絞るレモンの役割を果たしている」と高橋さん。シンプルな味付けがマリアージュを楽しませた。

<御椀>
「牡丹鱧」

ペアリングワインは「2022 レ・リス テール・ド・ヨイチ」。
百合やアカシア、グレープフルーツやライムのような柑橘、完熟した白桃や洋梨のアロマが広がるワイン。酸を生かすため、温度を高めにして提供された。
高橋さんは「椀物の塩分と合わせるとバランスがいい。和食のためのワイン」と話す。
小さな器に用意された同じワインを途中で椀に注ぐと、だしの効いた吸い地に香りと酸味が加えられ、アレンジが楽しめる。

<鮮恵>
「本鮪 鱧ちり 蒸鮑 小田原の地魚」

ペアリングワインは「2022 ローズ・デ・ヴォン テール・ド・ヨイチ」。
ガラス製のボート形の皿に華やかに並んだ刺し身。しょうゆ、煎り酒、塩が用意されている。
果実味豊かなロゼが特にまぐろと好相性で、魚の臭みを感じさせない。

<焼肴>
「甘鯛雲丹焼き サマートリュフの香り」

ペアリングワインは「2023 ブラン・ド・ヨイチ キュベ・ガストロノミック」。
レモンのような酸、柑橘の皮をイメージさせる果実味とハーブ香が印象的な飲食店専用の白ワイン。
料理は、練りウニを加えた卵黄を塗り、さらにウニをのせてあぶった甘鯛に、サマートリュフを添えた香りと旨味が豊かな一品。ワインの苦み、コクと塩味、ミネラル感が海の幸によく合う。

<炭香>
「相州牛フィレ肉炭火焼き 平川ワイナリー赤ワインソース」

ペアリングワインは「2023 レスプリ テール・ド・ヨイチ」。
”余市の魂”という意の赤ワイン。
ジューシーな果実味がありながら、フレッシュ感のある酸味でなめらか。しっかりとした味わいのフィレ肉に、からすみを纏ったアスパラガス、バジル黄身酢ソースと合わせた静岡県産アメーラトマトのベニエの凝縮した甘みが一皿を作り上げている。

<御食事>
「小田原米〈はるみ〉国産鰻蒲焼き飯」

ペアリングワインは<鮮恵>と合わせたものと同じ、「2022 ローズ・デ・ヴォン テール・ド・ヨイチ」を。

この日は鹿児島県産のうなぎを使用。
蒲焼の甘辛いたれ、甘味と粘りが特徴の小田原のブランド米「はるみ」が、ロゼの豊かな果実味と旨みとマッチする。

<水菓子>
「季節のフルーツシャーベット」

ペアリングワインは「2019 シリマ ロゼ メトード・トラディショネル」。
桃のシャーベットにメロンやスイカ、イチジク、サクランボ、シャインマスカットといったフルーツを添えたデザート。イチゴやチェリーの果実香に、ブリオッシュや出汁のニュアンスがある中甘口のロゼスパークリングが、たっぷりのフルーツに寄り添う。

全体に酸を感じるワインのラインナップが、洋のエッセンスを採り入れたモダン懐石のひとつひとつに寄り添い、ペアリングする価値が高いコースに満足した。

余裕のある作りの落ち着いた客室で一晩過ごした後は、和洋選べる朝食を同じ個室ダイニングで。
今回は地元食材を使った和食を選んだ。

朝の光に照らされた湯坂山と、やさしい味わいに癒やされ、最後まで心身満たされる旅となった。

「平川ワイナリー×はつはな コラボレーションプラン」
予約期間 2025年8月27日(水)まで
宿泊期間 2025年7月12日(土)~8月31日(日)
プラン料金 コンフォートtype 1室2名様ご利用時 1名様あたり 89,150円~
お食事内容 ご夕食「平川ワイナリーコラボレーションメニュー」ペアリングワイン付き・
和洋選べる朝食

はつはな
・所在地 〒250-0313 神奈川県足柄下郡箱根町須雲川20-1
・TEL 0460-85-7321
・公式サイト https://www.hakone-hotelhatsuhana.jp/

高橋はるな
大学卒業後、国際線客室乗務員として勤務。各地の豊かな食生活に触れ、食やワインを通じて暮らしをより楽しむお手伝いがしたいと思い、退職後は料理家として大手食品メーカーのレシピの監修や開発、ワインスクールにてワイン講師として活動している。ワインとのペアリングレシピやイベントレシピを得意とする。
Instagram @haruna_takahashi7148

text:神田えり子

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