2024-08-05

アメリカのお米「カルローズ」の魅力を発信!料理教室レポート Vol.2

料理家活動

今回はVol.1に続き、アメリカのお米「カルローズ」を使ったオリジナルレシピを開発していただいた料理家の方たちが主宰する料理教室の模様をレポートします。今回ご紹介するのは、世界の料理とハード系パンを専門とする大前うらら先生主宰の料理教室「ガストロノマード」。夏のスペイン料理をテーマにしたコース料理のうち、3品のカルローズを使った料理がレクチャーされました。

旅行会社での勤務後、イギリス、スペイン、フランスでトータル8年間の食探求留学した経験がある大前先生がこれまで訪れた国は50カ国以上。横浜市内の教室に一歩足を踏み入れると、そこには世界の器でぎっしりの食器棚や、料理に関する洋書がずらりと並ぶ本棚に圧倒されます。この日ダイニングテーブルには、グラナダ焼などスペイン製の食器を中心に、イエローやオレンジ、ブルーといった夏らしい彩りのテーブルセットが準備されていました。3名の生徒さんたちも到着し、いよいよレッスンのスタートです。

まずは、カルローズを使った1品目として「海老のアロスメロッソ」から。有頭エビの殻をむく作業から始まり、殻を使ってスープを作ります。「アロスメロッソとは、リゾットと雑炊の中間くらいの料理です。メロッソとはハチミツのようなとろみという意味なので、リゾットよりもやわらかくてとろみのある仕上がりになります」と大前先生。エビの身は軽く焼き色が付くまでローストしておき、エビの殻でとった出汁でお米を煮詰め、とろみのある柔らかさまで煮込んでいきます。

エビの出汁を取るのに使うのは深めのお鍋。オリーブオイルとエビの殻を炒め、白ワインを加えたタイミングで強火に。「しっかりアルコールを飛ばすには火を強くする必要があります。火が弱いままだとアルコールが飛ばす、味がぼやけてしまいます。このルールはほとんどの料理に当てはまるので覚えておくといいですよ」と、大前先生は手順を見せるだけではなく、理論的にわかりやすく説明を加えます。

水を加えて灰汁を取ったら中弱火で約30分煮ていきます。グリーンの枝のようなものは、ちょうど他の料理に使ったパセリの茎を残しておいたもの。レシピの材料には表記がありませんが、「パセリの茎はこういう時に臭い消しとしても使えますよ」とプチ情報も加えながらレッスンは進みます。

食材を炒めている時間、煮込んでいる時間には、先生が実際に海外で見た風景や思い出のエピソードを披露。現地で食べた時の味や香り、雰囲気までも再現したいと考える大前先生は、少しでもそのイメージが伝わるようにと、生徒さんたちに様々なお話をされているのが印象的でした。

煮込み終わったらエビの殻をザルにあけてスープを濾していきます。水2Lを使い、最終的に約1.4Lのスープが取れました。

次に、フライパンで香味野菜をじっくり炒め、トマトピューレを加えて煮詰めたらエビ殻のスープを加えて沸騰させます。トマトピューレの水分がなくなるまで煮詰めることで、酸味がやわらぎまろやかな味わいとなるそう。

その後、カルローズを洗わずにそのまま加えて約20分、ふつふつと煮立つ程度の火加減をキープしながら煮ていきます。

途中、灰汁を取るために先生が取り出したのは、持ち手が90度に曲げられたスプーン。「フランスの料理学校に通っている時に、先生が私のスプーンを取り上げるなりこうやって折り曲げて『これが一番灰汁を取りやすいんだ』って。それ以来ずっと愛用しているんですよ」と、使い慣れた、自分にとってベストな道具を長く愛用する大前先生のエピソードに、生徒さんたちも笑顔で応えます。

焼き色を付けてローストしたエビの身をトッピングして完成です。全体の色味をオレンジ色に揃えたのも大前先生のこだわり。エビの旨みをたっぷり吸収したカルローズが、リゾットとはまた違った柔らかな食感で口の中でとろける一品です。

続いてのメニューは「スペイン風ライスサラダ」です。使うお米はもちろんカルローズ。パスタを茹でるのと同じ要領で、たっぷりのお湯を沸かして1%の塩を加え、カルローズを約15分茹でます。今回のメニューにライスサラダを加えた理由について、大前先生はこう語ります。
「ライスサラダはスペインで地域を問わずに食べられているポピュラーな料理ですが、特に夏に冷やしてよく食べられています。ツナとキュウリとオリーブを混ぜて、上にはゆでたまごを載せるのがスタンダード。カルローズは日本のお米に比べてでんぷん質が少ないため、冷やしてもモソモソしません。サラダにもぴったりなお米と言えますね」。

あらかじめカットされた素材が多い中、キュウリはあえて先生が実演。キュウリは皮を剥いて縦半分に切った後、さらにスプーンで種を取り除いてみじん切りに。「キュウリは皮も種も食べられるものですが、私の中にあるスペインらしさや記憶にある味わいを再現したいという思いがあって、今回はあえてこのようにしてキュウリを使いますね」と大前先生。

全ての具材を混ぜて白ワインビネガーとオリーブオイルを加え、最後に塩で味を整えて完成です。

このライスサラダにはお米の炭水化物をはじめ、ツナのタンパク質、キュウリやパプリカなどの野菜のビタミン、オリーブオイルの脂質も摂れるため、この一品で完全食となります。食欲がない日の朝食や、ワインのおつまみにもおすすめ。この日はタパス5種の中の1つとしていただきました。

今回、完成品として出されたおまけの一品が、大前先生の大好きなお米のデザート「アロス・コン・レチェ」。スペイン風ライスプディングで、カルローズと牛乳、グラニュー糖とシナモン、レモンの皮を火にかけて、ときどきかき混ぜながら約30分煮て、冷蔵庫で冷やしていただきます。

シナモンとレモンが口の中でふんわりと香り、ミルキーな甘さに思わずホッとするような、やさしい甘さが感じられました。

お料理が完成したら、お楽しみの試食タイム。この日は他にも大前先生お手製のバゲットを使った「ピンチョス」の盛り合わせ、スペイン風オムレツ「塩鱈のトルティーヤ」、固めないカスタードのデザート「クレマカタラーナ」がテーブルに並び、とっても華やか!

そして、終了後のアンケートにご協力いただいた方には、お土産にカルローズのサンプル(400g)をプレゼント。生徒さんたちは、温めても冷めても美味しくいただけるカルローズの使い勝手の良さを知り、実際に食べてみた感想をさっそくお答えいただきました。

大前うらら先生のプロフィールと料理教室の詳細はこちら
https://www.instagram.com/urara_gastronomade/

USAライス連合会
https://www.usarice-jp.com/

text:田中 はなよ, photo:小沼 祐介

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