2025-01-23

第1回カルローズメニューアイディアコンテスト2024表彰式レポート

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2024年11月13日、八芳園(東京都港区)にて「第1回カルローズメニューアイディアコンテスト2024」(主催:USAライス連合会、後援:アメリカ大使館 農産物貿易事務所)の表彰式が開催された。
本コンテストはUSAライス連合会日本事務所が、昨年までの10年にわたり行ってきた「カルローズ料理コンテスト」をリニューアルしたもの。
カリフォルニア生まれのお米、カルローズの食材力を最大限に引き出す「新しいコメ料理のアイディア」を募集し、その発想を評価した。

さらに今回新たな試みとなったのが、これまでシェフのみで務めていた審査員に、一般消費者の目線を採り入れるべく、料理王国オフィシャル料理家3名を加えたことだ。
一次審査、二次審査を経て行われた表彰式とともに行われた審査員によるパネルディスカッションの様子もリポートし、料理家の活躍の姿をお届けする。

本コンテストには2024年6月から9月にかけて、プロフェッショナル部門は104件、学生部門は267件に至る、多数の応募が全国から集まった。

審査員は、料理人/エリックサウス総料理長・稲田俊輔氏、株式会社キュウプロジェクト代表取締役・佐藤幸二氏、株式会社クーニーズ・アソシエ代表取締役・青島邦彰氏という外食業界で活躍するメンバーに、今回から料理家/管理栄養士・成澤文子氏、フレンチ料理人/SNS料理家・深沢あや氏、作家/料理家・樋口直哉氏の3名の料理王国オフィシャル料理家が並んだ。

右から青島邦彰さん、佐藤幸二さん、稲田俊輔さん、樋口直哉さん、成澤文子さん、深沢あやさん

9月に書類による一次審査が行われ、プロフェッショナル部門は10作品の入賞、学生部門は3作品の優秀賞を選出(学生部門は一次審査のみ)。
二次審査は、10月に服部栄養専門学校の講師が入賞10作品を調理し再現した試食審査で、味のみならずカルローズの食材力の活かし方、アイディアの独創性から最優秀賞1作品、優秀賞2作品を決定した。

一次審査では各審査員が付箋を貼りながら書類を何度もめくっては戻り、熱心に読み込んだ。二次審査では美しく皿に盛られたその姿に時に目を凝らし、時に目をつむり、うなずきながら実食する様子が見られた。その後いずれの審査でも終了時間ギリギリまで意見交換が盛んに行われたのが印象的だ。
過去10年間カルローズのコンテストに審査員として関わってきた青島さんは「これまでは盛り付けにこだわったレシピや店での提供を意識した現実的なレシピが多かった」とし、今回の応募作品の自由な「アイディア」に新たな可能性を期待した。

審査員のシェフたちは「冷めてもおいしい」「状態が変わらない」等のカルローズの魅力を知り、日頃レストランの現場で使い込んでいる。
一方で、料理家たちは「家でも作ったみたいか」「アレンジしやすいか」など、わかりやすく噛み砕き、発信して一般消費者に届けるという観点から意見を挙げた。

アメリカ大使館農産物貿易事務所・所長エリク・ハンセン氏

そうして選ばれた入賞者たちが11月13日八芳園(東京都港区)に会し、表彰式にて結果発表を受け、アメリカ大使館農産物貿易事務所・所長エリク・ハンセン氏から表彰状と目録が贈られた。
表彰式の後には、樋口さんをモデレーターとした審査員によるパネルディスカッションで、受賞作品の講評、コンテストの総評がなされた。
総合司会は料理王国オフィシャル料理家から筆者神田えり子が務めた。

無花果飯

最優秀賞に輝いたのはリストランテt.v.b・井澤有美子さんの「無花果飯」。イカ飯から着想を得た、和菓子のようなデザートで、赤紫蘇風味のイチジクのコンポートの中に、日本酒で煮たカルローズリゾットに白餡と甘納豆を混ぜたものを詰めた。
「冷めてもおいしい」「軽い食感」「香り・味を吸収しやすい」「事前の下茹でが可能」といったカルローズの特長を駆使した作品で、きなこのクッキーがアクセントになり、全体のバランスの良さが高く評価された。

成澤文子さん

審査員の成澤さんは「お餅でもない、おはぎでもない新しい使い方。他の素材と組み合わせてアレンジしやすい」とその独創性と可能性を評した。佐藤さんは「他の食材の味を支えられる、カルローズの特長が活かされている」と語った。

今回の応募作品には、カルローズの特性を採り入れやすいライスサラダやリ・オレが多く見られた。「その中でもこれはリ・オレの発展形。情報量の多い味が見事にまとまっているのは、カルローズがすべてを受け止めてくれるから」と稲田さんは称えた。

カルローズの四川坦々風 ふわトロ卵添え

優秀賞に選ばれた、宗政豊さんの「カルローズの四川坦々風 ふわトロ卵添え」は「中華の“拌麺“の手法が、日本米でも長粒米でもないカルローズがしっくりくる。”拌麺”ならぬ”拌飯”として発展する可能性を感じた」と稲田さんは講評した。
深沢さんは「ラー油やごま油、山椒油など多くの油を使っている。油と相性がいいカルローズは、中華料理にも合うと改めて感じた」と評価した。

深沢あやさん
アオリイカのライスサラダ  カルローズの出汁茶漬け仕立て

もうひとつの優秀賞である、ル・プランタン水野源太さんの「アオリイカのライスサラダ  カルローズの出汁茶漬け仕立て」は、カルローズのゆで汁を使う点が注目された。
成澤さんは「お米は炊飯がほとんどなのでゆで汁を使うレシピをあまり見たことがなかった。ベタつかないカルローズだからこそ」と語り、「お米を茹でることが一般家庭では馴染みがないが、ゆで汁を使えるとなると試したくなるし、料理の幅が広がる」と日本の家庭での汎用性をふまえた意見を挙げた。
深沢さんは「ライスサラダ、リゾット、チップス、そして出汁とカルローズの4つの調理法が使われている。あっさり軽く仕上がり、冷たくても楽しめるカルローズの特性を活かしている」と語った。

カルローズの使用法として定番のライスサラダやリ・オレを、独自の手法で発展させた作品が賞された「第1回カルローズレシピアイディアコンテスト2024」。
全体を振り返り、青島さんは「カルローズは茹でる調理法が向いているが、自分は10分ほど茹でて自然に冷まし、蒸らしたような食感にしている。カルローズの特長を活かす茹で方、炊き方を試してほしい」とした。
モデレーターを務めた樋口さんは「最優秀賞、優秀賞ともに他の応募作品とは違うアイディアや新しい使い方を提案していた。カルローズの方向性やバリエーションの整理ができた第1回となった」とし、「食べ手にもカルローズの特性を知ることでよりおいしく感じてもらいたい」と、一般消費者への訴求をしながら総評し、締めくくった。

樋口直哉さん

シェフ、料理家、それぞれのフィールドで培った経験や知識に裏付けされた意見を盛んに交えながら行われたパネルディスカッション。日本でもレストランではすでに認知度が高く人気のカルローズが、今後一般家庭の食卓により多く上がり愛されることに、料理家の視点が役立つのではないだろうか。

USAライス連合会
https://www.usarice-jp.com

受賞作品のレシピはこちらからご覧いただけます。
https://www.usarice-jp.com/activity/pro_contest/2024/

text:神田えり子

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