日々、料理に研鑽を重ねているのは、シェフも料理家も同じ。
一方で、シェフが飲食店でゲストに料理を提供するのと、家庭料理のコツを教えるのでは異なる視点が必要だ。
そこで、生産者、プロのトップシェフ、料理家の三者の交流を広げ、互いに刺激し合い、ともに料理業界を盛り上げる
—– そんな新しいコミュニティを構築するためにスタートしたのが、この「料理王国アカデミーサロン」。
ひとつの食材をテーマに、その調理に精通するシェフが講師役となり、料理家に技術を教え、教わった料理家たちは学んだ技術を生かしたレシピを考え、ここに披露する。
中村哲也
1977年、埼玉県生まれ。南フランスとアルザスで3年半余り修業をし、ひらまつの店舗で研鑽を積んだのち、2019年4月に「フィリップ・ミル東京」の料理長に就任。東京のキッチンで、フィリップ・ミルが追い求める独自の料理をお客様に提供するべく、一切妥協のない最高の料理を日々追求している。
フロリダグレープフルーツ
世界屈指のグレープフルーツ産地として知られるアメリカ。なかでもフロリダ州は、アメリカ産グレープフルーツの約40%を占めるアメリカ最大の産地として知られる。特に太平洋沿いの南北約300km広がるインディアンリバー地区は、太陽の光に恵まれた亜熱帯気候の土地で、降雨量も多い。海沿いのため、土壌は海水の影響でカルシウムやミネラルも豊富だ。そんな大地に育まれたフロリダ産グレープフルーツは、皮が薄くて果汁が多く、糖度と酸度のバランスがとれた世界最高品質のグレープフルーツといわれている。
仁保州博
1974年、鳥取県生まれ。学生時代に訪れたイタリアの地で、美味しい料理と陽気な人々に惹かれ、自らもイタリア料理の道に進むことを決意。調理師専門学校を卒業したのち、19歳で都内のイタリア料理店に入り、修業する。1998年に「ヴィノ・ヒラタ」に入店し、2009年に同店の料理長に就任。2010年5月、オーナーシェフに就任し、現在に至る。
南イタリアの黄金のトマト「ティアラム」
日本ではあまり馴染みのない黄金のトマトだが、実は赤い実のトマトの祖先。最初にヨーロッパに伝わった約500年前、トマトは黄金色だったといわれている。大きな特徴は目の覚めるような色と強い甘味、芳醇な香りの3点。高級レストランから家庭のキッチンまで幅広く使われ、イタリアのフーディたちを楽しませてきた。缶詰なので扱いやすいのも魅力。
村島輝樹
専門学校卒業後、渡仏。帰国後、銀座「マノアール・ダスティン」で働いた後、渡伊。フリウリ州の一つ星レストラン「LA TAVERNA」で修業し、帰国。恵比寿「モナリザ」のスーシェフ、大阪「ル・コントワール・ド・ブノワ」の立ち上げ時のシェフ・ド・パルティを経て、台北「L’atelier de Joël Robuchon」でスーシェフを務める。銀座「ESqUISSE」「ARGILE」でシェフ・ド・キュイジーヌを務めた後、2020年に「シック プテートル」のシェフに就任。
マナガツオ
日本では、北海道以南の日本海や太平洋、瀬戸内海などに分布。鮮度のいい身は透明感がある白身の魚で、高級魚として知られる。脂がのっていて、身はほどよく柔らかで美味。鮮度が落ちやすい魚なので、手に入れたらすぐに下処理をすることが大事。「僕は、氷水のなかに漬け込んで、マナガツオがプカプカ浮いた状態にしておく」と村島シェフ。
島田哲也
23歳で渡仏。「アルページュ」(3ツ星)などの星付き店、パティスリー、プーランジェリーなどで研鑽を重ね、帰国後、恵比寿に「イレール」をオープン。“日本食材”を用いたフランス料理が話題となる。その後、「イレール・ドゥーブル」「イレール・ボントン」などを展開し、2013年に念願のビストロ「イレール人形町」を開く。
赤城牛
群馬県の赤城山麓でていねいに育てられた赤城牛は、黒毛和種と乳用種を交配した交雑牛で、きめ細やかな良好な肉質と風味の良さ、甘味のある脂が特徴だ。味、風味、柔らかさのバランスもよく、口に入れればうま味が肉汁とともに口中に広がる。うま味の元であるアミノ酸を多く含み、赤身肉のうまさには定評がある。
太田成志
1970年神奈川県生まれ 辻調理技術研究所卒業後、大阪のフランス料理店「エプヴァンタイユ」入社。単身渡仏し、星つきレストランやベルギー王国王室御用達レストラン「ル・サングリエ・デ・ザルデンヌ」で5年の修業を積む。帰国後、石川県金沢市のフランス料理店料理長、在日ベルギー大使館公邸料理長を経て、2004年石川県金沢にて「ル・マルカッサン」開業。14年、店名を新たに「ル・マルカッサンドール」として、神奈川県北鎌倉に開店。
ノドグロ
アカムツとも呼ばれ、漁獲量自体は多くないが、石川県を代表する魚介類の一つとして全国に知られる。“白身のトロ”と称され、白身魚でありながらも、濃厚で上品な脂と旨みがある。熱を通しても硬くならないのも特徴。一年を通して食べられるものの、地元では晩秋から冬がもっとも美味しい時期とされる。
田淵 拓
1978年、徳島県生まれ。イタリア各地のレストランで6年修業後、ドイツ・ハンブルグで2軒のレストランをプロデュースし、メインシェフを歴任。帰国後の2016年、東京・西麻布にイタリア料理店「サッカパウ」をオープン。型にはまらない“今”を体感できる料理を生み出すフードクリエーターとして活躍。
オージーラム
ラムとは仔羊のこと。大人の羊(マトン)よりも柔らかく、 まろやかな味わいをもつ。広大な大地で育ったオーストラリアのラムは質が高いとされる。またトレーサビリティ体制が敷かれ、官民一体で安全管理と品質管理に取り組んでいる。高たんぱくで、鉄と亜鉛をたっぷり含んでおり、栄養価の面からも積極的に摂りたい食材である。
黒森洋司
1976年、神奈川県生まれ。東京・西麻布「香港ガーデン」でキャリアをスタート。28歳で「福臨門魚翅海鮮酒家 二子玉川店」で、グループ初の日本人料理長に就任。2011年の東日本大震災後“料理人としての復興支援”を模索し、仙台に移住。14年、仙台市若林区荒町に「楽・食・健・美 -KUROMORI-」開店。16年、太白区向山に移転。18年、第9回「料理マスターズ」ブロンズ賞受賞。19年、現住所に新店舗を構える。
メカジキ
カツオやサンマと並ぶ、気仙沼のトップブランドのひとつ。水揚げ量日本一で、魚市場に100kgを超す大きな魚体が並ぶ様は壮観。メカジキはスズキ目・メカジキ科に分類されるカジキの仲間で、長く突きだした吻(ふん)が印象的。クセがなく、程よい脂がのり、身がやわらかいのが特徴。
奥田政行
1969年山形県鶴岡市生まれ。高校卒業後に上京し、イタリア料理店やフランス料理店、製菓店などで働く。帰郷後、2000年「アル・ケッチァーノ」を独立開業。04年「食の都庄内」親善大使に任命。07年ドルチェの店「イル・ケチァーノ」、09年 東京・銀座に「YAMAGATA San-Dan-Delo」開業。「スイスダボス会議」など海外で数々のフェアを行なう。文化庁長官表彰など受賞歴多数。
比内地鶏
日本3大地鶏のひとつ、比内地鶏。比内地鶏は、在来種の比内鶏(オス)とロードアイランドレッド(メス)の掛け合わせた鶏で、はっきりした歯応えと強い旨みが特徴。ヤマドリに似た風味と香気があり、寒冷な気候で育つため、皮が厚く、脂も甘い。