これで安心!フランス料理店用語集(料理・素材編)


【アミューズ・ブーシュ】amuse-bouche

和食でいう「突き出し」。1皿目の料理が出るまでの場つなぎ的なもので、食前酒とともに少量をつまみながら後に続く料理に思いを馳せる。オリーブの実、ひと口パイ、小魚の揚げ物、コルニション(ピクルス) などが大定番で、手でつまんで食べられるものが多い。今はやや手の込んだ料理やスープなど工夫を凝らしたものも増えている。

【ヴルーテ】velouté

肉の赤ワイン煮元の意味が「ビロードのようななめらかさ」。まさにその食感を目指したもので、ソースとポタージュの2種がある。ともにルーを用いるクラシックな調理法だが、現在は材料や作り方を問わず、なめらかさを意識的に追求したポタージュをヴルーテと称している例が多い。または小タマネギ、シャンピニョン、ベーコンなどでつくる付 け合わせを添えたもの。ブッフ・ブルギニョンが有名。

【エピス】épice

スパイス。種子、実、葉などの乾燥品で、コショウ、コリアンダー、ナッツメッグ、サフラン、フェンネル、クローヴ、ローリエ、シナモン、カレー粉など。タイムやバジリコ、ローズマリーなどフレッシュの香草はエルブ(herbe)。

【ガスパチョ】gaspacho

元はスペイン料理だが、今やフランス料理として完全に定着。数種類の野菜を生のままピューレ状に仕上げた冷製スープで、野菜の青っぽさの残ったフレッシュな風味が特徴。キュウリ、トマト、タマネギ、ピーマン、セロリなどが主材料で、ニンニクや唐辛子、ハーブ、酢、オリーブ油等で風味づけし、パン粉も少量入れてわずかなとろみをつける。最近は必ずしも生野菜だけで作るとは限らず”みずみずしさ”を表現したスープにこの名をつけている例もある。

【ガレット】galette

パンケーキのように丸く平たく焼いたもの。そば粉やジャガイモのガレットが伝統的だが、たとえばエビを細かく叩いて円盤状に焼いたものなど、素材は多様化。

【クスクス】couscous

北アフリカ生まれで、フランスやイタリアに浸透。スパゲッティと同じ硬質小麦 (デューラム小麦)の粗挽き(スムール)を水で湿らせて蒸し、スパイスのきいた具だくさんの野菜スープ(肉入り、魚入りなどいろいろ)をかけて食べる。一方、蒸したスムールを冷まし、ミントやパセリ、香味野菜のみじん切りなどを混ぜてレモン汁やオリーブ油で調味した冷製サラダ風 も最近ではクスクスと呼んでいる。こちらはタブレtabbouléともいう。

【コート、コートレット】côte côtelette

いわゆるロース肉で、あばら骨1本単位で切り分けた骨付き。コートは牛や仔牛の大形ロース肉、コートレットは仔羊、豚、 鹿などの小ぶりのロース肉。

【コンフィ】confit

砂糖(シロップ)漬け、アルコール漬け、油脂漬けなど、加熱調理して漬け込んだもの。砂糖や酒を使ったものは主にフルーツ、肥漬けは肉や野菜に多い肉では鶏、鴨、家ウサギ、フォワグラ、砂肝のコンフィが有名。塩やスパイスに漬けてから80℃くらいの脂で煮るのだが、ライト化の流れとともにマリネ時間や煮る時間がかなり短縮してきている。油脂の種類も鴨の脂のようなコクのあるものからサラダ油等の軽いものに移行中。さらに昔は保存食の名残で、煮た油脂の中に漬けておくのが普通だったが、今は作りたてを供する店も出てきている。一方、トマトやニンニクなどの野菜のコンフィは、油脂分を補ってオーブンで柔らかく蒸し焼きにしたものが多い。

【コンフィテュール】confiture

フルーツのジャム、あるいは糖分のある ものでジャム状に煮た野菜などをいう。

【サルミ】salmis

ヤマバトやヤマシギ、ヤマウズラなど野鳥類の代表的調理法。本来は野鳥1羽を若めにローストし、その鳥のガラを煮出したソースで軽く煮て仕上げる方法。現代では、鳥をちょうどよい火入れにローストし、ソースを添えるというのが主流。ローストで出たジュ(焼き汁)をベースにソースを作ることもあり、たいてい鳥の内臓を溶かし入れる。内臓はピューレにしてクルトンに塗って添えることも多い。

【シヴェ】civet

ジビエでも鹿や猪など野獣を使った煮込み。赤ワインでマリネしたり煮汁にたくさん使うなどし、多くの場合血でつないでいる。

【ジュレ】gelée

英語でいうゼリー。ブイヨンやコンソメなどゼラチン分を含んだものを冷やし固めたもの。またワインなどの酒やシロップにゼラチンを溶かし、冷やし固めたものなど。口当たりのよさから、今ではゆるゆるの固まり具合が圧倒的主流。ジュレ添え、ジュレがけ、ジュレ寄せなど料理への登場の仕方はさまざま。

【ソヴァージュ】sauvage

「野生の」の意。メニューに頻出するのはカナール・ソヴァージュ(野門)などのジビエ。昨今は飼育をしているジビエが増えているため、「正真正銘の野生」を強調するときに使う。ほかにアスペルジュ・ソヴァージュ(野生のアスパラガス)やリ・ソヴァージュ(ワイルドライス)なども。

【タプナード】tapnade

南仏プロヴァンス生まれのペーストで、ケイパー、黒オリーブ、オイル漬けアンチョビーをすり潰すかみじん切りにして混ぜ合わせたもの。酸っぱさ、塩辛さ、コク、香りが入り交じった個性の強い味で、ソースに混ぜたり、詰めものや薬味的に少量添えるなど活躍の場は多い。

【タルタル】tartare

マヨネーズベースのタルタルソースもあるが、料理では生生肉を細かく叩いたタルタルステーキを指す。最近の傾向は生の魚介を細かく叩いてタルタルステーキ風に作る料理が多いこと。

【ナージュ】nage

魚介料理の一スタイル。元は野菜主体の ブイヨンをベースにした爽やかなソースの中に、同じく野菜中心のブイヨンでゆでた甲殻類を盛りつけたものだった。語源が「泳ぐ」であることから、甲殻類が泳いでいる姿を再現したものである。しかし、現在では魚の切り身や貝なども使い、加熱法もシンプルに蒸すなど多様に。ソース自体もかつてのバターや生クリームの調味は影を潜め、よりライトにスープ的な作りになっている。

【ブーダン】boudin

一般には豚の血入りソーセージのこと。 豚の血に炒めた背脂やタマネギ、生クリ ームなどを混ぜて腸詰めにし、ゆでてグ リエにして供する。真っ黒な色からついた名前がブーダン・ノワール(黒いブーダン)。最近は、詰めものをそっくりテリーヌ型に詰めて、オーブンで蒸し焼きする提供法も出現。形は似ても似つかないが、味を崩さず形状を変えた新スタイルということか。また鶏肉や白身魚など白身肉のムースを腸に詰めたブーダン・ブラン (白いブーダン)や、腸には詰めないがブーダン形に仕立てたものも。

【フラン】flan

見た目、食感は茶碗蒸しに近い卵生乳 生クリームなどを合わせた生地を、たとえば野菜のピューレやフォワグラの裏ご しなどに混ぜ、型に流して蒸し焼きにし たもの。口どけのよさやコクのあるおい しさがロングセラーの所以。

【フリテュール】friture

素揚げ、衣揚げなど油で揚げたもの。ただし、肉の揚げものなどに使うことはなく小魚や小さく切った界、野菜の場合が多い。フリット(揚げた)という形容詞を使うことも。衣揚げはベニェ(beignet)の名で登場することもある。

【ムース】mousse

ピューレ状にした素材に、泡立てた生クリームやメレンゲを混ぜてふんわり軽い口当たりにした料理(あるいは菓子)。最近ではそうした気泡を加えず、ベースの素材をミキサーで泡立てただけのものもムースと呼ぶ例が増えている。

【ラグー】ragoût

フランス料理にはいろいろなタイプの「煮込み」があり、それぞれに固有の言葉がある。そんな中で、どんなタイプの人みにも使える線的な言葉がラグー。

【リエット】rillettes

ねっとり柔らかなパテ風の料理。豚肉、鴨肉などをコンフィのように脂で柔らかく煮てから細かくほぐし、型に詰めて冷やし固めてある。元は保存食の家庭料理だが、クルトンと一緒にアミューズ・ブーシュ的に供するレストランも。

本記事は雑誌料理王国142号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は142号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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