「デリバリーでいいや」から「デリバリーがいい」へ。menuの新たなる挑戦


2020年の4月にテイクアウトとデリバリーのサービスのmenuの記事(https://cuisine-kingdom.com/menu-inc/)を書いたのですが、結構なアクセスがあったという事で、最新情報にアップデートすべく、改めてmenuさんに取材をさせていただきました。

各飲食店がお店の営業時間を短縮または休業する中で、一気に浸透したデリバリーとテイクアウト。その取材時の世の中の流れでは「飲食店が生き残る方法の一つ」としてのイメージが強かった事を覚えています。

そして、あれから1年と3か月。コロナがいまだに猛威をふるっている事には変わりありませんが、ワクチンの接種開始などを受けて、少しづつではありますが、コロナ後を見据えた動きも出て来ました。

今回は今後さらに変化していくであろう、デリバリー業界について、menu株式会社のコミュニケーション本部本部長の山敷真さんに、ここ1年と、これからをテーマにお話を伺いました。

menu株式会社のコミュニケーション本部本部長の山敷真さん


まずは、menuとは?

menuとは一言で言うと、デリバリーとテイクアウトのアプリとなります。

元々はテイクアウト専門のアプリでしたが、デリバリーに大きく力を入れています。一つのアプリでテイクアウトできる店が検索でき、ここ1年で2300店舗から6万店舗へ登録店舗が急増。46都道府県をカバーし、24時間配送可能のエリアを作るなど、積極的で他社とは違うサービスを次から次へと打ち出しています。

飲食店と飲食店をつなぎ、日本全体を大きな「メニュー」としたいとの思いから「menu」を会社名にしたそうです。

個人的なアプリを使ってみての感想ですが、日本企業のデリバリーアプリなので日本人になじみやすいインターフェースと感覚のアプリだなと感じています。

「デリバリーでいいや」から「デリバリーがいい」への道

今回、山敷さんの話を伺っていて感じたことは、デリバリーの将来性でした。その中で最も特徴的な言葉がmenuの社内でよく使われている「デリバリーでいいや!から、デリバリーがいい!へ」。このフレーズいいですよね。ガツンと心に響きました。

ここ1年でデリバリーサービスが広がった理由は「それしかお店を続ける方法がなかった」など、元々やりたくない&やる予定がなかったのに「やらざるおえなかった」ネガティブな理由がほとんどだと思います。

私も、「コロナ後はデリバリーとかなくなるのではないか??」とぼんやり思っていました。

しかし、ここ1年でデリバリー業界は確実に進化し、「デリバリーでいいや」から「デリバリーがいい」への道を着実に進みつつあるし、飲食店の新しい収益源であり、お客様とつながる新しい方法になりつつあると感じました。

デリバリーだからこそできることがある。やれることがある。

「例えば、お店の席数以上にお客さんに料理を届けられるのが、デリバリーです」と山敷さん。確かに。その視点はなかった!お店がどんなに小さくても、味が良く人気さえあれば無限にお客さんを増やすことが出来ます。そして、デリバリーは地域的制約も関係がない。地下であろうとビルの上であろうと、アプリで見るときは同列表示ですから。

手間やコストを下げる意味でもデリバリーサービスは今までの出前と大きく違います。メニューを配る、電話を受ける、注文を口頭で聞く、届ける。この手間が一般の出前ですが、この部分をアプリとサービスが代行してくれます。

そして、一番の個人的なポイントとして、「きちんと育てれば、デリバリーは収益のもう一本の柱になる」のではと。私自身会社経営をしているのですが、収益の柱が多ければ多いほど運営は安定します。ここでのポイントは「きちんと考え、運営する」事。しっかり考え、ブラッシュアップを続けているお店は、お店へのお客さんが戻った後もしっかりとデリバリーも動き続けているそう。「何となく始めた」「儲かりそうだから始めた」系のお店はやはり、鳴かず飛ばずになる場合が多いそうです。

他社とはここが違う!

日本はもともと出前文化があります。蕎麦や寿司など、晴れの日などに、もともと出前を頼む文化があり、それが続いてきていました。子供のころ家に寿司桶が並ぶドキドキ感は今でも思い出します。また、デリバリーアプリの登場でこの「晴れの日」の出前が多様化し、疲れた時、一人でゆっくりしたいとき、家で美味しい物を食べたいときなど、シュチエーションを問わず出前に人々が触れるようになってきました。お話を伺ううちにデリバリーの可能性や、今後もこのまま日本の文化として固定化して事がおぼろげながら浮かび上がってきました。

さて、そこで気になるのが、数あるデリバリーサービスの中での「menu」の特徴です。消費者向けの情報はよくあるのですが、今回は飲食店向けにどう他とは違うのかをまとめてみました。

1,新規を作り、リピートを増やす積極的な施策。
TVCMや、初回キャンペーンなどで積極的に新規の利用者を増やしているととに、リピートなどを促進する面白い施策として。


・menuガチャ:口コミを促進。スマホゲームでよく見るガチャシステムを利用。
・至高の名店:予約困難店や有名店のデリバリーサービス。
・menu pass:月額980円(税込)で基本配達料の300円が何度でも無料と言うサブスク。

等があり、親会社がゲーム会社という事で、楽しめるゲーム要素が入ったり、サブスクで利用者を増やしたりと、IT技術活用系の施策を打ちつつ、ポスティングなどのアナログも混ぜ込み、新規顧客の獲得とリピートに力を入れているそうです。

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2,サポート体制の充実

注文後放置があると電話で連絡などIT技術の活用だけではなく、電話などアナログな手段なども活用し、お店側にサポートを行っています。そして、新しく加盟するお店にはガイドブックを配布やアドバイスを通して、テイクアウトの質を高める事もやっているそうです。
「30分後に美味しい物をみんなで考えましょう!」がコンセプトで、そういえばお寿司屋さんは出前とお店だと食べる時間が違うから握り方を変える的な事と近いなと。

3,他社とは違うサービス

他社と違うのがカバー範囲。現在(2021/07/06)46都道府県をカバーしています。こちら、首都圏集約の方がビジネス的に正解な気がしますが、「日本全国をメニューに!」と言う意気込みを感じますね。都心の一部で24時間配達をしているのもすごい。ライバルが少ないのと、客単価が高いのでねらい目だとか。

取材を通して著者の感想

最初、山敷さんの話を聞くまではデリバリーの将来を想像できていませんでした。コロナ期が終わったら静かに無くなっていくのではとも思っていました。しかし。山敷さんの「デリバリーでいいや」から「デリバリーがいい」が社内の合言葉とお聞きし、その後の話を聞いているうちに、デリバリーに対する認識が変わりました。

店舗ごとの事情にもよるかと思いますが、収益の柱の一つとしてデリバリーを育てていく事は、席数や立地に縛られない事ですし、メニューの研究、価格の研究などが必要でしょうが、今後中途半端な店がなくなり、質がどんどん上がり、出前文化の一形態としてデリバリーアプリは進化していきますね。これは。

Menuさんの取材でしたが、デリバリーの今後についてめちゃくちゃ勉強させていただきました。今日の昼はデリバリー頼んでみます。

山敷さん 貴重なお話しありがとうございました!

取材・文・撮影=菊池一弘
写真提供=menu株式会社

菊池一弘
株式会社場創総合研究所代表取締役。羊好きの消費 者団体齧協会主席。羊を常食とする地域で育ち、中国留学時にイスラム系民族の居住区に住んでいたことなどから、20代前半まで羊は世界の常識と思ってそだつ。本業は「人を集める事」企画から集客、交渉や紹介など。公的団体の仕事から、個人までできる事なら何でもやるスタンス。最近は四川フェスの運営団体麻辣連盟の幹事長も兼務。監修書籍に「東京ラムストーリー(実業之日本社)」「家庭で作るおいしい羊肉料理(講談社)」がある。



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