子どもの頃から器械体操に秀で、留学も体験した井浦さん。そのせいか将来の夢に「海外」というキーワードが不可欠になっていく。
「体重コントロールのために食材や調理法も工夫していたので、自然と料理にも興味を覚えるようになりました」
高校生になると進路を体操から料理に転換。調理師専門学校を卒業し、フロリダのウォルト・ディズニー・ワールド内の日本食レストランで働いた後、公邸料理人に応募した。
「日本の料理界は男社会ですし、特に和食の場合は、前菜から焼き場にたどり着くまで何年もかかります。でも公邸料理人ならなんにでも挑戦できる。すべて1人でやらなければならないので責任重大ですが、逆にその覚悟さえあれば自分の考えで自由に料理ができる。そこに魅力を感じたのです」
ただし修業には真剣に臨み、また海外では鮨職人としての技術が求められるだろうと、すすんで鮨の勉強もした。
「海外ではほしい食材が手に入らないことも多いので、現地の食材を日本風にするアイディアも大切です。たとえばアメリカ人が好んで食べるサーモン。これを黒ゴマで包んで焼く “南部焼き”にしたら非常に喜ばれ、話題にもなりました」
創意工夫と挑戦を楽しむことができれば、公邸料理人の仕事はやりがいに満ちている。
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