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いまさら聞けない食知識!シャルキュトリとは?

バイヨンヌの生ハム IGP フランスの食文化 シャルキュトリバイヨンヌの生ハム IGP

素材、製法、地域性を含んだ本物へのこだわり

バイヨンヌの生ハム IGP フランスの食文化 シャルキュトリバイヨンヌの生ハム IGP
バイヨンヌの生ハム IGP
IGPとは保護地理的表示のこと。この格付けを名乗るための厳しい条件をクリアしたバイヨンヌ産の生ハムは、ヨーロッパを代表するシャルキュトリのひとつ。
photo by la ruelle

シャルキュトリとは、食肉加工品全般を総称するフランス語で、「chair(肉)」と「cuite(火を入れる)」が語源とされている。生ハムやソーセージ、テリーヌ、パテ、リエットなどが、日本ではなじみ深いが、ヨーロッパには素材や製法、地域による違いから、数えきれないほど多くのシャルキュトリがあるといわれている。

ワインバーや肉バルのブームで、シャルキュトリ自体の認知度が上がってきているなか、フランスに「シャルキュトリ規定書」があることはあまり知られていない。規定書は、1968年に初めてまとめられたもので、品質管理を含めた原料や香料、燻製法、添加物などが厳しく規制されている。さらには、現存する製品を製造方法によって分類した詳細なリストが記載されている。

一方で、シャルキュトリの製造には多種多様な技法が存在する。たとえば、フランスでは各地域に独自の調理法があり、その特徴によって生産地が識別できるほどだ。原料のバリエーションや製造法も、実に種類が豊富なため、シャルキュトリを厳密に分類するのは容易ではないとも言われている。

また、シャルキュトリに適した豚の飼育も確立されており、地域によって、たとえば、バスク地方の原産品種であるキントア豚やバイヨンヌ豚などは、高品質で人気の商品だ。多様性に富んだシャルキュトリのなかから、日本で扱いやすい製品を紹介するとともに、本場のシャルキュトリを使った料理を味わえる店も紹介する。

シャルキュトリの主な人気商品


シャルキュトリは、地方ごとに個性が異なり、代々受け継がれた味もあり、知れば知るほど、その奥深い世界に驚かされる。そんなシャルキュトリのなかから、日本でも扱いやすい製品を紹介する。
photos by Jean Fondacci

フランスの食文化 シャルキュトリ ジャンボン

ジャンボン・セック Jambon cuit
ジャンボン・クリュ Jambon cru
ジャンボンはハムのこと。セックは乾燥生ハム、クリュは生ハムのこと。生ハムの風味が増すのは熟成段階において、熟成の期間が長いほど、味わいは深まると言われており、なかには36カ月にわたって熟成期間をもつものもある。
有名な乾燥ハムの種類
バイヨンヌの生ハム Jambon de Bayonne
ラコースの生ハム Jambon de Lacaune

ソシソン・セック フランスの食文化 シャルキュトリ

ソシソン・セック Saucisson sec
ソシソン・セックはドライソーセージのこと。ひき肉に塩や香辛料を混ぜ合わせたものを腸の中に詰めて作る。肉の挽き方によって、フランスに多い中・粗挽きタイプと細挽きタイプの2種類に大きく分けられている。
有名な乾燥ソーセージの種類
オーヴェルニュのドライソーセージ Saucisson seche D’Auvergne
ソシース・セッシュ・ア・ラ・ペルシュ Saucisson seche a la peche
リヨンのドライソーセージ Saucisson de Lyon

リエット フランスの食文化 シャルキュトリ
パテ フランスの食文化 シャルキュトリ

パテ Pâté
リエット Rillettes
パテとリエットは種類が豊富です。原材料や肉の下準備の方法、肉の挽き方や加熱方法の違いによって、製品が異なる。材料となるのは豚肉、またはガチョウ、鴨。滋味豊かで、長時間の過熱にたえられるような成熟したものを使う。
有名な乾燥ソーセージの種類
ブルターニュのパテ Pâté Bureton
レンヌのパテ Pâté Rennais
マンとサルトのリエット Rillettes du Mans et de la Sarthe

フランスの食文化 シャルキュトリ
フランスの食文化 シャルキュトリ

アンドゥイユ Andouille
アンドゥイエット Andouillettes

シャルキュトリ製品のなかでは特に脂肪分が少なく、タンパク質を多く含んだ食品。豚の腸を粗く引いたものを腸詰にして、加熱して作られる。アンドゥイユはアンドゥイエットよりも太さも長さも大きい腸につめられ、燻製にする。
主な種類
ゲメネのアンドゥイユ Andouille de Guémené
トロアのアンドゥイエット Andouillette de Troyes

フランスの食文化 シャルキュトリ
フランスの食文化 シャルキュトリ

ブーダンノワール Boudin noir
ブーダンブラン Boudin branc

ブーダンノワールは、最も歴史の古いシャルキュトリの一つ。豚の血と脂肪、タマネギが主な材料で地域によってはこれに肉や臓物を混ぜる場合もある。ブーダンノワールは鉄分を多く含む食品の最上位としても知られている。

問い合わせ先 株式会社オーダス ☎03-5615-8177
FICT(フランスシャルキュトリ・ケータリング・食肉加工工業連盟) www.charcuterie-japan.com

地域ならではのシャルキュトリを楽しむ文化がフランスにはある

ルグドゥノム・ブション・リヨネ クリストフ・ポコさん

ルグドゥノム・ブション・リヨネ クリストフ・ポコ
ポコさんは、15歳で料理の世界に入り、25歳で来日。ホテルの総料理長などを経て、2007年に「ルグドゥノム・ブション・リヨネ」で独立。日本シャルキュトリ協会会長も務める。

シャルキュトリは、フランスの食文化。その地方ならではの特色がある。「私の生まれた町、リヨンはよく美食の街と言われますが、アンドゥイエットやソシソン・ド・リヨンなど、シャルキュトリ作りが盛んな土地柄でした」 と、日本シャルキュトリ協会会長も務める、クリストフ・ポコさんは語る。家族でシャルキュトリをシェアして食べた、楽しかった食事の記憶─。シャルキュトリは、フランスの地方ごとの生活のなかに、食文化として根差しているのだ。そんなポコさんが作ってくれたのが、パテ・アン・クルートだ。シャルキュトリをギュギュっと詰め込み、生地でつつんで焼き上げる。「シャルキュトリだけなく、生地の扱いや料理の技術も必要とされる、職人技の粋です」

フランスの食文化 シャルキュトリ ルグドゥノム・ブション・リヨネ

Lugdunum Bouchon Lyonnais
ルグドゥノム・ブション・リヨネ
東京都新宿区神楽坂4-3-7 海老屋ビル1F
● 11:30~15:30(14:00LO) 18:00~23:30(21:30LO)
● 月、第1・第3火休
● コース 昼1950円~ (土・日・祝日は2950円~) 夜3950円~
● 40席
www.lyondelyon.com


柳本元晴=取材、文 伏木 博(店舗)=撮影
text by Motoharu Yanamaoto photos by Hiroshi Fushiki


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