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異なる役割を担う兄弟の挑戦!麻布十番「LA COMETA 」が見据える頂き


同じ頂きを見据えること、歩みを止めないこと

LA COMETA 鮎田淳治、鮎田留佳、鮎田晃アンドレア

 鮎田淳治シェフが麻布十番に「LA COMETA (ラ・コメータ)」を開店したのは1982年。当時、イタリア料理といえばピザとスパゲティのイメージしかなかった日本で、いち早くリアルなイタリアの味を紹介してきた先駆者の一人だ。自らの生きる基盤はイタリアにあると話す鮎田シェフは、毎年数度現地を訪ねて肌で感じとることを欠かさない。食を取り巻く環境が刻々と変化する中でも、目指すところは今も昔も変わらないからだ。

「イタリアの息吹に触れて、日本へ今のイタリアを届けたいということです。日本でイタリアを表現できる新鮮な素材をひとつでも持ち帰り、真のイタリア料理を紹介することが僕の役割だと思っています」

兄弟で異なる役割を担い二人三脚でゴールを目指す


 鮎田シェフのバトンは留佳さんと晃さんが受け取る。留佳さんは鮎田シェフが立ち上げた輸入食材商社「アイランドフーズ」の運営責任者として、晃さんは「ラ・コメータ」で鮎田シェフとともに厨房に立ち腕を振るう。「僕がイタリアで見つけてきた新たな素材や技術を晃が取り入れて料理という形にして伝えていく。僕たちは結構いいコンビだと思いますよ」という留佳さんの言葉に笑顔を見せる晃さんも「父がやりたいことを実現していく姿を間近で見てきたので、僕たちが同じ思いを抱くことは自然なことでした。イタリアの食を日本へ届けるという同じ頂上を目指していますが、ルートや方法は父と違っていい。僕たちの使命は父ができなかったことや、やってこなかったことに挑戦することだと考えています」と続ける。

 今年4月にスタートした「LACOMEDELI (ラコメデリ)」はその挑戦が形となった一つで、お店へ足を運べない方に「ラ・コメータ」の味を冷凍で届ける新たなサービスだ。数年前から企画を温め、現地メーカーとの共同開発した冷凍パスタは、これまで冷凍では表現できていなかった手ごね感のある絶妙な食感を実現した。今回は完成に伴い、店でも初提供となる二皿を披露してくれた。

「想像以上によくできたパスタですよ。噛んだときの食感はもちろん、舌へのせたときの舌触りがいい。現地との取引も今は意欲が問われる時代。うちのような小さな店でも志が合えば、大手メーカーともタッグを組んでいいものが作れる」と、鮎田シェフもその挑戦を讃える。

「父の味はもちろん、イタリア料理の伝統は最も大切ですが、進化させていくことが若い世代の務め。守りに入って立ち止まったら途絶えてしまいます。新しい技術を取り入れた新たな食の提案は、僕たちがこれからずっと続けていく挑戦。新たなお客様との出会いも原動力ですね」と、兄弟は笑顔で揺るぎない決意を語った。

イカスミのタリオリーニウチダザリガニのソース

オリーブオイルにニンニク、ソフリット、アンチョビ、ローリエを合わせてザリガニの頭と尻尾を入れる。鮮度の良さが決め手のため生きたザリガニを使用。殻が赤くなったらめん棒などで殻を砕き水分を出す。

アブルッツォ州で作る「Vigneti Radica」のペコリーノを調理酒として使用。しっかりとした白ワインが澄んだソースにコクを加える。ブロードとトマト、ザリガニの身を加えてひと煮立ちさせ、具材に使う身を外して粉砕する。

粉砕して漉したソースに、魚貝料理にぴったりのオリーブオイル「Mare」で華やかな香りをプラス。晃さんがアブルッツォで感動したザリガニのクリアな味を求めてやっと国内で見つけたというウチダザリガニは身を剥き具材に。

「クオリタリア」の冷凍「イカスミのタリオリーニ」は、たった2分という茹で時間も魅力。うどんのような食感も多い日本の冷凍パスタと異なり、現地の感性が光るパスタはソースとの絡みもよく仕上がりも美しい。

イカスミのタリオリーニウチダザリガニのソース
¥2,000(8/31まで提供)
カルメリータ夫人の故郷でもあるアブルッツォ州をテーマにしたひと皿。アブルッツォのザリガニを思わせる、北海道阿寒湖産ウチダザリガニのクリアな味わいを堪能できる。生麺のようにもちっと歯切れのよい弾力の冷凍のイカスミタリオリーニは、ザラッとした表面でソースがよく絡み、ザリガニの旨味をより引き立てる。艶やかなイカスミ麺とソースのカラーコントラストも際立つ。

ジャガイモのニョッキ牛テールのトマト煮込みローマ風

塩胡椒と粉を振った牛テールを焼き目がつくまでしっかりとオリーブオイルで丁寧にソテーし、ソフリットと合わせたら「Vigneti Radica」のペコリーノをたっぷりと加え、香りとコクを添える。

トマトを加えたら1時間以上煮込む。ソースへゆっくりとテールの香りと味を出す。「食感のインパクトが強いニョッキは合わせるソースが重要。丁寧に時間をかけて作ることが大切な料理」と鮎田シェフ。

ポテトとセモリナ粉で作られる「クオリタリア」の冷凍「ニョッキ」の茹で時間は約4分。煮崩れしにくく形も美しい。セモリナ粉のみで作られるニョッキもあり、しっかりとした弾力が楽しめる。

ジャガイモのニョッキ牛テールのトマト煮込みローマ風
¥2,000(8/31まで提供)
鮎田シェフが修業を積んだローマの伝統料理に冷凍パスタを合わせ、新旧の魅力を混在させた今回の企画にふさわしいひと皿。シンプルながらも味わい深い牛テールソースに重なるニョッキの弾力とほどける食感が胸を打つ。イタリア全土でもたった4軒しか作っていない希少なロディジャーノチーズを仕上げにたっぷりとのせて。
(左から)鮎田晃アンドレアさん、鮎田淳治シェフ、鮎田留佳さん。普段はカルメリータ夫人も店に立ち、フロアを切り盛りする。

ラ・コメータ
東京都港区麻布十番1-7-2
TEL 03-3470-5105
17:30 ~21:30 LO
月日祝休
https://www.cometa.jp


製品に関するお問い合わせ先
アイランドフーズ 03-6277-2122
http://www.islandfoods.jp/

text 君島有紀 photo sono(bean)

本記事は雑誌料理王国2020年8・9月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年8・9月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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