イタリア人の創作心が表れたユニークなパスタ、技術が生み出した高性能なパスタから、その一部を、形の由来、製造方法の特徴とともにご紹介。
パスタの形は、一説に1000種類はあるといわれる。伝統的な形から、工業技術の発展で新たに創作されたものまで、その数は年々増えているようだ。遊び心と職人技、感覚的な心地よさを求めるイタリア人ならではのセンスが、乾麺という製品にも遺憾なく発揮されているようだ。パスタは視覚だけではなく、食感や嗅覚も刺激し、機能性も備えている。たとえばブロンズダイスのパスタなら、表面がザラつき、ソースとの絡みがよい。表面に細かい溝を刻むのも同じ目的による。中に穴のあるタイプは、ソースを内側に閉じ込め、口に含んだ瞬間香りが立つ。
ブロンズダイスを使用した昔ながらの工房で作られるパスタは、工芸品のような美しいものも多い。いっぽう、大量生産を可能にしたテフロンダイスは、ツルツルした表面で喉越しを重視。機能性や誰でも扱える操作性を優先した製品が多い。
ヴェスヴィオ(アフェルトラ社)
● 問い合わせ先 (有)山陽水産
● Phone 0791-45-2578
この形は2000年代前半に生まれた新しい形で、ナポリのシンボル、ヴェスヴィオ火山をイメージしたもの。煙を噴き上げる山がらせん状の形で表現され、ソースがからやすい構造になっている。
ルマコーニ (ヴィエトリ社)
● 問い合わせ先 DKSHジャパン(株)
● Phone 03-5730-7560
ルマコーニは、大きなカタツムリをモチーフにしたパスタ。ブロンズダイスを使用することでソースがからみやすいが、パスタ表面に溝があることから、さらにからみが強化される。
シャラティエッリ (ジェンティーレ社)
● 問い合わせ先 サンヨーエンタープライズ㈱
● Phone 078-302-5641
もともとは手打ちパスタで、ナポリやアマルフィでよく食べられてきた。厚みが適度にあり、形はシャルパ(襟巻き)に由来し、肩にかけたような曲線を描く。長さは5~6㎝。魚介と合わせるのが定番だ。
リゾーニ( バリラ社)
● 問い合わせ先 日本製粉(株)
● Phone 03-3350-2409
米の形を模したパスタ。ロングパスタ同様、軽快な歯応えと扱いやすさが同社の特色。サラダやスープに使う。スープで煮込んだ場合も、タンパク質の流出が少なく濁りがほとんどない。
セレシオネ・オロ・シェフ・スパゲッティーニ (バリラ社)
● 問い合せ先 日本製粉(株)
● Phone 03-3350-2409
*業務用販売のみ。
イタリア、世界各国から高品質な硬質小麦を買いつけ、小麦のブレンドで常に一定の品質を保つ。アルデンテが持続する小麦は、自社開発の品種である。ツルツルした喉越しにもファンが多い。
タリアテッレ 1.5mm(カポーニ社)
● 問い合わせ先 稲垣商店
● Phone 03-3462-6676
カポーニ社は、乾燥卵麺専門の製麺所。自然な状態で飼育した有精卵のみを使用。底が網状の木箱で、25~35℃の低温で70~80時間麺を乾燥させるため、独特の食感が楽しめる。
リングイネッティ (ディ・チェコ社)
● 問い合わせ先 日清フーズ(株)
● Phone 03-5641-8115
リングイネッティは「小さな舌」の意で、麺の断面が楕円形。ブロンズダイスにこだわる同社の麺は表面がザラつき、ソースのからみがよく、しっかりとコシが持続する。麺がくっつかないのも特徴だ。
マファルデ (ヴィエトリ社)
● 問い合わせ先 DKSHジャパン(株)
● Phone 03-5730-7560
1800年代初頭、サヴォイア家のマファルダ女王がグラニャーノを訪れた時、彼女の髪はウェーブがかかっていた。これを見たパスタ職人が彼女の髪型をイメージして波打ったような形のパスタを作った。
本記事は雑誌料理王国183号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は183号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。