2021年12月15日(水)、港区虎ノ門にある中国⽂化センターにて「第1回 麻辣グランプリ」の授賞式が開催されました。このイベントは、これまで累計20万人を動員してきた「四川フェス」のスピンオフ企画。初開催となる今回は、日本全国から71社120商品がエントリー。全ての商品を審査員が実食し、麺、醤、火鍋、麻婆豆腐、菓子の5つの部門ごとにグランプリが決定しました。
麻辣グランプリの最大の目的は「本場の麻辣の味が日本に浸透し、正しく伝わる!」こと。そして、優劣やランキングをつけるのではなく、それぞれの個性を可視化することで、消費者にわかりやすく商品を認識してもらうのが狙いとなっています。
そこで今回は、上記の図のように各部門全てのエントリー商品をマッピング。上級者向けの「本場四川系」、初心者向けの「日本ローカライズ系」のように商品の立ち位置を示すことで、初心者から上級者まで誰でも麻辣を楽しめるようになることを目指しています。
麻辣(マーラー)とは?
四川料理を代表する味の一つで、花椒(ホアジャオ)のシビれる辛さの麻(マー)と、唐辛子のヒリヒリした辛さの辣(ラー)を合わせた味わいのこと。日本では2019年に一大ブームとなり、大手食品メーカーやコンビニエンスストアでも麻辣味の商品が販売されるなど、一般にも広く知られるようになりました。
今回は初開催ということもあり、エントリーのための参加料は無料。大手食品メーカーから個人まで、71社からトータル120商品がエントリーされました。中でも激戦だったのは「醤部門」で、5部門中最多となる46商品の中からグランプリが選出されました。
麺部門(エントリー数:23)…カップ麺、冷凍麺などが対象
醤部門(エントリー数:46)…ラー油を筆頭に麻辣な醤が対象。豆瓣醤などの調味料は対象外。
火鍋部門(エントリー数:18)…火鍋の素が対象
麻婆豆腐部門(エントリー数:22)…麻婆豆腐の素、冷凍麻婆豆腐が対象
お菓子部門(エントリー数:11)…麻辣なお菓子が対象
「本場四川に近い味わいであるか」ではなく、まずは「おいしい」こと。そして、本格的な味を追求して四川料理の普及に貢献している商品、良質の麻辣インスパイアにより多くの消費者に麻辣味を届けている商品といった、麻辣発展のために役立っていることも評価の対象として総合的に判断されます。
審査員が完全実食することを基本とし、すべての商品を4人の審査員が実食してレポートし予選を開催。予選を突破した商品を、審査委員長はじめとする特別審査員が最終審査し、グランプリを決定。
【審査委員長】陳建太郎
四川飯店グループオーナーシェフ
【若手代表・審査員】
シブルナ
中国で人気の日本人インフルエンサー
【四川代表・審査員】
張鈺若
甘露広報企画担当
【マニア代表・審査員】
大谷悠也
ブロガー・食の変態
【麻婆豆腐代表・審査員】
BUBBLE-B
全マ連代表/音楽家
【特別審査員】
鈴木広明
四川飯店総料理長
郭 斌
日和商事株式会社・五粮液代表
中国語で「老」とは「昔ながら」という意味。シンプルでバランスの良い味わいで、本場四川で昔から愛されている担担麺の再現性の高さが評価を集めました。
小笠原諸島で栽培されている貴重な「硫黄島唐辛子」を使用。シビれる辛さに加え、アロエやウコンも使用して独創的でありながら、その完成度の高さが評価されました。
中華食材を知り尽くした専門店が作り上げたオリジナル麻婆豆腐。辛さは控えめながら、しっかりシビれるバランスの良さ、あら挽肉を使った食感の良さも評価のポイントに。
「ダントツでおいしかった」と審査員が声を揃えた火鍋の素。気軽に使える個包装で、ワンタン、ラーメン、マーラータンなどに加えれば、たちまち本場の火鍋の味が楽しめます。
パスタをフライしたカリカリ食感のおつまみスナック。麻辣と花山椒を効かせた本格的な辛さのパンチがありつつ、香りの良さと上品な仕上がりが高評価を集めました。
2021年12月7日から全国のファミリーマートで発売されている新商品。麻辣の本格的な辛さに挑戦しつつ、チーズを掛け合わせた革新的な意欲作を、今回のイベントのスポンサーである五粮液グループが高く評価。
総合的な判断でグランプリは逃したものの、最終審査において審査員が特に印象に残った商品を選出。
▶︎「中華ダイニング福龍門」 麻辣刀削麺
職人が手作りするモチモチの刀削麺と具材、麻辣のバランスの良さが印象的
▶︎「日清食品株式会社」 日清ご褒美ラ王 シビ辛濃厚味噌
「この価格でこの完成度の商品を作ってしまうところがさすが!」と審査委員長の陳さんを唸らせた
▶︎「無限」 麻辣時間(マーラータイム)(ほあじゃおじゃん)
開発に4年の歳月をかけ、中国で初めて花椒醤を食べたときの感動を再現
▶︎「エスビー食品株式会社」 李錦記 四川式麻婆豆腐の素 中辛 化学調味料無添加
日本の家庭料理として浸透した麻婆豆腐を、本格的な麻辣を用いつつ日本人好みにローカライズ
▶︎「株式会社175」の 青花椒チョコ(ダーク)
豆から挽いて作られるBean to Barの本格チョコレートに青花椒を練り込んだ爽やかな味わい
四川フェス実行委員会の委員長として、今回の麻辣グランプリを企画した中川正道さんは「初めて四川フェスを開催した2017年当時は、麻辣の商品がほとんど販売されていませんでした。三省堂の辞書にも「麻辣」が収録されるなど、『これが本当の麻辣だ』と認識してもらうには、商品が増えた今が一番良い時期」と、麻辣グランプリ開催に至った経緯を説明。
審査委員長を務めた四川飯店グループオーナーシェフの陳建太郎さんは「1952年に来日した私の祖父が、麻辣を日本に初めて持ち込みました。麻婆豆腐が今では家庭の味として日本に浸透しているように、四川料理の麻辣以外の味も、日本でもっと広まっていくことを願っています」と語りました。
今回の受賞商品の中で、料理王国編集部が特に気になった商品がこちら。審査員特別賞を受賞した商品の一つで、審査委員長の陳さんも「実食した中で一番刺さった商品。超上級者向けですね」として名前を挙げた、麻辣湯専門店「無限」の「麻辣時間(マーラータイム)」。
開発者は大阪で麻辣湯専門店「無限」を営み、自称「日本一麻辣湯が好きな女性」を名乗る橋本さん。四川省で食べた麻辣湯に衝撃を受け、その味を再現したいとの一心で開発に着手したと言います。
花椒醤(ほあじゃおじゃん)とは、麻辣湯に欠かせないスパイス。日本で手に入るのはパウダーかホールしかなかったため「日本全国の麻辣ファンの方に届けたい」との思いで、4年もの歳月を費やして開発された商品です。
橋本さんは「花椒のパウダーやホールに比べて、花椒の香りと痺れ具合が群を抜いています。辛い料理は世界中にある中で、私たちはなぜ四川料理が好きなのか、その答えが全てここに詰まっています」と語ってくれました。
花椒の香りを抽出したオイルと砕いた花椒の実が、鮮烈なシビれを感じさせてくれるオリジナル商品「麻辣時間(マーラータイム)」がオンラインストアで販売中です。
当初の予想を大幅に上回るエントリーを集めて成功を収めた「第1回 麻辣グランプリ」。2022年はリアルフェスとして復活予定の「四川フェス」と合わせて、今後の展開に期待です!
麻辣グランプリ公式サイト
https://meiweisichuan.jp/malagp2021
text: 田中はなよ