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「A2」「A3」もエライ!? 赤身牛肉の新格付け「TRB」とは?


A5を最高峰とする食肉格付けは日本の牛肉の価値を決めているといっても過言ではない。ただA2やA3でもうまい肉はあるし、現行の格付けでは旨さを評価できない品種もある。そのひとつが「土佐あかうし」。TRBという新たな格付けの味を体験してほしい。

 昨年6月、牛肉業界に「えっ、本当に?」という驚きが走った。それは高知県が独自で、牛枝肉の格付を施行するというニュース。しかも、日本の標準である肉の歩留まりと霜降り度合いを主に評価する、食肉格付を尊重しつつも、赤身の肉質を独自に評価するというものだった。

「産地の勝手な都合だ」「そんな格付、うまくいくはずがない」など様々な意見が出る一方で、料理関係者からは「そんな牛肉の基準を待っていた!」という声も出ている。Tosa Rouge Beef、略してTRBと呼ばれる格付はどんな背景で生まれ、どんな牛肉のおいしさを目指すのだろうか。

和牛の一種、褐毛和種はその赤みがかった褐色の体毛をもつことから〝あかうし〞と呼ばれ、親しまれている。この褐毛和種には熊本系(くまもとあか牛)と高知系(土佐あかうし)の二系統に分かれており、どちらも朝鮮系の在来牛がベースとなっている。

熊本系はそこにヨーロッパから導入した大型のシンメンタール種を掛け合わせ、肉が多くとれる品種として成立。対して高知系は大型種を掛け合わさず、在来の血が濃い小ぶりな体躯の牛のままで今日に至る。「高知は山地が多く、牛を耕作に使う際に小柄で小回りがきく牛が好まれたのです」(公文喜一・高知県畜産振興チーフ)。

もうひとつ、土佐あかうしには大きな特徴がある。他の肉牛品種と土佐あかうしを並べると、目の周りに黒くアイシャドウがかかっているようにみえ、明らかに「可愛い」のである。これは「毛分け」という遺伝的特性で、眼や口、爪や尾の先が黒くなる性質だ。これが生産者にとってことのほか大事なもので、「あかうしは本当に可愛い」と愛されている。ただし、この土佐あかうしは苦難の道を辿ってきた。


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