ロース芯と呼ばれる部位が大きいほど、ロースの価値は上がる。この個体のロース芯は小さめ。
ロース芯がきれいな楕円形に近いほどよい形とされる。この個体のロース形状はあまりきれいではない。
細かく入るサシが細かで小さいほどよいとされる。この個体の小ザシは粗目である。
皮下脂肪が厚いと、精肉加工や調理の際に削り取る必要があり、歩留まりが悪くなってしまう。
筋肉の間にある脂肪を筋間脂肪という。相対的に赤み部分が減るので、歩留まりが悪くなる。
ロース芯の面積が大きく、ステーキカットやスライスにしたときに使用できる部位が大きい。
ロース芯がきれいな楕円形であり、理想的といえる形状。無駄があまりない。
小ザシが細やかで小さく、散り散りに入っているので、食べた時の口当たりがよい。
皮下脂肪が適度な薄さであり、赤身部分が多く捨てるところが少ない。
筋間脂肪が総体的に少なく、その分が適度な霜降りに入っており、赤身肉としての歩留まりがよい。
牛肉ブームが始まりつつあった2000年代前半、土佐あかうしは市場価格の低迷に直面していた。じつは昭和30年代、土佐あかうしは味のよさでしられており、日本でもっとも子牛価格が高く取引される牛だった。その頃は、黒毛和牛のみならず他の品種も評価されていたのだ。ところが1988年に改正された食肉格付では、霜降り度合いをより評価する方向に。以降、サシの入りやすく、最高位の格付であるA5の出やすい黒毛和種の評価が上がる一方で、主にA2からA3になってしまう褐毛和種や日本短角種は評価が下がり、市場価格も大幅に下がった。2005年前後、あかうしの子牛価格は黒毛の約半額まで落ち、採算割れになる農家も続出。
「あかうしを飼いたいけど、もう無理じゃ」
「あかうしをペンキで黒く塗って黒毛として出荷できればいいのに」
悲鳴のような農家の声に押され、前述の公文氏をはじめとする関係者は県外に活路を切り拓くことにした。県内では「安く買える牛肉」という位置づけだった土佐あかうしを県外に売ってみてはどうか。これまでは縁もなかった高級レストランのシェフ達にあかうしを食べてもらう場をつくり、黒毛和牛と食べ比べなどを開催した。もともと土佐あかうしの肉質は日本有数の評価を得ていたことは先述したとおり。口溶けのよいサシがほどよく入っているものの、赤身肉の香りとうま味も強く味わえる、赤身とサシの双方のいいとこ取りの味わいを持っていた。初めて土佐あかうしを口にした料理人の多くが「こんな牛がいたのか!」「ぜひ店で使いたい」と取引を希望する結果に。折からの赤身肉ブームも後押しとなり、土佐あかうし人気はV字回復、価格も上がり、一時は1600頭を切った頭数も2406頭(202年2月現在)まで回復した。