去る9月9日、中国の大手冷凍食品チェーン「暁麦(しゃおまい)グループ」の本格的な日本進出を記念し、日中の美食文化の交流を目的とする懇親会が、株式会社セレクトリンクスの統括の下、東京・白金台の八芳園にて開催された。会場内には日中の食品流通企業や外食チェーン、投資家、百貨店のバイヤー、レストランのシェフなど総勢92名が出席。中国料理の海外進出をテーマに、世界中に中国の味を広めるべく様々な意見が交わされた。
今回のイベントのホスト役は、中国の著名な料理人とコラボレートした北京ダックや麻婆豆腐など、伝統料理の冷凍食品「巨匠の味」シリーズを展開する暁麦(しゃおまい)グループだ。
2017年に北京で冷凍食品を製造する企業として誕生した同グループは、翌年18年から中国の有名シェフの味を冷凍食品で家庭に届ける「巨匠の味」プロジェクトを始動。23年からは海外展開をスタートさせるなど、ここ数年で急成長を遂げた。
躍進の秘密は、山東省、四川省、安徽(あんき)省にある最先端設備を導入した6つの生産工場にある。中国各地に国際認証を取得した工場を持ち、現地の食材で高いクオリティの冷凍食品を大量生産するのだ。また各省の国有企業や外部の協力企業とタッグを組むことで、材料調達や流通面などで強力なサポートを得ている。海外展開の際も、同グループと国有企業など複数社が束になり共同で取り組むという、このビジネスモデルに注目が集まっている。
暁麦グループの会長であり、新たに設立された暁麦日本株式会社の会長兼社長・劉 澤軒(りゅう たくけん)氏は「私達は『巨匠の味』シリーズを通じて匠の精神を継承しながら世界中の人々に中国の味を広めることを目指しています。衛生基準が高く、美食の国でもある日本で高評価を得ることが、海外展開へのさらなる追い風となってくれるでしょう」と期待を寄せる。
また懇親会のゲスト、劉 淼(りゅう びょう)氏は、1573年創業、白酒(ぱいちゅう)で知られる瀘州老窖(ろしゅうろうこう)グループの取締役会長。「白酒も以前から複数社による“共同”の海外進出を行っていて、60の国と地域への輸出を行ってきた。暁麦グループもきっと成功を収めるでしょう」と話した。
この日、出席者にふるまわれたのは八芳園の日本料理と暁麦グループの「巨匠の味」シリーズから成る日中の美食が融合した特別コース。「中国料理は単なる美食だけではなく文化も含んでいる。日本と中国の文化交流の象徴といえる料理を通して、美食の創造方法を探る機会にしてほしい」と、劉 澤軒氏。コース料理には、「巨匠の味」シリーズの中から北京ダックと麻婆豆腐が盛り込まれた。
北京ダックを共同開発したのは董 振祥(とう しんしょう)氏。北京市にある中国料理の名店「大董(ダードン)」のオーナーシェフで、中国では“北京ダックの代言者”との異名を持つ。董氏自ら開発から関わった脂肪分が少ないダックを使い、パリパリの食感に仕上げた軽やかな北京ダックは世界中に数多くのファンを持つ。革新的な料理を生み出すことで国内外の数々の賞を受賞するなど、レジェンドでありながら常に時代を先取る感覚の持ち主である。
一方、麻婆豆腐を共同開発したのは孫 大力(そん だいりき)氏。古典小説「紅楼夢」に登場する宴席料理を再現した「紅楼宴」の発案者で、四川料理の代表的な料理人として知られる。17年から暁麦グループで常駐の開発顧問を務める孫氏は、食品の安全性を第一に考え、添加物を使わず、四川で自ら選んだ素材を用いるなど、料理人の高い技術と量産化の融合に貢献。
暁麦グループは日本進出にあたり、暁麦日日本向けに商品のローカライズを行い、まずはBtoBで25年初頭に北京ダックと麻婆豆腐の販売を開始する予定だ。将来的にはBtoCでの展開も見込んでいる。
問い合わせ先
暁麦日本株式会社
HP: www.24xiaomai.com MAIL: lixiu@24xiaomai.com
イベント統括・共催
株式会社セレクトリンクス
https://selectlinks.jp/
text: Hanayo Tanaka photo: Naomi Kawakami