王族お抱え一家の料理人が作る、7つ星ホテルのアラブ料理『アル・イワン』


アラブ料理:代表格「フムス」の調理ポイント

アラブ料理の代表格で、ヴィーガンの料理としても人気を博し、今世界各国で見かけるようになったひよこ豆のペースト「フムス」も一味違います。「至ところでフムスを見かけるけれども、自分の理想とするのは、真っ白で表面がキラキラと輝き、クリームのような口溶けのフムス」。そのレシピを教わりました。

スレイマンシェフによる、アラブ料理の代表格で、ヴィーガンの料理としても人気のひよこ豆のペースト「フムス」の一皿。
ひよこ豆のペースト「フムス」

「まず、ペーストは衛生管理が最も大切。保存料を入れないでいい状態をキープするには、全ての材料を冷たく冷やしておくこと。ひよこ豆は一晩水に漬けてから、5〜6時間かけて茹で上げます。茹で上がりのポイントは、茹でた豆を壁にポンと投げてみて、くっつくかどうか。くっつかなかったら、どんなに柔らかくてもまだ茹で方が足りない。くっつくようになったら、すぐさま氷水で冷やし、そのまま冷蔵庫で一晩置いておく。

フードプロセッサーは使う前に氷を入れて冷やし、茹でたひよこ豆の倍の重量のタヒニを入れる。水の代わりに氷を適宜加え、そのままブレンダーにかる。塩と香り付けのクミンを加えるときは、必ず氷と一緒に加えるのが、味が偏らないポイント。ひよこ豆と同重量のひまわり油かコーン油を加えるが、これも使う1〜2時間前から冷凍庫で冷やしておく。さらにブレンダーにかけ、ふんわりと滑らかなクリーム状に仕上げる」。

確かに、ふんわりとした口溶けの良いフムスは、洗練された味付け。アラブ料理では、様々なパンを食しますが、生地に牛乳を加え、薄くて滑らかな食感が特徴なのが、レバノン風のパン。このパンの中に挟んでいただきます。

アラブ料理:シェフお気に入りのチリペースト「ムハンマラ」

アラブ料理、スレイマンシェフお気に入りのチリペースト「ムハンマラ」の一皿。
スパイシーなチリペースト「ムハンマラ」

もう一つの赤いペーストは、スレイマンシェフのお気に入りの、故郷・アレッポの味、スパイシーなチリペースト「ムハンマラ」。アレッポ唐辛子の皮と種をとって天日で乾燥させてからペーストにし、そこにパプリカや、ザクロの果汁を煮詰めてレモン汁を加えた自家製モラセスに、カシューナッツ、アレッポ名産のピスタチオ、ごまなどのナッツ類を60度で2〜3分軽くローストしたもの、パン粉を加え、ナッツの粒感が残るように混ぜ合わせたペーストです。

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