ジャンルを問わず幅広く使える。中国料理では見立て料理にも用いられ、戻したシイタケを甘く煮込んで細く切ったら衣をつけてカリッと揚げる。黒酢で炒めるとアナゴの見立て料理に。
炒め物に使う場合は、水で戻す際、シャキシャキした食感を残すようにする。杏仁豆腐に添えたり、デザートとして使うには、そこからシロップ入りの水で2、3時間蒸す。
干しシイタケと同じように水で戻して手軽に使える。キノコならではの風味があり、また小気味よい食感も特長。前菜としての和え物、鍋物、スープなど、何にでも活用できて重宝する。
キヌガサダケ上部の黒い部分は「キヌガサダケのタマゴ」と呼ばれる。強い香りが特長だが、香りの強すぎる内側の茶色の部分は取り除き、和え物、スープ、煮込み料理に用いる。
中国では不老長寿の幻のキノコとして知られる。香りや旨味が強く、キノコならではの歯触りのよさも特長。和え物、炒め物、スープ、煮込みや鍋のほか、炊き込みご飯など、幅広く使える。
天然の冬虫夏草の栄養分と同じ成分を含ませた培地で、人工的に栽培したキノコ。食感がよく、和え物、炒め物、煮込みやスープにも使える。風味を活かすために、味付けは薄めのほうがよい。
カソウカの先端部分で、栄養分や扱い方についてはカソウカと同じ。水で戻した際の戻し液は薄い褐色になり、キノコ独特の香りと旨味があるのでスープに使える。
干したカキにはクリーミーさはないが、生とは比べ物にならないほどの凝縮感がある。生は炒め物や揚げ物にし、干しガキは旨味を活かしてスープや煮込み料理にするというように使い分ける。
強い旨味を活かして野菜と煮たり、姿のまま戻したものはダイコンやカブをくりぬいたものと合わせたりする。水で戻したあと200℃の油で揚げ、さまざまな料理のトッピングにも使える。
赤、黒、青の種類があるが、乾物にするのは黒ナマコが多い。トゲのない大きなナマコの乾物は、表面を焼いて削ってから、水で戻していく。煮込みが中心だが、炒め物や揚げ物にも使う。
戻したアワビは、そのままの姿で軽く煮て、とろみを付けて出す場合が多い。その際にソースとして使うのが、戻す際に出た汁で、味付けの必要のないほど旨味が詰まっている。
背ビレや尾ビレが有名だが、写真のような胸ビレや尻ビレの小さな部位も使う。好みの硬さになったら流水で臭みを抜く。スープに入れることが多いので、戻す段階で形が崩れてもOK。
姿煮に使うフカヒレは、写真のような大きなヒレの中から形を崩さないように取り出す。取り出したフカヒレは崩れやすいので網などで固定して加熱。やわらかくすると同時にアンモニア臭も抜く。
水で戻すとやわらかくなり、かん水で戻すとプリンと弾力ある食感になる。ただしかん水を用いた場合は、かん水に浸けていたと同じ時間、流水する必要がある。和え物、煮込みなどに。
旨味成分が強いので、和え物や炒め物のほか、細かく切ってスープに入れたり、煮込み料理にも最適。広東料理のワンタンには欠かせない。火を入れすぎるとパサついてしまう点に注意する。
写真はチョウザメのウキブクロだが、一番多く出回っているのはイシモチで、ウナギもある。アキレスケン同様、水から戻すパターンと油で戻すパターンがあり、スープや煮込みに使う。
イシモチやコノシロなどの魚を発酵させて干したもの。5、6分間蒸してから使う方法と、油で炒ってほぐして使う方法がある。塩味が強いので、炒飯や蒸し物の調味料、XO醤の材料としても使う。
小さくて無味無臭なのでメイン食材にはならないが、スープの浮き身など、"隠し食感"として用いると全体の食感に幅が出る。コンポートにしておくとデザートにも使える。
モモの木の枝や幹から染み出るゼリー状の樹液を乾燥させたもの。無味無臭で小さいが、スープなどに入れると食感にバリエーションが出る。シロップ漬けにしてデザートにも利用できる。
漢字は「髪菜」で、髪の毛のような形状の藻類。前菜やスープ、煮込みなどに用いることが多い。ファーツァイと干しガキを煮込んだ料理は、「財を成す」と同じ発音のため、縁起がよいとされている。
一般的なツバメの巣は、ツバメの唾液に泥や枯れ草などが混じっているので食用には適さないが、ほぼ唾液だけで作るアナツバメの巣は高級食材。スープの浮き身やデザートにする。
緑豆などのデンプン質にワラビを練り込んでいるため、普通の春雨よりも香りがよい。板春雨と同じように、和え物、鍋、スープ、蒸し物、煮込みなど、さまざま料理に活用できる。
春雨は、デンプンから作られる乾麺で、 緑豆やジャガイモ、サツマイモ、トウモロコシなどのデンプンと水を合わせた生地を細長い麺状にし、それを熱湯でゆでてから乾燥させて作る。
水で戻した後、さっとゆでるとほぐれやすくなる。和え物、煮込み、スープに活用でき、中国には、キンシンサイをモヤシと和えて湯葉で巻き、これを焼いて提供する伝統的な名菜がある。
雲南省の標高3000mほどの高地で栽培されていて、必須アミノ酸やビタミン、ミネラルが豊富なため薬膳料理によく使われる。小さく切ってスープに入れたり、パウダー状にして、ドリンクに。
動物性の食材との相性がよく、中国料理では、水にひと晩浸けた後、鶏肉や豚肉と合わせて、蒸しスープに仕立てることが多い。咳や痰を止める薬効があることでも知られている。
鮮やかな赤が盛り付けのポイントにな
り、和え物やスープ、炒め物などのほか、シロップに漬けてデザートにも。美肌や血圧・血糖値の調整、肝機能を強化するなどの薬効があるともいわれている。
戻し方や調理の仕方は赤いクコの実と同じだが、薬効という意味では黒クコのほうが優れていて、ビタミンやミネラル量の含有量は、赤いクコの実のそれをはるかにしのぐとされる。
形を崩さないように蒸したり、ボイルしたりしてから調理する。イモのような食感で、煮込み料理、炒め物、炊き込みごはんなど、幅広く使える。砂糖漬けにすればデザートにもなる。
前菜や煮込みに使うことが多い。戻したナツメを煮てペースト状にした餡は、そのまま点心やパイの餡にしたり、デザートにも利用できる。鉄分・葉酸を多く含むため、貧血予防に有効とも。
水と湯で戻した場合は、プルプルした食感になり、油で戻すとスポンジに近いグニュっとした感じになる。どちらもスープや煮込みに合うが、水と湯で戻したほうは、和え物などにも使える。
戻し方や調理の仕方は鹿も豚も同じ。水と湯で戻したものは、クリアな味わいのコンソメスープなどとも相性がよく、油で戻したものは濃いめの味付けのミートソースなどにもよく合う。
上村久留美=取材、文 依田佳子=撮影
本記事は雑誌料理王国第273号(2017年5月号)の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第273号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。