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大満足間違いなし!都内でこだわりのバール3選


スペイン文化の代名詞とさえいわれる「BAR」。スペイン語の発音は「バル」、イタリア語では「バール」。どちらの国でも、BARは朝から夜まで人々が立ちり、食べ、飲み、語り合う街角の「お茶の間」といった存在だ。日本に本格的なスペイン・バルができ始めたのは90年代後半で、イタリアン・バールはそれから少し遅れて登場する。そのオーナーたちはスペインに、イタリアに惚れ込んだ男たちだった。レストランとはひと味もふた味も違うバル&バール。その成功の条件を探ってみたい。

①【下北沢】クオーレ・フォルテ

「豚バラ肉のポルケッタ」。ウンブリア州の郷土料理で仕込みに2日かかるが、その甲斐あって「必ず食べたいメニュー」に挙げられる。
「豚バラ肉のポルケッタ」。ウンブリア州の郷土料理で仕込みに2日かかるが、その甲斐あって「必ず食べたいメニュー」に挙げられる。

バールで妥協はしない。リストランテ並みの味とサービスが自慢

新旧が混在し、数々の小劇場が集まり、独自の文化を形成する下北沢は、東京でも個性的な街。この街で支持されているのが、2年ほど前、羽賀大輔さんが開いた「クオーレ・フォルテ」だ。

「ふらりと立ち寄ってもらえる店にしたい」とイメージしたとおり、毎晩7時ともなれば、10坪の店は客であふれかえる。毎日でも通いたい、と思わせる理由は、羽賀さん自身に「伝えたいメッセージ」があるからだ。

2店目のバール出店を控えており、スタッフ育成の意味もあって、4人で店を切り盛りする。左端が一戸さん、右から2人目が羽賀さん。

かつての同僚でシェフの一戸竜太さんと、ワインと料理の組み合わせについて検討し、メニューが誕生すると、それは新たなメッセージとなって羽賀さんをワクワクさせる。6時間煮込む「ギアラのトロトロ煮込み」や「豚バラ肉のポルケッタ」などは、こうして生まれた垂涎の料理。これにワインの旨さ、心地よいサービスのどれが欠けてもいけない。とくにワインについては、「客単価が安い店だからと妥協はしない。リストランテでしか味わえないクラスのワインにも、この店で出会えるようにしたい」。接客態度だけでなく、客を思いやる心に、訪れた諸先輩は「いい
店になった」と顔をほころばす。「クオーレ・フォルテ」とはイタリア語で「強い心」。未来を見据えた羽賀さんの強さとやさしさが、イタリアを楽しむ人々を呼び、下北沢の文化をも育む。

東京都世田谷区北沢3-20-2
大成ビル1F
☎03-6796-3241
●17:30~翌3:00(翌2:00LO)
 日・祝17:00~24:00(23:00LO)
●火休
●22席

文=上村久留美 撮影=阿部吉泰

②【恵比寿】白金バル

白魚のアヒージョ
「白魚のアヒージョ」。スペインではウナギの稚魚のアンギラスを使うが、非常に高価なため、白魚で代用。「スペインで食べたアンギラスのアヒージョより、こちらのほうがおいしい」という人もいるそうだ。

マスコミや芸能関係者の利用も多い「隠れ家」バル

 バルの利用法は人によって異なる。仕事帰りにひとりで立ち寄る人、同僚と軽く飲む人もいれば、待ち合わせ場所に使う人もいる。しかし、 「その中でも、うちは特殊かも」と「白金バル」のマネージャー、阿部重明さんは言う。地下鉄やJRの駅から遠いことが、かえって「隠れ家的」と好評で、さらに個室がウリとなって、マスコミや芸能関係者の利用も多い。そういう人たちが、深夜、レストランの感覚で腰を落ち着けて食事する。そのために、当初は5000円くらいに想定していた客単価は徐々に上昇し、最近では、その倍近い数字を叩き出す日もあるという。

スタッフとともに。左端が阿部さん。

選りすぐった大粒のムール貝を使った白ワイン蒸しや魚介類のアヒージョなど、看板メニューについては、とくに素材を厳選し、パンも店で焼いている。フォカッチャやドライトマトとバジルのパン、全粒粉のパンなど、パンのファンも多い。料理だけでなく、酒のセンスも欠かせない。ワインに詳しい阿部さんは、その豊富な知識を生かし、入口の黒板に「本日のグラスワイン」を書き出して、ワイン好きを歓迎する。原料となるブドウの種類がかぶらないように配慮して、赤と白、少なくとも5種ずつは用意している。

東京都渋谷区恵比寿3-49-1 
☎03-5423-3236
●18:30~翌3:00(翌2:00LO)
●日、祝(祝日は営業することもある)休
● タパスは600円前後、グラスワインは赤、白、
各5種で740円~
●36席
www.liberty-feel.co.jp/baru

取材、文=上村久留美 撮影=依田佳子

③【八丁堀】MARU

リンゴ牛のローストビーフ」
「リンゴ牛のローストビーフ」。松澤さんは実際に信州を回り、よい環境で肥育している生産者限定でリンゴ牛を仕入れている。

下町の老舗の酒屋。七代目の心意気

地下鉄八丁堀の駅からすぐ、大通りに面し、毎日110万人もの乗降客で賑わう東京駅へは徒歩で15分ほど。バル「MARU」は、老舗の酒店が経営する繁盛店だ。MARU」の強みは、アルコール類の値段が安いこと。ワイン通は、「レストランの半額以下で飲める銘柄もある」とこの店に通う。だが、松澤さんは「酒屋の経営ですから、アルコールが安いのは当たり前。それだけではお客さんを呼べない」と言う。そこで調理は信頼できるシェフに任せ、自らは仕入れを担当。新鮮
で旨い食材を求めて、築地に通う毎日だ。この日仕入れたのは、生ガキ300個、サバ10キログラム、カワハギ4キログラムなど。河岸から戻ると、各階の料理人を集め、その日のメニューに応じて食材を分配する。

ワイン棚
ストックしているワインは約300種。毎晩平均60本売れるため、ワイン棚はがら空きに。補充が欠かせない。

「食材については、業者に頼るのではなく、自ら探すようにスタッフにアドバイスしています。自分で探し当てたものには気持ちが入りますから、そのぶん料理もおいしくなるはずなんです」だが、気持ちが入りすぎて採算を度外視することも。「もっと利益を出さないと」。税理士からこう忠告されるが本人は気にとめていない様子。これからも薄利多売でがんばっていくという、その江戸っ子の心意
気がさらに客を呼ぶ。

東京都中央区八丁堀3-22-10 
松澤ビル2F
☎03-3552-4477
●17:00~23:00
●ワインの価格は酒屋の
平均小売価格プラス500円程度。
●日休
●45席


取材、文=上村久留美 撮影=依田佳子


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