近年、日本国内におけるワイナリーは増加傾向にあり、今では45都道府県で「日本ワイン」が造られ、より「日本ワイン」への注目度が高まってきています。そこで今回、「日本ワイン」の定義を改めて確認しつつ、2021年12月18日〜19日に開催された「第6回 日本ワイン祭り」の模様やワイナリーの取り組み等、「日本ワイン」の最新事情をお届けします。
「日本ワイン」の歴史は海外に比べて浅く、まだ140年程度。明治時代に山梨県甲府市で日本初のワイン醸造所が設立されたのが始まりです。その後長らく、国内で流通しているワインは「国産ワイン」か「輸入ワイン」のどちらかに区分されてきました。
日本で収穫されたぶどうを使っているワインも、濃縮果汁や輸入ワインを原料とするワインもひとくくりに「国産ワイン」と呼ばるケースも多く、それらを明確に区分しようと、2015年に制定されたのが「ワイン法」です。
日本における「ワイン法」とは、正式には「果実酒等の製品品質表示基準を定める件(国税庁告示第十八号)」のこと。この規定によって日本で造られるワインは「日本ワイン」もしくは「国内製造ワイン」として明確に区分されるようになりました。
「ワイン法」は3年間の猶予期間を経て、2018年10月より施行。具体的には、「日本ワイン」はラベルに産地や収穫地、醸造地、品種などを表示できるようになりました。一方の「国内製造ワイン」は、ラベルに濃厚ぶどう果汁使用、輸入ワイン使用等の表示が義務付けられています。
(1)○○(地名)ワイン
例えば「甲州ワイン」のように、「産地名」が表示できる。表示されている地名で収穫したぶどうを85%以上使い、醸造もされているワインを指す。
(2)○○(地名)産ぶどう使用
例えば「甲州産ぶどう使用」のように、「収穫地名」が表示できる。表示されている地名で収穫したぶどうを85%使用したワインを指す。
(3)○○(地名)醸造ワイン
例えば「甲州醸造ワイン」のように「醸造地名」が表示できる。表示されている地名で醸造されたワインであることを指す。
ワイン法によって基準が明確となった「日本ワイン」は、ぶどうの品質の向上、醸造技術の刷新、ワイナリーの技術の向上といった造り手の変化により、現在も日々進化。ワイン造りそのものも全国に広がり、今では北は北海道から南は沖縄までワイナリーが存在し、国税庁の最新データ(日本ワイン産地マップ)によると、国内ワイナリーは331場に達しています。
気候や風土が大きく異なる産地が存在するということは、それだけの個性あふれる「日本ワイン」が存在するということ。そのため、品種や産地によって多彩な味わいが楽しめるのが、「日本ワイン」最大の特徴と言えます。
また「日本ワイン」は味わい的に、上品な甘さと飲みやすさが特徴と言われ、フレッシュでフルーティ。白ワインは繊細な日本料理との相性がよく、赤ワインは甘めの味付けの料理に合わせやすいのも特徴です。
ワイン好きの間ではおなじみの、「日本ワイン」を代表する品種と言えば「甲州」と「マスカット・ベーリーA」。その主な特徴をご紹介します。
【甲州】
山梨県甲州市勝沼地区で確認された日本固有品種。見た目はデラウェアのように皮の色が赤っぽいものの、白ワインに使われる。さっぱり軽やかでフルーティな味わい。
【マスカット・ベーリーA】
新潟県が原産地の日本固有品種。赤ワイン用の品種で、果皮は濃い紫色。果実は大きく甘味が強いことから食用としても人気。果実味のあるまろやかな味わい。
ほかにも、本格的な白ワインを楽しみたいなら、ドイツ系品種の「ケルナー」や「ツヴァイゲルド」等を使った北海道産がおすすめ。ヨーロッパの白ぶどう品種の特徴である、キリッとエレガントな白ワインが充実しています。また、どっしりとしたフルボディの赤ワインが好みなら、「メルロー」や「カベルネ・ソーヴィニヨン」を使った長野県産の赤ワインを試してみるのはいかがでしょうか。