コロナ禍でも進化は着々と。「日本ワイン」の現在地



日本のワイン生産量は上位4道県で約8割を占める

さて、国税庁が2019年に発表した最新データ(国内製造ワインの概況)によると、「日本ワイン」の生産量は16,612kl(約2,200万本)。ワイン生産量世界第1位のイタリアは約73億本なので、日本の約330倍。世界の水準と比較すると、「日本ワイン」の生産量はまだまだ少ないことがわかります。

「日本ワイン」の代表的な産地は、生産量が多い順に山梨県、長野県、北海道、山形県。ワイン用のぶどう栽培には、朝晩の温度差が大きく冷涼な気候が適しているため、それらの条件を満たす地域で「日本ワイン」の生産が盛んなのです。

◆1位 山梨県(5,189kl)
ワイン生産量は全国の31.2%を占め、ワイナリー数も日本一。夏と冬の気温差が大きく降水量が少ないため、ワイン造りに最適。特に朝晩の寒暖差が大きい甲府盆地は、甘くて芳醇な食用ぶどうの産地としても有名。甲州市勝沼町や笛吹市など、広範囲に渡ってぶどう栽培がおこなわれており、高品質な日本ワインを生み出す有名なワイナリーも数多く存在する。

◆2位 長野県(3,950kl)
日本で2番目のワイン生産量(23.8%)とワイナリー数を誇る。朝晩の気温差が大きく降水量が比較的少ないことから、多くのワイン用ぶどう品種が栽培されており、多種多様なワインが楽しめる。

◆3位 北海道(2,603kl)
梅雨がないため年間を通して湿気が少なく、寒暖差が大きい気候により、生産量の15.7%を占める。主にドイツやフランス北部などヨーロッパの白ぶどう品種の栽培に適している。また、近年は赤ワイン用品種ピノ・ノワールも栽培され、他県にはない味わいの赤ワインとして注目されている。

◆4位 山形県(1,159kl)
果物の産地として有名な山形県では、ぶどう栽培も盛ん。温暖な夏に対し、9月以降は一気に冷え込むため、その寒暖差によって質の高いぶどうが収穫される。ワイン生産量に占める割合は7%で、独自の基準による「山形県産認証ワイン」を設けるなど、品質向上にも力を入れている。


世界の評価と注目度が高まっている「日本ワイン」

日本固有種の「甲州」と「マスカット・ベーリーA」は、ワイン用ぶどう品種として国際ブドウ・ワイン機構(OIV)により登録認定されています。甲州は2010年、マスカット・ベーリーAは2013年にそれぞれ登録。これによって、EU諸国への輸出・販売の際、ラベルに品種名の表示が可能となりました。

2013年と言えば「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録された年。世界における日本の食文化への関心が高まる中、OIVへの登録後は甲州ワインが国際的ワインコンクールで入賞するなど、海外でもその評価が上がっています。

中でも、英国のワイン専門誌が主催し、世界で最も権威あるワインコンクール「デキャンター・ワールド・ワイン・アワード(DWWA)」を例にご紹介すると、2014年大会におけるGRACE WINE(甲州市)の「キュヴェ三澤 明野甲州 2013」の金賞受賞は、「日本ワイン」の存在を世界に示す大きな一歩となりました。

その後、2019年に同アワードでサントリーの「登美の丘 甲州 2017」が最高賞に次ぐプラチナ賞を受賞し、さらにシャンモリワイナリー、GRACE WINE、白百合醸造(いずれも甲州市)の甲州ワインが3つ同時に金賞に選ばれたのも記憶に新しいところ。

そして2021年7月には、同アワードにおいて白百合醸造(甲州市)とルミエール(笛吹市)の甲州ワイン2銘柄が、プラチナ賞をW受賞。この結果は甲州ワインのポテンシャルの高さをあらためて世界に示す好機となりました。


SNSでフォローする