名店のベストペアリング。「とよなか桜会」

柔軟な発想が作り出す唯一無二の日本料理

満田健児

華やかでインパクトのある八寸、真空調理や泡醤油など最新の技術をいち早く取り入れた新感覚の日本料理を展開してきた「とよなか桜会」。
主人である満田健児さんは唎酒師とソムリエの資格を持ち、料理と酒のマリアージュにも力を注いでいる。冬に向かう季節の素材で仕立てる粋な料理と日本酒のペアリングに満田さんならではの洒脱なセンスがきらりと光る。

「フレンチレストランにワインリストがあるのはあたりまえなのに、日本料理店で多くの日本酒を置くと居酒屋のように思われてしまう」。満田さんは常々、残念に感じてきたという。
「日本酒は手間がかかる分、作り方によって味わいが実に多彩。時代とともに個性的なお酒がたくさん出てきて、ペアリングも面白くなってきました」。今回はあえて「肉」を使った料理3品を用意、珠玉のペアリングを提案してくれた。

「蒸し鶏と果物の酒粕酢がけ」xペアリング

紫交趾(むらさきこうち)の器に盛り付けた「蒸し鶏と果物の酒粕酢がけ」に合わせたのは、「あわ八海山」。シャンパーニュと同じ瓶内二次発酵法で造られたスパークリング日本酒だ。グラスに注ぐと、繊細な泡がひとすじ美しく立ち上る。蒸した地鶏や果物に掛けた酒粕酢は八海山の酒粕を酢で伸ばして、塩分や甘みを加えたもの。「日本酒のペアリングには、原料が同じ米や酒粕が合わせやすいですね」。地鶏の脂とうま味、酒粕酢の酸味、果物の香り、米の風味がマッチし、弾ける泡の食感が華やぎを添える。

蒸し鶏と果物の酒粕酢がけ×あわ八海山(八海醸造)

薄塩をあてて100℃の真空で1時間蒸した大山地鶏、焼いた舞茸、柿、梨、シャインマスカット、赤すぐりを合わせて器に盛る。酒粕と水塩(岩塩を水で溶かして薄口醤油と同じ塩分濃度にしたもの)、米酢、粉糖、煮切りを合わせた酒粕酢を添える。酒粕酢に苺やマンゴーを加えるなど季節ごとにアレンジを効かせて楽しませる先付。

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