<宮城県>進化する食材の宝庫を巡る【ホヤ】【葉物野菜】


世界有数の栄養豊富な海が育む宮城のソウルフード

肥沃な仙台平野と豊ほうじょう饒な三陸の海を持つ宮城県は多種多様な食材に恵まれた土地。そんな宮城の魅力を伝えるため、宮城の食材を知り尽くした黒森シェフが生産地を案内してくれた。今回は、「ホヤ」と「葉物野菜」をご紹介します。

【ホヤ】

三陸沿岸が主な産地というホヤは1000年以上前から食べられてきた記録がある。甘味、塩味、酸味、苦み、旨みという5つの味覚をすべて兼ね備えている珍しい食材で、ビタミンやミネラルも豊富だ

海の多様な生態系が豊かな海産物を生む

宮城県・三陸金華山沖は世界三大漁場のひとつとして知られる。親潮(寒流)と黒潮(暖流)が交わるため、魚のえさとなるプランクトンが豊富に発生し、リアス式海岸の複雑な地形が多様な生態系を育んでいる。そんな恵まれた宮城の食材を発信し続けているのが、今回の案内役である黒森シェフだ。

仙台市にあるレストラン『楽・食・健・美ーKUROMORI』では、魚介から野菜までほぼ宮城の食材を使ったコースを提供する。時には中華料理では珍しいホヤまでも扱うのだ。

宮城県はホヤの養殖発祥の地と言われる。昭和に入ってから養殖が盛んに行われ、生産量日本一(令和二年)を誇っている。養殖とは言え、ホヤは自然の海で3年ほどかけてゆったりと育つ。山から流れ込む伏流水がホヤに栄養を与え、ちょうど梅雨が終わる頃に旬のピークを迎える。「この時期の一番美味しいホヤを食べていただきたい」というのは涛煌の代表佐藤文行さんだ。

佐藤さんは、宮城のソウルフードとしてのホヤを守るため、2017年からホヤの新たな可能性を探る活動を続けている。そのひとつが冷凍ホヤだ。最も肉厚で美味しくなる時期に水揚げしたホヤをその日のうちに処理し、急速冷凍して鮮度のよい状態で保存する。「ホヤは鮮度が命の食材。だから宮城に来て食べてもらうことが一番だと思ってきました。でも優秀な冷凍ホヤが流通できれば、もっとホヤを広く知ってもらえるようになりますね」と黒森シェフ。ホヤへの新しい取り組みが注目を集めている。

海の水を取り込む入水孔(+に見える方)と体内の老廃物を出す出水孔(-に見える方)の2つの突起
とれてたてのホヤをむくと鮮やかなマンゴー色だ
“朝獲れ”が一番美味しいというホヤ
“朝獲れ”が一番美味しいというホヤ
冷凍の300gのおためしパックも涛煌で販売されている
左からホヤの養殖を手掛ける海遊の伊藤浩光さん、涛煌の佐藤さん、黒森シェフ。 3人で良質なホヤをどうPRしていくかを語り合う
左からホヤの養殖を手掛ける海遊の伊藤浩光さん、涛煌の佐藤さん、黒森シェフ。 3人で良質なホヤをどうPRしていくかを語り合う

株式会社 涛煌(とうこ)
宮城県塩竈市北浜1-1-7
TEL 022-355-6106

株式会社 海遊
宮城県石巻市雄勝町水浜字水浜9-1
TEL 0225-25-6851

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