人気シェフが愛用するパスタ【後藤祐司シェフ】


イタリア料理の花形であるパスタ。スパゲッティをはじめペンネやリングイネなど、その種類は豊富で、製造するメーカーも多数存在する。各メーカーが厳選した原料を用いて丁寧に製造されているが、個性は様々。今回は編集部が推すシェフたちが、どんなパスタメーカーを推しているのか徹底取材。パスタメーカーの特徴とシェフたちのパスタにかける想いを紹介する。

「Melograno」
後藤祐司×マンチーニ

抜群の香りと食感でまるで手打ちのような存在感

在日イタリア商工会議所主催のイタリア料理コンクールで優勝するなど注目を集めている後藤祐司シェフ。料理専門学校を卒業後、イタリア料理界の重鎮「クローチェ・エ・デリツィア」の斎藤実シェフに師事し、外苑前「カミネット」を経て渡伊。シチリア・ラグーサの「リストランテ・ドゥオーモ」、ウンブリア・ペルージャの「オステリア・バルトロ」などで研鑽を積んだ後、帰国してからは白金台「ビッフィテアトロ」でシェフを務め、2015年に独立を果たした。

2.2mmの「スパゲッティ」は、ショートパスタで作ることが多い、ペンネアラビアータなどにも合うという。
父親がパスタ店を営んでいたこともあり、幼いころからパスタが好きだったという後藤シェフ。イタリア修業時代にもまかないでよくパスタを食べたといい、パスタは後藤シェフにとって、とても身近な存在。

ンドゥイアとレホールの濃厚なトマトソースのパスタ
2.2mmと太麺のパスタは存在感があり、しっかりとした味わいのンドゥイアのトマトソースとも好相性。仕上げのリコッタチーズの個性にも負けず、複雑味が楽しい一皿に仕上がっている。

「パスタはイタリア料理が誇るアイデンティティ」というように、コースの中にも2つパスタ料理を入れる後藤シェフ。「メインの前に乾麺を使ったクラシックなものを、メイン後に旬の食材を使用した手打ちパスタを出しています」。そんな後藤シェフが「マンチーニ」を知ったのは、満足する食感のパスタを求めていた時のこと。「ツルッとした食感のパスタを使っていたのですが、手打ちパスタのような存在感のある、しっかりとした食感のものを探していました。『マンチーニ』のパスタは穀物を食べているなと感じるぐらい香りが豊かで、食感もしっかりしていて印象に残るパスタです」。「マンチーニ」は自社栽培するマルケ州産小麦だけを使用するなど、代々小麦農家がオーナーを務めるだけあって、小麦に並々ならぬこだわりがあるメーカー。 成型から乾燥時においても丁寧な手法が用いられ、乾燥温度を約45°Cにおさえ38~44時間かけた「低温長時間乾燥」で製造し、厳選された小麦がもつ豊かな風味と栄養をパスタに閉じ込めている。


小ヤリイカとカラスミのキタッラ
イタリアンパセリのピューレを敷き、カラスミのピューレを和えたキタッラに、具としてグリルした小ヤリイカをトッピング。カラスミとパン粉を振りかけて仕上げた、温前菜とパスタの間のような一品。
手打ちパスタで作られることが多いアブルッツォ州が 発祥の「キタッラ」。断面が四角形であることが特徴。

MANCINI(マンチーニ)
代々小麦生産農家がオーナーを務めるマンチーニ社は、納得のいく小麦を自分たちで栽培し、自社栽培の小麦だけでパスタを作っている。マルケ州産小麦100%の「マンチーニ」には、 厳選された小麦が持つ豊かな風味と栄養がパスタに閉じ込められ、その味と品質は多くの人々を魅了し、イタリア国内の数多くのミシュラン星付きレストランで愛用されている。
問い合わせ先/モンテ物産株式会社
0120-348-566
http://www.montebussan.co.jp/

「マンチーニ」のパスタの中でも後藤シェフが特に評価し、使うきっかけにもなったのが「キタッラ」。「キタッラは手打ちで作っていたのですが、やはり出来上がりにムラがあるんです。その点『マンチーニ』のものは品質が安定しているし、 手打ちのようなリッチな味わいがあるので使っています」。そして「キタッラ」がいいなら他のパスタもということで、今では「マンチーニ」のみを使っているという。2.2mmの太麺の「スパゲッティ」を使って作ったのは、カラブリアの料理で「ンドゥイアとレホールの濃厚なトマトソースのパスタ」。「しっかりした味わいのソースなので、それに負けない力強い味わいの2.2mmの『スパゲッティ』を使っています。パスタの粉の味、ンドゥイアの味、リコッタの味、様々な個性がぶつかって完成されているメニューです」。「パスタはソースとの一体感が大切と言われることがありますが『マンチーニ』のパスタは、いい意味で崩してくれるんですよね。こっちから麺の味がして、あっちからソースの味がするというような。それくらいの味わいと食感があります」。後藤シェフのパスタを表現するには存在感のある「マンチーニ」が欠かせない。

メログラーノ

東京都渋谷区広尾5丁目1-30
TEL 03-6459-3625
12:00 ~ 13:30LO(土祝のみ)、
17:30 ~ 22:00LO
日休
https://melograno.jp/

text 竹内せいじ photo よねくらりょう

記事は雑誌料理王国2019年11月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2019年11月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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