「ピッツァイオーロは芸術家ではなく料理人」というのが林秀光さんの持論。ほぼ独学で研究し、初めて出場したナポリのピッツァ職人大会で入賞を果たしたのは、提供スピードやコスト、他の人が再現できる生地作りなど、飲食店としての姿勢を重視する点が評価されたためだ。
林さんが経営する「アレグロ」6店は、決して画一的なチェーン店ではない。立地や客層で内容を変える、個人店感覚が魅力となっている。
本格的な味をファミリーや年配層にも伝えたいとの考えから、イタリアから空輸の水牛モッツァレラなども惜しげなく使用する。下町が好きで、賑やかな店が好きな林さん。世界レベルの腕前が、初心者からイタリアン通までを魅了している。
トラットリアピッツェリア 大衆イタリア食堂アレグロ 梅田店
大阪市北区曽根崎2-14-7 グランデ曽根崎ビル1F
06-6367-4100
藤田アキ=取材、文 竹中稔彦=撮影
20代前半の頃、ナポリのピッツァに心を奪われた鎌田友穀さん。意を決して、イタリア料理店を退職しナポリへ。それから半年間、昼はトラットリアで料理を学び、夜はピッツェリアで生地作りから焼きまで、ピッツァイオーロ魂も含めて徹底的に仕込まれた。独立後、店では水と生鮮食材以外すべてイタリア産を使い、仕込みから調理まで現地で得た技術を実践する。粉は計量せずに勘で行なう。これもナポリ式という。
「気温や湿度は毎日変るので、手でまとまり具合を見た方が早いんです」
発酵は季節により薪窯の近くに置いたり、離すなど場所によって温度を調節する。ピッツァは生地作りの工程が命。だからこそ、毎日条件が違うことを前提にベストな状態を探る。
ピッツェリア ナポレターナダ ユウキ
京都市左京区岡崎円勝寺町36-3
075-761-6765
飯塚真里=取材、文 畑中勝如=撮影