今年、食べる藻「藻肉」が登場するかも!?


食べる藻、スピルリナをタンパク源に。
来年2021年には「藻肉」の登場も⁉

今年4月、独自の技術により生タイプに加工した藻の一種「スピルリナ」の販売を開始した企業がある。その名も「株式会社タベルモ」だ。「スーパーフード」として知られるスピルリナを、タベルモではタンパク源として捉え、現在、第1弾商品「藻肉 壱ノ型」の開発にも取り組んでいるという。

タベルモ「スピルリナ」

藻が、地球を、人類を救う!?
テックが埋める人と藻の距離

 ここで、「そもそも藻を食べる習慣がない」という方に質問。ワカメのみそ汁を飲み、ごはんのお供にはコンブの佃煮が欠かせないなら、あなたはすでに立派な「藻」食体験者。ワカメやコンブは海の藻類、新たなタンパク源として期待されているスピルリナは淡水の藻類である。「野菜にニンジンや大根があるように、藻類にもワカメやスピルリナという種類があると思っていただけたらイメージしやすいと思います」というのは、株式会社タベルモ代表取締役CTOの佐々木俊弥氏。微生物の力で持続可能な社会を築くバイオテクノロジー業界に身を置く中で、今後は「藻」がキーになると考え、会社を設立した。藻の長所は、主に

(1) 地球上でもっともタンパク質の生産性が高いこと(同じ面積ならば大豆の20倍というデータも)
(2) 光合成により、地球温暖化の一因といわれている CO2濃度の増加を抑制すること
(3) 農業よりも少ない水資源で培養できること
(4) 砂漠など農地に適さない場所でも培養できること

などが挙げられるという。「中でも石油資源に頼らず、太陽光で育つのが大きなポイントです。そのため、私たちの自社工場は日照量の多い赤道付近のブルネイの自社工場でスピルリナを育てています」と佐々木氏。ではなぜ、数ある藻類の中でもスピルリナが選択されたのだろう? 「藻の中でもタンパク質含有量が全体の7~8割と非常に高く、WHOは『人類の 21 世紀の最も優秀なタンパク資源の一つ』といっています」。そんなスピルリナにも加熱するとエグ味が出る難点があったが、特許技術で生タイプを供給できるようになり、冷凍した生タイプのフレーク状スピルリナはサラダやヨーグルトのトッピングにも使用しやすくなっている。

 まずは、藻を食べる文化を醸成した上で、ゆくゆくは「藻肉」を開発し、来るべきタンパク質クライシスに備えたいという佐々木氏。「1年以内に何らかの形でリリースし、3年以内にはスーパーに並ぶレベルの商品を実現させたい。そのためにはスピルリナを農業として拡大し、大豆農園並みの生産規模にすることを目標としています」。

代替肉の新たな伏兵の行方を、これからも注視したい。

「タベルモ」フレークタイプ (冷凍生スピルリナ)
10パック入り内箱×3 8,400円。良質なタンパク質をはじめ60種類の栄養素を含み、 1パックでサラダボウル1杯分(野菜120g相当)の栄養素が補給できる。
https://taberumo.shop/

text 浅井直子

本記事は雑誌料理王国2020年12月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は2020年12月号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。


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