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たち吉と巡る美味しい器探し【第一回】

京都に創業し、来年270周年を迎える陶磁器の老舗企業「たち吉」は国内各地で活躍する作家たちとつながりをもつ。作家たちとたち吉の新しい動きは次号に続くが、連載初回は、たち吉が長年その才能に惚れ込む、岐阜県で作陶する水野幸一氏を紹介しよう。

卓越したセンスと技術。料理のプロが好むテーブルに映える器

ろくろを回すときに「攻める」という表現を用いた水野さん。実際、その作業を見せてもらうとその言葉がぴったりだ。
指とヘラに挟まれた土が、回転に合わせてどんどん薄くなっていく。「土物でここまで薄く攻めるバカは、僕ぐらいなもんです(笑)」とツッコミを入れつつ、同時に誇らしげでもある。土物はもちろん、磁器にしても水野さんの作品は薄い仕上がりだ。気品があり、テーブルにひとつあるだけでその場が輝く。

ろくろびきの風景。
土は「銅彩シリーズ」のためにブレンド。銅彩シリーズは目下、料理のプロから人気が高く、割烹やカレー、洋菓子を盛るなど幅広く使われている。

ヘラを駆使して、極限まで薄く仕上げる水野さん。磁器はまだしも、土物でこれだけ薄く仕上げるには腕が必要。

薄いからこそ、しっかり見込みを作る配慮を忘れない。

ルーシー・リーの銅色使いにヒントを得た「銅彩シリーズ」より。

「想像以上に重いと、がっかりしませんか? 特に飯碗など、手に持つ器は薄い方がいいのが持論です」と水野さん。「旅館などで華奢な飯碗が出てくると、朝からモリモリ食べたくなる。手の感覚は大事ですよ」と目を輝かせる。さらには高齢者の顧客のためにも、手に負担のない器作りを考えているそうだ。

新作「白釉ツートン飯碗」。見た目以上にたっぷり入る。

和にも洋にもとらわれない作風は、デンマークの留学が多分に影響している。「冬が長いので、家の中のものを眺める時間も多い。できるだけ形はシンプルで、色は自然界にあるものがいいですよね」。

次ページ:自由な発想とアイデアを生み出す、水野さんの源とは?



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