山奥でこそ実現する真の地産地消 先進的料理の可能性は都会より地方にある レヴォ 22年8月号


過疎化が進み、山は原始に戻ろうとしていた……。そんな富山の寒村を蘇らせた谷口シェフのテーマは究極のテロワールによる美食の追求だ。ツキノワグマ、タニシ、アズマヒキガエル、黒文字など。自然に寄り添う気持ちと技があれば、何もない村が、何でもある食材の宝庫として輝く。

どんなに不便であっても美食あるところに人は集う。今やレストランにとって地の利の良さはさほどメリットではないようで、2020年、富山県の山深い利賀村に谷口英司さんがオープンさせたオーベルジュ「レヴォ」がそれを物語る。3棟あるコテージは6ケ月先まで予約でうまっているという。「あくまでも料理ありきなのですが、遠くから来られる方もいらっしゃいますし、できれば山の自然も満喫してほしいから、宿泊施設は外せないと考えています」と谷口シェフ。冬は一帯が雪に覆われて静謐な時間が流れる利賀村だが、春には木々が一斉に芽吹き、初夏になると眼下を流れる利賀川が隠れるほどに緑が茂る――。こうした景色もまたごちそうというわけだ。


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text: Kurumi Kamimura photo: Gaku Yamaya

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