料理王国創刊30周年を記念して、昨年から始まった「料理王国大賞」。本年度もたくさんのシェフたちにアンケートにご協力いただきましたが、実はシェフ以外の3名の食の有識者の方々にもご協力いただきました。ここではウェブマガジン限定で特別に、彼らのご回答を公開します。3人が2024年をどう捉え、2025年に何を予測しているか?ぜひご覧ください。
Q1.
2024年(1月〜12月の期間)に注目・活躍されたと思われるシェフのお名前(料理ジャンル不問)を1名から最大3名まで、その理由と併せてご教示ください。
ダニエル・カルバート「Sezanne」
卓越した技術に裏打ちされた料理は、香港でシェフを務めていた頃に比べ、より日本の食材の良さを引き出す方向性に進化した。外国人のゲストが食べても日本人のゲストが食べても納得する普遍性がありつつも、オリジナリティが確立されているのが見事。ミシュラン三つ星に相応しい。
池端隼也「ラトリエ・ドゥ・ノト」
川嶋亨「一本杉川嶋」
料理人として高い評価を獲得している二人が、自ら被災し店の再開の目処が立たない中、能登の料理人を束ねて地域の復興に尽力している。レストラン業界だけでなく、第一次産業を支援したり、地元客に元気を与えたり、地域を支える大きな役割を果たしている。コロナ禍で不要不急扱いされた飲食店が必要不可欠なインフラとして機能していることを感慨深く思うと同時に、二人のシェフ、そして彼らと共に歩んでいる料理人達に拍手を送りたい。
Q2.
2024年のフード&レストランシーンを象徴するキーワードやテーマとして、どのようなものがあると思われますか?
・インバウンド
東京や京都を中心に、インバウンドのゲストが増えた。また、インバウンドをメインターゲットとした店が増え、日本人が来なくても成立する店が増えた。
・地方の時代
アクセスが必ずしも良くない地方にわざわざ足を運ぶ価値のある店、いわゆる「デスティネーションレストラン」が増えた。
Q3,
2025年のフードシーンにはどのような動きがあると推察されていますか?
A.3
・インバウンドシフトの加速
・地方のガストロノミーの更なる充実
・東京で顕著な価格上昇の波の地方への波及
浜田 岳文
1974年兵庫県宝塚市生まれ。米国・イェール大学卒業(政治学専攻)。
大学在学中、学生寮の不味い食事から逃れるため、ニューヨークを中心に食べ歩きを開始。卒業後、本格的に美食を追求するためフランス・パリに留学。
南極から北朝鮮まで、世界約128カ国・地域を踏破。一年の5ヶ月を海外、3ヶ月を東京、4ヶ月を地方で食べ歩く。
2017年度「世界のベストレストラン50」全50軒を踏破。
「OAD Top Restaurants(OAD世界のトップレストラン)」のレビュアーランキングで2018年度から6年連続第1位にランクイン。
国内のみならず、世界の様々なジャンルのトップシェフと交流を持ち、国内外のメディアで食や旅に関する情報を発信中。