厳しかったのか? 勢いがあったのか? 希望と試練が入り混じりながら、それぞれが時代の変革を感じたであろう2024年。シェフ達がキーワードと本音で振り返る。
※敬称略
サスティナビリティ、SDGsの取り組み
地球温暖化や貧困国の食糧不足など様々な問題がある為、限りある食材を今後も残し続けていく必要がある。料理人だけではなく、食べ手や生産者もそれを頭に入れ、少しずつ意識した取り組みをしていくべきだと感じる。
伊藤 翔 ドミニク・ブシェ・トーキョー
地方レストランの注目
色々なジャーナリストが取り上げていると共に、地方の重要性を発信していると思いました。
赤坂洋介 ピエール・ガニェール
SDGsのその先へ
海外では既に、SDGsそのものに対する賛否も含め、それぞれの幸福に見合った方向性を見出している。日本はどうしても海外のものを取り入れ、“従う、真似る”という形で画一的に進む傾向があったように思うなかでようやく、古来から日本人が大切にしてきたことに再注目し、日本にとっての幸福を模索するようになってきたように感じる。
石井義典 オーベルジュ ときと
SDGs、サステナブル
もはや無視できる事のできないワードだと思います。ただ理想と現実が調理の現場にはあります。労働環境や労働条件、労働時間、利益を生み出す仕組み、等理想を現実化するには相当の知恵とエネルギーが必要だと考えます。
手島純也 シェ イノ
クラシックへの回帰、新たな定番の確立
イノベーティブと食材至上的な料理が増えた中で、改めてクラシックな技術を見直す店が評価され始めた気が。その中で、かつては多く利用されてきた海外の食材が国内の食材に置き換わり、新たな古典料理になった。
タシ・ジャムツォ ENOWA
コロナ以降、料理の傾向が変わってきたと思います。
自然を思い、料理も回帰
していると思います。
奥田政行 アル・ケッチァーノ
SNS
見た目のインパクトや、そのお料理を目当てに行くお客様の層とお店側が提供する料理のスタイルの相性が合う場合ばかりかどうか。そうしたSNSを見て訪れるお客様のニーズを優先させたお料理を出すのか、またはお店が提案したいお料理やスタイルを貫いていくのか、悩ましい部分もあります。バズりグルメなど、SNSの普及により、オシャレだったり大胆に見えたりと、目を引くお料理が注目をされる部分もありますが、食経験が豊かで深い知識のある、本物思考のお客様に寄り添ったお料理を提供するお店もあり、二極化しているように思います。
井桁良樹 飄香
インバウンド客の劇的な増加。
物価高と逆行する円安。 これは、ある意味、料理屋にとってはプラスに変換できるのでは。
山本征治 日本料理 龍吟
フードツーリズムからガストロノミーツーリズムへ
インバウンドの方々が、以前は日本食文化全般を楽しむ事が目的だったのが、日本のこのレストラン、といったピンポイントの目的で訪れることが増えている。
中間利幸 センス マンダリン
フードテック、特にAI
レシピ開発はもちろん、料理もAIがする時代が目の前にきていることを感じます。近所でも調理人がおらずロボットが調理する中華料理店がつい最近オープンしたばかりです。
林 亮平 てのしま
アップサイクル
この言葉は本当に良く耳にする機会が多かったため、サスティナブルとの違いを理解するのに少し時間を要しましたので印象深く思いました。
食材費高騰
円安で、これでもかと全ての材料費が上がってしまった。しかしこちらはその都度値段を変えられないという、経営者としては大打撃。
人材不足
募集をかけても人が集まらない、また、いろんなシェフからメッセージや、ライン等で「人誰かいない?」→「うちも探してます」このやり取りばかり。街場は特に厳しい。
宮﨑慎太郎 アマラントス
令和6年能登半島地震
自分自身が被災したこともありますが、被災地における料理人の存在の重要性を改めて感じました。人の命を繋ぐ「食」を担う仕事は、地域にとってとても大切で、誇りを持てる職業だということを多くの方に知って頂きたいです。
平田明珠 ヴィラデラパーチェ