分布:ヒトおよび動物の腸管
発見:1966年
一般的な細菌が利用するグルコースをはじめ、糖アルコールや他の炭水化物をほとんど利用しない一方で、アミノ酸であるグルタミン酸を代謝して増殖し、発酵産物として酢酸や酪酸、炭酸ガスをつくる。
分布:ヒトおよび動物の腸内
発見:2004年
粘性物質であるムチンを単一の栄養源として生育。成人の腸内に大量にすみつく菌の一種で、肥満や糖尿病との関連性が指摘されている。
分布:ヒトおよび動物の腸内
発見:1885年
発見当初は大腸内の代表的な細菌と思われていたが、実際には人の腸内細菌の0.01%以下に過ぎないことが判明。大腸菌のほとんどの株は無害だが、強い病原性を持つ株が存在。O157はその代表例。
分布:ヒト、動物の腸内
発見:1906年
ヒトの腸内に存在する常在菌の一種で、糞便汚染の指標としても使われている。腎臓の中にある腎盂(じんう)に細菌が入り込み炎症を引き起こす「腎盂腎炎」という病気の原因菌のひとつとして見つかった。
分布:ヒトの腸内
発見:2012年
糖を代謝して、酢酸と微量の酪酸をつくる。さまざまなヒトの腸内フローラの比較で、本菌の仲間はBMIの低い人の腸内に多いことが判明。肥満を抑える夢のプロバイオティクスとなる可能性を秘めていると期待されている。
分布:ヒトの腸内
発見:1961年
乳児から老人までの健康なヒトの腸管に広く分布する腸内フローラの構成細菌のひとつ。まれに抵抗力の落ちた人の血液や患部から本菌が分離されるが、ヒトの健康との関わりは、明らかになっていない。
分布:ヒト、動物の腸内、土壌
発見:1892年
下水や河川など環境中に広く分布するため、食品などに混入し食中毒を引き起こす病原性をもつ。ヒトの腸内にも常在し、加齢とともに増加することが知られている。発がんなどへの関与も疑われている。
分布:ヒト腸内
発見:1935年
グルコースや乳糖をはじめとする種々の糖源から酸や水素ガスを産生する。90%以上のヒトの腸内に広く分布。過敏性腸症候群の患者においては本菌が少ないと報告されているが、不明なところが多い。
分布:ヒトの腸内
発見:2010年
グルコースを代謝して乳酸、酢酸およびギ酸をつくり出す。本菌と同じと思われる菌種が多様な動物の腸内から見つかっている。
分布:化膿した傷口、鼻粘膜、腸内
発見:1878年
切り傷が化膿して黄色い膿が出ることがあるが、この黄色は、細菌が出す色素によるもの。黄色ブドウ球菌は、その代表的な菌。病原性が強く、食中毒の原因菌としても有名。手指を清潔にして食品を汚染しないことが最大の予防法。
分布:腸内
発見:1898年
ヒトの腸内細菌叢を構成する優勢菌のひとつ。基本的には病原性は低いが、体の抵抗力が弱まったときに、病気を起こす原因菌となることもある。
分布:主にヒトの腸管
発見:1899年
ビフィズス菌は、ヒトの腸内でオリゴ糖などを利用して酢酸や酪酸をつくり、腸内環境を整えるなどの有用性が明らかになっている。約30種のビフィズス菌が見つかっているが、本菌はビフィズス菌を代表する基準種となっている。
分布:主にヒト(特に乳児)の腸管
発見:1963年
ビフィズス菌の中では、主に乳児の大腸内に多くすみついており、乳児型の菌として知られている。本菌を利用した乳製品の飲用により、便秘改善など整腸効果も期待できる。
分布:主にヒトおよび動物の腸管
発見:1963年
年齢とともにヒトの腸内のビフィズス菌種は変化するなかで、本菌は乳児から大人まで、幅広い年代に分布。疾病予防や健康維持に役立っている。
分布:ヒトや動物、家禽類、ゴキブリなどの消化管
発見:1922年
極端に酸素に敏感な細菌で、小腸よりも酸素濃度の低い大腸、さらには粘膜付近よりも便の中に多く存在する。酢酸を代謝して健康に有益な酪酸を産生する次世代のプロバイオティクスとして期待大。
分布:ヒトおよびブタの腸内
発見:2013年
成人では高い頻度・菌数で分布する菌。大腸内には、ヒトが消化できない多糖類や食物繊維があるが、本菌はそれらを代謝して有機酸を産生する。腸内環境の維持に繋がり、健康に寄与している。
分布:腸内、創傷部、副鼻腔、腹膜炎など
発見:1933年
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に潰瘍やびらんができる原因不明の疾患で、組織の深部に侵入している細菌が発生要因という見方が広がっている。本菌との関わりについて研究が進んでいる。
分布:ヒト、動物の腸内
発見:1976年
ヒト腸内の最優勢菌のひとつ。高齢者や糖尿病、肝硬変、大腸がんなどの疾患患者では本菌が減少していることなど、腸内の有用菌のひとつとして考えられている。和食の特長である麹がつくり出すグリコセラミドが、本菌の増殖要因として報告されている。
分布:ヒトの腸内
発見:2007年
食物繊維を代謝する能力が高く、主な代謝産物としてコハク酸や酢酸をつくることが知られている。これらの摂取量の多いアフリカ人や東南アジア人の腸内に多い。2型糖尿病や関節リウマチなどの疾病との関わりについて研究が進められている。
分布:ヒトの腸内
発見:2008年
ヒトの腸内にはまだまだ培養ができていない未知の菌が多数存在するが、本菌は2008年にヤクルト中央研究所で発見された。5~200㎛と非常に大きく、ヒトの腸内に普遍的に存在するが、機能は不明。
分布:ヒトの腸管、口腔、膣内
発見:1900年
ビフィズス菌が発見された翌年に見つかった乳酸菌。乳児の腸内だけではなく、成人の腸内、口腔にも幅広く存在する。ビフィズス菌同様に整腸作用や感染予防など有益な作用が報告されている。
分布:ヒトの腸管、酪農製品
発見:1891年
チーズの微生物を研究している過程で発見された菌で、現在、市販の発酵乳製品の製造にも本菌は多く使われており、整腸作用や免疫調節作用など多様で有益な作用を有することが分かっている。
画像提供:ヤクルト中央研究所
それぞれの画像のスケール(拡大率)は異なりますので、このページ内で紹介している菌同士の大きさの比較はできません。
「予防医学にもとづき、有用微生物を利用して、生体調節機能をもった食品、医薬品、化粧品の開発を通じて企業理念の実現を果たす」をテーマとし、「生命科学の追究を基盤として、世界の人々の健康で楽しい生活づくりへの貢献」の実現を目指し、研究を行っている。
さらに詳しく細菌の種類や情報を知りたい場合は、「ヤクルト中央研究所」のサイトにある「菌の図鑑」 (https://institute.yakult.co.jp/bacteria/)をチェック!
本記事は雑誌料理王国第285号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は第285号発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。掲載されている商品やサービスは現在は販売されていない、あるいは利用できないことがあります。あらかじめご了承ください。