西日本有数のブドウ産地・大分県宇佐市安心院町。「安心院葡萄酒工房」で造られる上質な日本ワインは、料理人からも高い評価を受けている。今回は「豊後もん 江とう」の江藤透留さんに「安心院スパークリングワイン」の魅力と料理との相性についてお聞きした。
大分県宇佐(うさ)市安心院(あじむ)町にある「安心院葡萄酒工房」は、昼夜の寒暖差が激しく霧深い盆地である同地の気候の利を生かし、50年以上にわたって良質なブドウを育て、ワイン造りを行ってきたワイナリーだ。安心院町産のブドウのみを使用したワイン醸造のほか、自社畑の拡張、安心院町の気候に適したブドウの選定や栽培、農業法人の立ち上げなど、地元の風土に寄り添いつつ数多くの優れたワインを生む風土づくりを進めている。
瓶内二次発酵のシャンパーニュ製法で丁寧に造られる「安心院スパークリングワイン」をはじめ、赤・白のスティルワイン、デザートワイン、ブランデーなど商品のバリエーションも豊富。優しい果実感に溢れた、同地産ならではのブドウの風味が際立つフレッシュかつ洗練された味わいが特徴で、料理人
からの評価も高い。
今回は、東京・神楽坂の「豊後もん 江とう」の店主・江藤透留さんに、日頃から提供している「安心院スパークリングワイン」の魅力と料理の相性についてお聞きした。
「安心院ワインは、日本ワインの中でも和食に合わせやすい個性があると思います。特にスパークリングは、泡が繊細で口当たりが穏やか。柑橘系やリンゴのような軽やかでフルーティーな味わいが、魚介やだしなど素材の味わいをさりげなく引き立ててくれるのです。同じ土地で育まれた素材同士なので、自然に寄り添ってくれるようなニュアンスもあります。同じコースでお出しする、豊後牛の料理には赤ワインをお勧めしたりしています」
「豊後もん 江とう」は、文字通りすべて豊後=大分県の食材で仕立てた料理を楽しめる店。名店「石かわ」で料理長を務める江藤さんが、同店舗で月に数日間だけ「豊後もん 江とう」を営業している。
「自分が生まれ育った土地のさまざまな食材のおいしさを、この店でご紹介し堪能していただくことで地元に恩返しをしたい。また、大分県を訪れたことのないお客様にも、旅気分を味わっていただければと思っています」と話す江藤さん。ドリンクも大分県産の品を揃えており、安心院ワインも赤・白・スパークリングを用意している。
「安心院スパークリングワイン」を合わせたのは、「伊勢えび 蒸し鮑 トヨチーニ えびあん 生姜」。炭火で焼いた伊勢エビ、蒸しアワビ、安心院町産の原木干しシイタケ、トヨチーニの炊き合わせを、ショウガがほのかに香るえびあんでまとめた一品は、香ばしさや旨み、自然な甘味など、それぞれの素材の持ち味が一皿に凝縮する。
霧深い安心院の地で生まれたワインは、さまざまな素材の魅力を引き上げる名パートナーとして、これからも注目されそうだ。
江藤透留 えとう とおる
1972年、大分県生まれ。「石かわ」の料理長として、同店の味を守り続ける大黒柱といえる存在。数年前より「石かわ」の店舗で月に5日だけ営業を行う「豊後もん 江とう」の店主を務める。自身の生まれ故郷である大分県の食材のおいしさを突き詰めた“豊後もん”をコンセプトとし、郷土料理をはじめとする大分県の魅力を味わい尽くすコースを提供。
豊後もん 江とう
東京都新宿区神楽坂5-37
高村ビル1F
TEL 050-3138-5225
営業日 火曜〜土曜のうち、
月5日
営業時間 17:00〜22:00
飲酒は20歳を過ぎてから。お酒はおいしく適量を。妊娠中や授乳期の飲酒には、気をつけましょう。飲酒運転は、絶対にやめましょう。
text: Nobuko Minagawa photo: Megumi Takei (winery), Hiroyuki Takeda (restaurant)