2024年7月22日
日本におけるフランス料理の食材提供のパイオニアとして知られるアルカン。その取扱商品のなかでもフランス料理の代表的食材と言われるのが「ヴォライユ(家禽)」だ。
果たしてシェフはどんな皿に仕上げるのか。
フランス料理の食材として欠かせないヴォライユ。なかでもカモ(カナール)やハト(ピジョン)はポピュラーな食材で、レストランのメニューにもよく登場する。
「ウチは『メイド・イン・ジャパンのフランス料理』をコンセプトにしているので、国産のカモを使うことが多いのですが、やっぱりフランス産のカモは、肉の味が強く、皮目につく脂もしっかりしていていいですね」と、笑顔を見せるのは、広尾のフレンチ・レストラン「アムール」の後藤祐輔シェフだ。
一般にフランス産の食用カモは、針を首の後ろに刺して仮死状態にし、血を抜かずに屠鳥される。エトフェと呼ばれる方法だが、これによって血液が肉のなかに留まるため、後藤シェフが指摘するように、芳醇で野性味あふれる味わいになるという。
「そんなフランス産のカモの魅力をしっかり楽しんでいただくために、料理自体はシンプルなものにしました。ただ、脂がのっている分、中途半端な火入れでは脂が残ってしまう。こだわった点といえば、皮目についた脂を徹底的に焼き切って、香ばしさを引き出すようにしたことですね。皮目が黒くて焦げていると思われるかもしれませんが、これは焦げじゃなくて旨みです!」と笑う。
確かに、塩とコショウだけで味付けされたカモは、噛むほどに肉のうま味が口中に広がる。炭火で焼いて塩で味付けしただけの万願寺唐辛子との組み合わせも面白く、ルビーオニオンのピクルスの酸味が全体の味わいをキュッと引き締めている。