2024年10月21日
「イタリア中部トスカーナ地方では、骨付きの牛肉をレアに焼いて豪快に食らいつきます」
田中祐介さんは、トスカーナ料理とワインに魅せられ、現地で5年間修業して33歳で独立。「トスカネリア」をオープンした。本場のビステッカの味わいを和牛で追求する。
トスカーナでは、イタリア原産のキアニーナが使われるが、それに似ているのが日本のあか牛。
「熊本産のあか牛を使っていましたが、ここの仔牛で徳島県の牧場に送られたものが、すだちの果汁を入れた餌で育つと聞きました。そのすだち牛が、赤身とサシの割合がベストだと思います。オリーブを餌に入れたオリーブ牛、漢方を入れた牛など生産者は餌に工夫を凝らしていますが、同じ品種の牛でも餌によって肉質は変わってきます」
すだち牛のフィレ肉の表面を炭火で「燻す感じ」で焼いたら、その後、じっくりと20分ほど休ませて旨味をしっかりと閉じ込める。中はレアの焼き上がりだ。味つけは塩とコショウ。そして、ソースのように使われるトスカーナ産のオリーブオイルが、イタリアの風を運ぶ。
骨こそ付いていないが、トスカーナの食と文化を愛する田中シェフ渾身のビステッカである。
トスカネリア
Toscaneria
東京都渋谷区恵比寿南1-17-6 コートモデリアサウス恵比寿101
03-6452-2960
● 12:00~14:00LO、18:00~22:00LO
● 水、木のランチ休
● 18席
www.toscaneria.jp
長瀬広子=取材、文 新山貴一=撮影