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フランス伝統の味を、日本で守り続ける。


フランスで活躍する日本人シェフを紹介する連載企画。第12回目は、優れたアンドゥイエットに与えられる5Aの称号を外国人で唯一認められた職人、京都でフランスの伝統の味を守り続ける久保正樹さんの登場です!

優れたアンドゥイエットに与えられる5Aの称号をご存知だろうか? 1960 年創立の「真正アンドゥイエット愛好者協会L’Association Amicale des Amateurs d’Andouilette Authentique」の認定資格で、認められた職人のものは「5A」または「AAAAA」を名乗ることができる。25名ほどの認定者がいるが、このうち唯一の外国人が京都でビストロを営む久保さん。パリで開かれた愛好者協会の会合で話を伺った。

高校卒業後、大阪や東京ほか全国のフランス料理店で働いていた。30年前パリを初めて訪れ、ブラッスリー・リップでアンドゥイエットに出逢う。「味も匂いも強いし、食感も不思議で最初は好きになれなくて(笑)。でも、当時日本では作っている人がいなかったので、自分の手で作ってみたい!と思いました」。本場のレシピは入手できなかったが、日本の素材を使って試行錯誤で作り始めた。その2001年に「パリにある昔ながらのレストラン」を目指し開業。以来、年に一度はフランス各地を訪問し、アンドゥイエットを始めとするシャルキュトリーを食べ歩いた。

本年度、パリの5A資格審査に出された、 久保さんのアンドゥイエットのポワレ。作り続けること十数年、たまたま店に来たフランス人客が久保さんのアンドゥイエットの存在を5Aの事務所に知らせ、資格審査を受けることに。厳しい審査を経て、2013年に見事5Aの認定を取得した。「フランスと素材 (豚の内臓)が違うので、どうしても同じ味にはなりません。だから、調味料も控えめ。塩こしょうとマスタード、酢、白ワインのみを使って、素材本来の味を引き出しています。フランスのものに比べるとあっさりめですが、5Aの審査員も美味しさを認めてくれて光栄です」。

店を訪れるフランス人にも「フランスにだってこんなクラシックなビストロはない!」と喜ばれるという久保さんの店。「時代は変わるけど、『ほんまもん』は変わらない。フランス伝統の味を、これからも京都の街で大切に守っていきたい」。(恵)

Aux bons morceaux カフェ・ビストロ・オーボンモルソー
Adresse : 京都市中京区恵比寿町534-18, Kyoto , Japon
TEL : +81 (0)75 212 8851
アクセス : 地下鉄 京都市役所前
火・第3水休 12h-14h30(土日月のみ)/17h30-22h00

取材・文=吉田 恵理子ワイン&フードライター。コピーライター。
1975年生まれ、フランス・パリ在住。お茶の水女子大学博士前期課程修了、人文学修士(西洋哲学)。都内の広告制作会社を経て、コピーライター、ライターとして独立。フランス国立ランス大学HEG(美食に関する最先端研究機関)に留学。英国ワイン&スピリッツ教育財団(WSET)アドヴァンスト資格所持、英国酒ソムリエ・アソシエーション(SSA)認定酒ソムリエ。著書に『ランチタイムが楽しみなフランス人たち』(産業編集センター)、『ワインを飲めばすべてうまくいく 仕事から恋愛まで起こる10のいいこと』(インプレスICE新書)がある。ワイン専門誌、パリの日本語新聞「オヴニー」に寄稿。Twitter:@erikomri_wine


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